10日に行われた陸上の国際大会、セイコー・ゴールデングランプリ川崎(神奈川・等々力陸上競技場)で、パラリンピック実施種目の男子100メートル(切断などT43/T44)が実施された。日本陸上競技連盟主催の大会でパラリンピック種目を行ったのは初めて。2020年東京五輪・パラリンピックを盛り上げるため、障害者スポーツの浸透が課題となる中、日本陸連は「将来的には日本選手権でも一緒にやりたい」としている。
男子走り高跳びで13年世界選手権金メダルのボーダン・ボンダレンコ(ウクライナ)、女子100メートル障害で12年ロンドン五輪金メダルのサリー・ピアソン(オーストラリア)ら世界のトップ選手が集まる大会で、レースは行われた。12年ロンドン・パラリンピック代表の佐藤圭太(中京大ク)が12秒08で日本勢トップの4位。「みなさんに(障害者競技を)知っていただくうえで大きなレースだった」。想像以上のスピードに観客も大きな拍手を送った。
日本では健常者と障害者を統括する競技団体が異なり、競技会は別々に開かれるのが一般的だ。日本陸連では、数年前にパラ種目の陸上関係者から味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習できないかと相談を受けたのを機に交流が深まり、東京五輪・パラリンピックの開催決定で機運が高まった。準備や運営面などから競技会で全種目をともに行うのは難しいが、今年は海外で跳躍種目の合同合宿も実施している。
佐藤に次ぐ5位に入った春田純(静岡陸協)は「海外では健常者と障害者が一緒にやることが多い」と話す。今回のような機会が定着すれば国内の他競技に波及する可能性があり、日本陸連の大嶋康弘事業部長も「そこ(波及)に期待している。みなさんも何か考えていただける状況になればありがたい」と語る。
一般種目と共に行われたパラリンピック種目男子100メートルT43/T44で優勝したウォレス(米国、左端)を追う(右から)池田樹生、春田純、佐藤圭太=神奈川・等々力陸上競技場で2015年5月10日、梅村直承撮影
毎日新聞 2015年05月21日