日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 昨日(6日)は前回のコメント欄で中国分裂について盛り上がってしまいまして、私も下らぬことを冗漫に長々と書いたりして、結局ブログの更新まで手が回りませんでした。

 他でもない石原慎太郎氏の、

「10年以内に、中国は6つに分裂するだろう」

 という発言です(前回参照)。この一言で、少しでも関心のある人は、どういう線引きで分裂するか、そのとき日本はどうすべきか、などについて色々考えてしまいます。さすがだなあと思うのです。いや、何だか政治家・石原慎太郎の術中にはまったというか、乗せられたような気がしまして(笑)。

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 分裂といえば、現在中国で開かれている全人代(全国人民代表大会=立法機関)で例の「反国家分裂法」の法案がそろそろ審議入りすることになります。「新華網」の全人代特集サイトに飛んでみますと、諸問題ないしは諸法案の中で「反国家分裂法」だけが独立したメニューとして並んでいます。

 ●「新華網」の全人代特集サイト
 http://www.xinhuanet.com/newscenter/lh2005/rdzq.htm

 唯一独立したメニューとなっていることで、「反国家分裂法」に対する中共の力の入れ方や並々ならぬ決意というものを感じることができますね。

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 仁義を切るとでもいいますか、ヲチさせてもらうので温家宝(ウソ泣き総理)による「政府活動報告」は一応全部読みました。日本の新聞各紙にも要点が出ていたと思います。

 格差の解消(地域間格差及び階層間格差)
 教育の重視(特に農村部での義務教育普及)
 三農問題(農村・農民・農業)の改善
 失業問題の改善
 安定的・持続的かつ均衡のとれた経済成長の実現
 法制の確立と充実
 汚職撲滅

 ……などなど、他にも色々ありますが、前面に押し出されたキャッチコピーは「調和のとれた社会」を築き上げようということでした。

 でも本音を言えば、上に並べたようなことは二の次、ということなのでしょう。

 一番大事なのは「調和のとれた社会」の実現とかではなく、「反国家分裂法」を通してそれをバネに祖国統一(台湾併呑)を達成する、これです。だって他を押しのけてこれだけが専用サイトで独立したメニューになっているのですから。少なくとも、政府の代弁者である国営通信社(新華社)のスタンスはそういうことなのでしょう。

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 ということで、上の論法がかなり強引で牽強付会なのを承知で言ってしまいます。

 貧富の差が如何に広がろうと文盲が増殖しようと農民が貧困に喘ごうと失業者が群れをなして路頭に迷おうと、そして経済がボロボロになろうと貪官汚吏が世に満ちようと、あるいは国民が何億死のうと……おっとこれだけは負の事象ではありませんね(笑)。まあとにかく、最優先事項は「台湾併呑」これにまさるものなし、ということです。

 そのために北京五輪を潰しても構わない、というのも口だけではないのでしょう(もちろん避けられるに越したことはないでしょうけど)。

 潰れるかも知れませんねえ。

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 しかし内外でこれだけ騒がれ、中共自身も全力投球しているというのに、この「反国家分裂法」、現在に至るまで法案の内容が全く公開されていません。

 このあたり、いくら小奇麗な高層ビルの群れを外資頼みで現出させてみたり、身の丈をわきまえずに上海あたりで泡踊りが始まっていたりしても(※1)、所詮は「一党独裁政権」ですね。

 本質は北朝鮮と全く同じ、という地金が見え隠れ、というより露呈してしまっているように思います。お里は争えないものですね。

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 さて、台湾では当然ながらこれに強く反発する空気があります。独立派であり李登輝氏を戴く台湾団結連盟(台連)が六日、高雄でデモを行い、やはり独立派(最近ちと微妙)の与党・民進党は同日、台北で集会を開いています。

 ●反分裂法反対で5万人デモ 台湾の独立派政党(産経web)
 http://www.sankei.com/news/050306/kok069.htm

 台連の精神的リーダーである李登輝前総統はデモ後の演説で「反国家分裂法の制定は、対台湾武力行使と台湾併呑(へいどん)に法的根拠を与えるのが目的」と批判し、「台湾は中国の一部ではなく、共産国家の奴隷になってはならない」と強調した。

 ……とのことです。

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 で、私は現地からの報道に頭を一撃されました。

 ●反併呑・台湾を守れデモへの参加は子供たちの未来のためだ(中央通信)
 http://tw.news.yahoo.com/050306/43/1k5c4.html

 台湾の中央通信(中央社)が高雄のデモ参加者に取材してコメントを拾っているのですが、この記事では家族連れの参加者に焦点を絞っています。

「台湾は独立してこそ希望がある。自分の未来は自分で掴まなきゃならない、ということをこの子たちに教えてやりたくてね」

 と語ったのは、夫人と娘、それに「この子たち」である3人の孫を連れて参加した陳さん(65)。また、中学三年になる娘を連れた兄と一緒に、友人の子供まで連れてきたという湯さんは、

「法律で別の国を併呑することを保証している、そんな国なんて世界中みてもどこにもない。無茶苦茶だ」

 と話し、姪(兄の娘)もまた「中国はやることが無茶苦茶」と中共の悪口を言い立てたとのこと。

 そして夫と一緒に、娘や孫も連れて参加した王さんは、

「台湾の未来のために参加しました。台湾を外国人の手に委ねる訳にはいきませんから」

 とピシャリ。お孫さんがいるくらいですから老婦人なんでしょうが、私はこのコメントにガツンとやられたのです。

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「台湾を外国人の手に委ねる訳にはいかない」

 という「外国人」とは、当然ながら中共であって日米のことではないでしょう。

 こういう物言いには初めて接したので、しかも年少客気の盛りで言うならともかく、老婦人の口から出た言葉だけにショックを受けました。

 もちろん、台湾の中でもここまで言い切る人は少数派でしょうし、「そういう人もいる」で片付けてしまうこともできるのでしょうが。

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 何の因果か、私は中国、香港、台湾と華人圏ばかりを流れ流れて10年ほど住み古してしまいました。

 しかも「お前だけ日本人」状態の仕事環境(いまもそうです。厳密には東京駐在中)。要するにローカルの連中に囲まれて暮らしてきたのですが、

「中→港→台」

 という日本人にとって右肩上がりの順番だった(※2)ことに全く関係なく、台湾人と台湾に、常にいちばん深い愛着を感じています。緑か青かと問われれば、ためらうことなく「緑」です。

 独立支持。
 李登輝万歳。

 ……私の周囲にそういう連中ばかりいるせいもあるでしょうし、私自身、その方が日本のため、台湾のためになると考えているからでもあります。

 それでも「外国人」にはガツンと来ました。なぜでしょう。……やや無理のあるたとえですが、自分が切腹の検視役になって(御家人ですからそういう話になります)、私の見ている前で腹をかっさばいたサムライが自分の内臓を手づかみに引っぱり出し、

「見ろ、これが俺だ!」

 と見せつけられたような感じです。「台湾人からみた中国人=外国人」があまりに本質をついた表現だったからなのだろうか、といまは考えているところです。


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 【※1】日本もかつて身の丈をわきまえずに泡踊りをしてしまいましたね。ただ覚えておかなくてはいけないのは、「実際の背丈」が当時の日本といまの中国では全く異なるレベルであり、一見同じ泡踊りのようでも、実は全く異なる次元のものだということです。

 【※2】「右肩上がり」とは心地よさのことです。「台→港→中」の順なら地獄のコース(笑)。いや、私が勝手にそう思っているだけですけど。



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