Genの思いつ記(Gen建築設計所)

人はいろいろであります。いろいろな日常を思いつくままに記録していく建築設計事務所のブログです。

住まい体験 その1

2008年09月10日 | ブログ

突然ですが、たまには住まいのことを書いてみようと思う。

 

ボクの設計する住宅というのは大きなワンルーム的な空間があり、それを軸に必要な諸室を付け加えているプランが多い。キッチンもリビングもダイニングもつながっていて、そこに水廻り等がついている。時には個室はコーナー的な要素が多く、いわゆるn+LDK(nが部屋の数)なんて形で表現すると部屋の数が少なく、それを聞いた人は首をかしげることもあるようだ。

 

まあ、そうなるのも自分の住まい経験などが影響しているように思えるので、少し書き綴ってみたい。

 

今回は、物心ついた頃に住んでいた住宅のこと。小学校4年生くらいまでいわゆる長屋住宅というところに住んでいた。会社の借家である。会社といっても友禅の工場で、住んでいるのは皆、京友禅の職人である。ここは、いろんな意味で今では見られないような形態の住宅であった。

 

道路に面しているのは、2棟。その間に大きな屋根付の空間。そこは自転車置場をかねた、いいようにいえば、エントランスホールである。その奥には道路に面している住宅の2列とその間に1列の住宅が並んでいた。3列の住宅の配列で、その間の路地巾は記憶が定かではないが、たぶん1間(約1.8メートル)くらいだったであろう。そこに各家の洗濯機置場があり、奥のほうの住宅へはその洗濯機が並んでいる路地(屋根付)を通るのである。

 

真中の列の住宅は途中で抜けていて路地はぐるりと一周できるようになっている。一方の列の住宅の奥の方には、共同便所があり、もちろんその時代なので汲み取り式便所である。住宅を結ぶ路地及びに共同便所は裸電球の照明器具がついており、家から便所に行くにはその裸電球のある路地を通らないといけない。

 

路地の夜は静寂で、また裸電球の目に射すような光が印象的で夜中に便所に行くのはとても勇気のいることであった。あまりの恐さに走って便所に行った記憶がある。裸電球には虫がたくさん集まっていた。

 

こうやって書くととても陰湿で暗いイメージなのだが、ここの住民はとても明るかった。それは集合住宅として快適に過ごす要素の一つである、信頼関係というものが出来上がっていたからである。集まって住むことの楽しさを皆がわかっていたように思う。

 

もっと書きたいことはたくさんあるのだが、長くなるので この辺でやめておきます。住宅の中のプランの話、住まい方の話、いろいろあった事件の話、昔はいた近所の恐いおばちゃんの話などなど、あるのですが・・・。これはシリーズとして続けていきます。