高級茶の産地として有名な福岡県八女市にある障害者支援施設「蓮の実団地」(田川晴基施設長)で新茶の収穫が始まった。「今年は霜の被害もなく、茶の出来が良い」と農作業班の職員も利用者も喜んでいる。
同施設は1973年の開所当初から、地場産業の八女茶の栽培に着手。現在は3カ所(約100㌃)の畑で年間2000㌔㌘の生茶を収穫し、400㌔㌘を製品として販売している。
収穫した生茶は、茶工場で蒸し、もみ、乾燥などの加工をし、玉露(100㌘1000円)、煎茶(同500~1000円)などの製品になる。障害者施設の製品販売会や道の駅、インターネットなどで販売されており、「甘くて旨味がある」と好評を得ている。
旨さの秘密は、朝霧が多い耳納連山の中腹にある茶栽培に適した土地で丹精込めて茶木を育てていること。草取りや肥料やり、茶葉の色を良くするための遮光シート掛けなど手間ひまを惜しまない。
この道30年という利用者の藤原和彦さん(50)は「草取りは本当に大変だが、新茶を摘むときは本当にうれしい」と話す。
茶葉の売り上げは年間400万円で、施設の授産収入の4割を占める。田川施設長は「近年はペットボトルのお茶が普及し、茶葉の売り上げは減少気味。障害者優先調達法が施行され、県が敬老会の記念品に使ってくれたり、県警が購入してくれたりして、本当に助かっている」と話している。

利用者と職員が一緒に新茶を摘み取る
2015年05月18日 福祉新聞編集部


