私たちは、無意識のうちに自分の限界を決めてしまっていないでしょうか?
活動家のキャロライン・ケイシーが、TED Talksで自らの視覚障害について打ち明け、「限界を作らずに自分を信じることで、何でも成し遂げられる」と語っています。
17歳まで障害に気が付かなかったこと、仕事での挫折、本当の自分探しの旅など、自身の人生を振り返りながら私たちに自分を信じることの大切さを教えてくれています。
彼女が言いたいことを3つにまとめると、
1. 信じることが大事
たとえ障害があっても、自分にはできるんだと信じたからこそ、本当になんでもできる。限界を超えたければ、とにかく信じ続けること。
2 .弱点や欠点を認めることで、前に進む
人は誰でも自分の欠点や弱点を認めるのは難しい。でもそれを認めて、一歩踏み出すことで、限界を超えられる。
3 .自由とは、自分に自信をもつこと
心からありのままの自分を信じられたとき、限界を超えた驚くべきことが成し遂げられる。できるないことより、できることに目を向けよう。そして、
ここからは視覚障害があるなんて信じられない、説得力あるスピーチを紹介します。
強い信念があれば、 世界は変えられる
私の17歳のときの夢は、バイク乗りの女の子になることでした。カーレースやカウガールに憧れたし、ジャングルブックの物語にでてくる少年モーグリみたいになりたかった。みんなとても自由に見えたから。
そして17歳の誕生日に、私の憧れを知っていた両親は、運転レッスンを誕生日プレゼントにしてくれました。同じ日、いつものように視覚障害のある妹が眼科専門医に行くのに付き添いました。すると医師が、私が誕生日であることに気がつき、こう聞きました。「誕生日はどうやってお祝いするんだい?」だから私は興奮して「車の運転を教えてもらうの!」と言いました。すると、嫌な感じの沈黙がおこりました。
医師は私の母に「まだ彼女に話していないの?」と言いました。私は17歳の誕生日、初めて真実を知りました。私は生まれた時からずっと視覚障害者だったのです。
でも両親は私を特別支援学校ではなく普通学校に入学させました。さらに両親は私に見えるんだということを教えることにしたのです。両親は、信じる力をくれました。絶対に自分にはできるのだと信じさせてくれる力です。
だから、医師に言われた時もショックは受けましたが、すぐに立ち直りました。涙を流す母を見てこう自分に、「私は運転できる。できるに決まっている!」と、言い聞かせました。
それまでの11年間、きっと誰も私が見えないことに気づかなかったと思います。信じる心をもって私にしかできないやり方で人生を生き抜いてきたからです。
考古学者、レストランのマネージャー、マッサージ師、庭師も経験しました。そしてビジネススクールにもいきました。その後、グローバル企業でコンサルタントになりましたが、彼らも障害には全く気が付きませんでした。信念があれば驚くようなことが起きるのです。

インドへ、自分を探す旅にいく
コンサルタントとして2年半ほど働いた28歳の時のことです。突然視力がぐんと下がってしまいました。仕事でトップを目指し、日々突っ走っている、そんな時でした。
私は人事に足を運び、それまで絶対に言うことのないと思っていた言葉を口にしました。「すみません。目が見えないんです。助けが必要です。」みなさんもご存じの通り、助けを求めるというのは、本当に難しいことです。障害でなくてもそうですね。誰でも、自分の弱点や欠点を認めることは辛くて、とても怖いことです。でも、私は打ち明けました。
それから眼科医を紹介されました。この人が私の人生を変えるきっかけをくれました。
その眼科医は私の目を検査せず、セラピーのようなことを行いました。たくさん質問をしてきました。「どうしてそんなにがんばって本当の自分にならないように戦っているんだい?」「自分のやっていることが好きかい?」「小さい頃はなにになりたかったの?」と。仕事が好きかと聞かれた時は、喉が苦しくなり答えられませんでした。
帰りぎわに彼は私を呼び止めて言いました。「キャロライン、そろそろ戦うのをやめて、なにか別のことをする時なんじゃないかな?」と。
ズキンと胸が痛みました。そのまま家に帰りましたが、胸の痛みがどんどんひどくなったので走りに行こうと思いました。いつもよく行く障害物を把握しているコースです。なのに私は、泣きながら走っていたせいか、一度もぶつかったことのなかった岩に突っ込んで転んで倒れ込んでしまいました。私は怒りに満ち、もう感情はめちゃくちゃでした。
今までは、信念があったら私はいろいろなところに導びかれていきました。でもこの時の私は、信念を完璧に失ってしまっていたのです。
それから考え始めました。「何になりたい?何がしたい?小さい頃は、何になりたかったの?」時間をかけて、繰り返し自分に問いかけました。
すると、突然浮かんだのが、「ジャングルブックにでてくる少年モーグリは?」それが浮かんだとき、嬉しくなりました。周りの意見や男か女かなんて何も関係ない、ただとにかく駆け出してみようと思いました。
勢い良く岩から起き上がり、家に帰って私の大好きな本「私のゾウに乗る旅人」を読み直しました。
「これでモーグリになれる!ゾウの背中に乗ってインドを歩き回って、ゾウ使いになってみせる!」と思いました。どうやってゾウ使いになるのかなんて知らないし、ヒンドゥー語もしゃべれないし、インドに行ったことすらなかったけれど、気持ちだけは決まっていました。決断をする時と状況が正しければ、宇宙が導いてくれるのです。
岩で転んだあの日から6ヶ月後、カンチという名前のゾウと出会いました。それからインドで1000kmもの道のりを共にしました。
自分を信じた途端、すべてが自由になった
最も言いたいことは、私はそれまで何も達成しなかったわけじゃなくて、間違ったものを信じていたということです。自分自身を信じていませんでした。この中で一体どれだけの人が自分とは違う人のふりをしているのでしょうか?自分を信じることができれば、本当に驚くようなことが起こるのです。
私はカンチと1000kmの旅をしながら、6,000人の白内障患者が手術できるだけの寄付金を集めました。そしてカンチとの旅を終えたとき、私はコンサルタントの仕事を辞め、社会的起業家になり、アジア象の保護活動をする組織などを設立しました。
私は活動を通じて、障がいの見方を変えるような仕事がしたいと思いました。これが私が本当やりたかったことでした。それ以降もう一度も「できない」ことについて考えなくなり、可能性だけが見えるようになったのです。

車やバイクに乗ることが自由になることじゃなかった。「真に自分自身でいること」が自由になるということだったのです。それが見えるようになるためには、目は必要ありませんでした。必要なのは、ビジョンと信念です。心から信じていれば、変化を起こすことができます。
変化を起こしましょう。レッテルを貼ったり、制限をかけたりするのはやめて、自分の限界を超えていきましょう。私たちはみんな特別でかけがえのない人々なのです。どうもありがとうございました。
TABI LABO 2015/04/09