■■■ふとしたことから住宅の寿命は何年くらいが適当なのだろうと考えてみた。日本の住宅の平均寿命は25年くらいだといわれている。住宅を建ててローンを支払い、子育てが終わり、ローンも終わりになって家が痛んできたのでリフォームでも・・・と思い立ち、専門家に見てもらう。水廻りなんかもリフォームして・・・などなどいろいろと要望を出していくとアラアラ結構な金額がかかるではないか。それならいっそのこと建替えようか、といって建替えるのがよくあるパターンである。これがちょうど25年前後なのである。ここでいう住宅とは木造住宅、その中でも在来工法といわれる住宅をいう。
■■■日本の建築はスクラップ&ビルドの文化であるといわれる。昔は火事で家を失う人が多かったが、失った後の建て替えがスピーディであったという。あっという間に建てられる工法を日本人は生み出した。とんかんとんかん木を組み立てて図面なんかなくったって、何帖という広ささえわかれば出来上がった。また、家事になって失ってもいいような簡素な住宅が建てられた。そんな住宅からもっと拘った住宅へと変化していくのであるが、一方では建売住宅など家を買う文化が生じてきて「買う」ということは「つくる」という過程と全然違い、まさに道具としての家が存在するようになった。
■■■「200年住宅」と福田前総理大臣が提唱し、住宅はストックの時代に入っていったといわれている。政府の政策も住宅を増やすことから優良な住宅をストックしていく政策が取られている。「住生活基本法」である。果たして、「買う」ためにつくられた住宅が優良な住宅になりえるのだろうか。また、木造住宅が200年持つ必要があるのだあろうか。住宅の構造体である「木」のことを考えてみよう。戦後、日本は焼け野原になり、住宅の復興が最優先され、そのために国は構造体として使用する「スギ」や「ヒノキ」を各地に植林させた。それこそ、どうやって運ぶの?というような山深いところまで植林された。
■■■話がそれそうなので「木」の話に戻す。要は植林された木が25~30年くらいで「柱」が取れるまで成長し、60~80年もすれば「梁」といわれる材料にまで成長する。これはどういうコトかというと木を切って木を使い、その後、植林していれば80年もすればもう一度、家の材料として使用可能だということだ。いや、使用可能というよりも使わなくてはならないのである。林業を成立させるには使ってそれまでの労働賃金を支払っていかないと林業は成り立たない。
■■■200年住宅に戻ろう。200年の根拠は調べていないのでわからないが、木の植林のサイクルからいうと60~80年くらい持てばいいのではないか。木のサイクルにあわせていくとそういうことになる。では、人のサイクルとしてはどうか。60~80年というのはだいたい2世代くらいのサイクルである。親が家をつくって、そこに生まれ育った子供が成長し、その家で人生を生きる。その子供、先代からいうと孫にあたる子供くらいは自分達の好きなように家をつくってもいいのではないか。200年も持つような高価なコストをつかうよりも基本がしっかりしていて、ライフスタイルの変化にある程度耐えられるような住宅ならばよいのではないか。
■■■今の日本の住宅事情は住宅が余っている時代に入っている。人口も減少に入り、ますます住宅は建たなくなるだろう。大手各社がリフォームに力を入れているのも将来の方向を見据えてのことである。事実、住宅の新築件数が減少しているという統計がある。ストックの時代といわれる住宅がそれに値するのか。どのようにリフォームすればいいのか。よく考えないといけない。資金がある人はいいが、限られている人が多く、本当に必要な手入れを間違ってはいけない。
■■■ちょっと、住宅の寿命について考えてみたらいろいろと思いついたので思いつくままに書いてみた。阪神淡路大震災で破壊された家のことを考えていたらこんなことになってしまった。久々に長々と書いてしまった。別の機会にもう少しまとまった文章で書いてみたい。