ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

県が本人の許可無く職員を「障害者」に区分

2018年09月20日 11時58分34秒 | 障害者の自立

 障害者の法定雇用率を巡り県が不適切な算定をしていた問題で、県は18日、新たに2017、18年度合わせて61人分の水増しが判明し、2年とも法定雇用率を下回ったと発表した。障害者手帳を持たない職員を勝手に「障害者枠」に入れ、雇用数を水増していた例もあったという。

 人事課によると、厚生労働省から8月31日付で再点検を求められ、改めて調査を実施。障害者手帳を持たず、本人の同意もないのに、人事課が作る「障害者一覧」に「手帳を持っている」として分類された職員が18年度、約20人いることが分かった。体調の悪い人を各所属が「障害者」として判断し、本人の許可なく人事課へ報告していた可能性があるという。

 また、前回調査で「手帳を持っている」と分類された職員の中には、すでに返却した人もいたという。

 県は先月22日、障害者手帳を持たないのに「障害者枠」に分類した職員数は17年度は8人いたと発表したが、再調査の結果、確認できなかった職員も含め17年度は39人、18年度は30人と大幅に増えた。また、分母となる全職員数に非常勤の嘱託職員の数を含めておらず、雇用率は17年度は1・76%(法定雇用率2・3%)、18年度は2・07%(同2・5%)に下がった。

 沖野浩之人事課長は「我々の認識が甘かった。法定雇用率を下回ってしまったことを重く受け止め、障害者雇用に今まで以上に取り組んでいきたい」と話した。

2018年9月19日        朝日新聞


「地方の障害者雇用」を創出するリクルートのテレワーク (5/5)

2018年09月20日 11時50分42秒 | 障害者の自立

障害者雇用の「地方格差」なくせ

 以上がリクルートオフィスサポートの取材内容だ。同社が進める障害者の在宅雇用は、地方の人材を掘り起こし、リモートワークによって普通の仕事ができる環境を整えた点で画期的で、テレワーク文化が進んだリクルートグループの強みが生きた事例だろう。一方で、障害者雇用に、首都圏と地方で「格差」が生まれている現状を浮き彫りにもしている。

 厚生労働省によると、16年6月時点で全国に特例子会社は464社あり、そのうち48%が首都圏に集中しているのだ。これは大企業の本社が集中しているためだと考えられる。都会で大企業による障害者の採用競争が激化する一方で、地方の障害者には福祉の事業所しか職場がないのも現実だ。これは中央省庁の雇用水増し問題と同様に、法定雇用率だけで障害者雇用を考えてきた政策が生んだ「ひずみ」ではないだろうか。

 一緒に働ける人を地方で探して、リモートワークによって在宅雇用する。地方にいても同じ仕事をしているので、給与は東京の最低賃金にあわせる。リクルートオフィスサポートの取り組みは、障害者雇用はもちろん、企業全体の働き方を考えるうえでも、大きなヒントになると感じた。

2018年09月19日       ITmedia


「地方の障害者雇用」を創出するリクルートのテレワーク (4/5)

2018年09月20日 11時42分37秒 | 障害者の自立

仕事は新たに作ることができる

 中央省庁の障害者雇用の水増しが大きな問題になっている現状について、三井さんは雇用ありきではなく、障害のある人が戦力として働ける仕事を見つける努力をすることが先だと指摘する。

 「私たちは法定雇用率を上回る採用をしていますが、雇用することが目的とは考えていません。あくまで障害のある人を戦力化することが重要なのです。雇用することが目的化してしまうと、企業も障害のある人もお互いが不幸になるだけです。水増しの問題は、拙速な解決をするのではなく、障害のある人に適切な仕事を、ゆっくり時間をかけて見つけるきっかけにすべきではないかと個人的には思います」

 三井さんが話す通り、リクルートオフィスサポートでは、リクルートがかつてアウトソーシングしていた仕事を請け負うだけでなく、新たな仕事も生み出している。インターネットの技術が発達したことで、リクルートグループの媒体も紙からネットへとシフトした。その結果、掲載情報をPCの画面で審査する仕事が生まれたのだ。

phot 在宅勤務者の1日の仕事の流れ(同社提供資料より)

 「AIに仕事が奪われるといわれていますが、インターネット上での仕事が増える過程で、AIだけではニュアンスを判断できない仕事も出てくるはずです。

 私たちも障害者のある人が、どんな仕事ができるかと考え、立ち止まっていたなら、恐らく雇用は進まなかったでしょう。この人を戦力化したいと本気で思って、この人にはこの仕事を任せようと決めたときから、歯車が回り始めました。

 規模が大きなリクルートだからできているといわれるかもしれませんが、そんなことはないと思います。私たちにもやらない理由はたくさんありました。在宅雇用にしても、『何かあったらどうしよう』と最初は思っていました。どんな問題が起きる可能性があるのか、分からなかったからです。ところが実際に地方で始めてみると、結局、『何か』はなかったのです」

 さまざまな障害のある人の雇用に積極的に取り組んでいる一方、発達障害のある人にまだアプローチできていないのが今後の課題だという。三井さんは「まだまだやるべきことがある」と、障害のある人が普通に働ける仕事と環境を今後も作っていく考えだ。

phot チャットツールによって始業や終業、業務報告をしてもらい円滑なコミュニケーションができる環境を整えている(同社提供資料より)

「地方の障害者雇用」を創出するリクルートのテレワーク (3/5)

2018年09月20日 11時36分13秒 | 障害者の自立

北海道で広がった採用のネットワーク

 地方在住者を在宅で雇用すると決めたものの、北海道に縁ができたのは偶然だった。旭川市が、撤退した大学の建物を首都圏の企業のサテライトオフィスに利用するという実証実験をしていると聞き、視察したのがきっかけだ。

 旭川市役所の担当者に、障害者の就職や生活を地域でサポートしている「障害者就業・生活支援センター」を紹介してもらった。担当者にリクルートの仕事を説明し、働く意欲のある人を紹介してほしいと頼んだ。

 「最初はテレビ電話で仕事をしますと説明しても、相手の方の顔が、本当に鳩が豆鉄砲を食らったようになって、理解できないという反応でした」(三井さん)

 最初は困惑されたが、実際に雇用すると、市役所のケースワーカーや、支援センター職員のネットワークによって口コミが広がった。いまでは名寄、富良野、小樽など北海道内の各地で採用している。北海道以外では17年12月に沖縄でも採用した。

 採用の流れはこうだ。まず地域の障害者就業・生活支援センターとハローワークに声をかける。そのあと、現地で就労支援機関向けの説明会、続いて障害者向けの説明会を開く。その2、3週間後の採用選考会では30分ほどの面接と簡単な実技試験をして、採用予定者を絞る。最後に自宅を訪問し、在宅勤務ができる環境かどうかを確認するのだ。本人が体調を崩したときに連絡が取れる家族や支援機関にあいさつをしたうえで、採用を決定する。

 「支援機関や市役所の方が声をかけて応募してくる人の中には、生活保護を受けている方もいますし、子どもを複数抱えながら頑張っているシングルマザーの方もいます。何とか採用したいと思う人もいるものの、私たちは福祉ではなく、普通通りに仕事をしてもらうのが目的なので、ITリテラシーや文章の読解などはある程度クリアしてもらわなければなりません。条件さえクリアしてもらえれば、在宅で仕事をすることに必然性があって、在宅だからこそ頑張れるという人を採用したいと考えています」(三井さん)

phot テクノロジーによって東京のオフィスと地方をつなげられるのはテレワーク文化が進んだリクルートならではの強みだろう(写真はリクルートオフィスサポートの在宅雇用開発室)
phot 在宅勤務者全員にPCやヘッドセット、マウスなどを必要に応じて貸与している(リクルートオフィスサポートの提供資料より)

時給は東京都の最低賃金

 在宅雇用された人は「在宅勤務社員」(契約社員)となり、給与は時給で支払われる。その時給は住んでいる場所ではなく、東京都の最低賃金985円に合わせた。三井さんによると、最初から東京と地方で差を付けるつもりはなかったという。一方で、東京都の最低賃金をベースにしたことで、応募が集まりやすいというメリットが生まれているのだ。1日6時間勤務したとして20日間働いたとすると月収は優に10万円を超える。

phot 入社6か月面談時の在宅メンバーの声(同社提供資料より)

 在宅勤務社員として16年10月から働く北海道旭川市在住の吉崎健一さん(35歳)に、東京のオフィスから仕事用のSkypeで話を聞いた。学生時代、アルペンスキーの国体選手だった吉崎さん。理系の大学を卒業後、設計の仕事をしていたものの、統合失調症により働けなくなった。その後は就労支援機関でパンの製造をしていた。

 「在宅勤務は人と接することが少ないので、精神的な負担は軽く感じられます。かといって、全く人と話さないのも良くないと思います。Skypeやチャットを使って会話をするいまの距離感がちょうど良くて、以前よりも対人関係に自信が持てるようになりました」

 吉崎さんは自分のペースで仕事ができることで、体調管理も自分でできると話す。

 「上司も仕事仲間も障害に理解がありますので、『疲れたら休んでくださいね』と言葉をかけてくれます。以前の会社だと障害自体をオープンにできませんでした。体調を報告しやすいのは大きいと感じています」

 周りが気遣ってくれることが、安心して働ける要因になっている。在宅勤務は特に精神障害のある人と相性が良いようだ。

phot 筆者(画面・右)の質問に心を込めて答える北海道旭川市在住の吉崎健一さん(左)。在宅勤務によって精神的な負担を下げられるのだ

2018年09月19日


「地方の障害者雇用」を創出するリクルートのテレワーク (2/5)

2018年09月20日 11時03分27秒 | 障害者の自立

HIV感染者も採用 在宅雇用に乗り出した理由

 リクルートオフィスサポートは、在宅雇用を始めてわずか2年で41人を採用している。そのうち18人が身体障害者、23人が精神障害者だ。リクルートに新卒で入社し、7年前からリクルートオフィスサポートの執行役員を務める三井正義さん(55歳)は、地方の在宅雇用を進めた背景には、首都圏で起こっていた「障害者採用の競争激化」を理由に挙げる。

 「リクルートの業績が好調で、グループ全体の人数が増える一方、障害者の法定雇用率も引き上げられてきましたので、毎年新たに採用しました。グループの障害者雇用率は2.372%(6月1日現在)で、法定の2.2%を上回ることができています。

phot  リクルートオフィスサポートの三井正義執行役員。障害者雇用に関わり始めて7年目になる

 ただグループの事業拡大に伴う人員増加を踏まえると、法定雇用率を上回るためには障害のある人を毎年数十人採用しなければなりません。ところが、東京都内や関東圏では、障害のある人向けの仕事はたくさんあり、これ以上、採用数を確保するのは厳しい状況でした。どこかで在宅雇用に踏み切り、地方の人を雇わなければ雇用者数を確保できないと以前から考えていたのです」

 リクルートオフィスサポートでは創業当初、身体に障害がある人を雇っていた。当時は公共交通機関でのバリアフリー化も進んでいない状態で、車椅子を使う人は電車通勤ができなかった。そのため、自社ビルの地下に駐車場を整備して自動車通勤を可能にし、フロアも全てバリアフリーにした。設備と環境さえ整えば、障害の有無にかかわらず同じ仕事ができるというスタンスは、創業当時から変わらない。

 その後、聴覚、視覚、精神などさまざまな障害のある人を雇用することになる。13年頃からは、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染している人の採用も始めた。HIV感染者は障害者手帳を持っていて、状態が悪くなると重度障害に認定される。抗HIV薬を服用すれば体の中のウイルス量を抑えることができ、服用を続ければ免疫力も回復し、他者に感染させることはない。仕事の能力については何ら問題がないことから、HIVに感染していることをオープンにして働きたい人を募集し、現在では28人が働いている。

 身体障害者、HIV感染者など、障害者の雇用を広げてきた一方、三井さんと経営企画室のメンバーは、同時に在宅雇用の研究も進めていた。

 「HIV感染者の採用と並行して、在宅雇用のプロジェクトを立ち上げました。千葉県内で1人、東京都内で1人を採用し、どのような環境づくりが必要なのかを3年間研究してきました。地方には、能力はあるのに働く場所がなくて困っている人が必ずいるはずだと考えていましたから、めどがついたところで地方の採用活動を始めたのです」(三井さん)

phot 特例子会社の集中により首都圏では採用競争が過熱。いわば「障害者の奪い合い」が起こっている(リクルートオフィスサポート提供資料より)

2018年09月19日      ITmedia