雇用促進へアピール
障害者が職業の技能を競う今年のアビリンピック福岡県大会で、全国初となる警備業のデモンストレーションが行われた。精神・知的障害者には警備業の門戸が閉ざされてきた歴史があり、来年の東京五輪・パラリンピックを前に人材難の警備業界への障害者雇用を促す狙いがある。関係者は「障害者も警備員ができると知ってほしい」と話している。
5分間 正確に
8日、県立福岡高等技術専門校(福岡市東区)で開かれた福岡県大会。箱の組み立てや接客などの競技種目が行われるなか、会場の一角で「交通誘導」と「巡回」の実演が披露された。
「停止車両を進行させてください。どうぞ」
県立太宰府特別支援学校(太宰府市)高等部の男子生徒ら6人が、トランシーバーでやりとりした。工事による片側通行を想定した交通誘導では、3人1組で連絡を取りながら、赤旗や白旗を大きく振って車両に見立てた手押し車に停止や進行の合図を出した。
巡回ではビルの夜間見回りを再現。不審物に対応したり、ドアの施錠を確かめたりした。知的障害がある生徒らは、暗記してきた約5分間のシナリオを基に正確に動作をこなした。「緊張したけど、うまくできました」。3年の生徒(17)は満足そうに話した。
デモンストレーションは、障害者雇用に取り組む警備会社「ATUホールディングス」(福岡市博多区)の代表取締役・岩崎龍太郎さん(43)と、全国重度障害者雇用事業所協会(東京)の相談員・西村和芳さん(66)が県など主催者側に働きかけ、実現。支援学校の生徒に参加を呼びかけ、実技を指導した。公的な発表の場で障害者の技量をPRしようと考えた。
偏見根強く
警備業法は2002年まで、主に精神障害者を対象に「警備員となってはならない」と規定。適切に業務が行えないとして資格取得や就労を制限する欠格条項の一つだった。しかし同年に同法が改正され、医師の診断書があれば、働けるようになった。「施設見回りや人の誘導をこなす能力のある障害者は多いが、今も偏見が根強い」と岩崎さんは語る。
14年から障害者雇用に取り組むATUは、社員45人中19人(8日現在)が障害者。警備員の法定の教育時間は30時間だが、就労前の研修に平均1か月をかけて育成。16年にJR博多駅近くの地下鉄工事現場で起きた大規模陥没事故の際は交通誘導にあたり、今ではイベント会場の警備などもこなしている。
デモンストレーションは来年度以降は未定だが、他県の大会に広がれば、全国大会での実演の可能性もあるという。西村さんは「障害者だけでなく、周囲が考え方を変えなければ、障害者雇用は広がらない。今回の大会は、そのことを伝える良い機会になった」と話している。
2019年6月12日 読売新聞
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