カーテンが開くと、 ガラス窓の向こうに、
ベッドに拘束された 黒人男性の死刑囚が見えます。
左腕に 薬物注射用の管が 挿入されています。
処刑室に面した 部屋のひとつに、 記者や地元メディアの3人と 教誨師。
もうひとつの部屋には、 被害者の遺族6人もいます。
「 これから死刑を執行します 」
所長の声が スピーカーから流れました。
死刑囚は 教誨師に向けて親指を立て、
「 大丈夫だ 」という サインを送りました。
遺族の方を 見ることはありませんでした。
睡眠剤の注入が 始まります。
次いで、 全身をまひさせる薬、
さらに 心臓を停止される薬が 注入されます。
死亡確認は 午後6時17分でした。
執行に立ち会った 被害者の長女は、
「 最後に 反省の言葉を期待したのに、 こちらを 見向きもしなかった 」
と、辛そうに語りました。
アメリカで 死刑制度がある35州では 全て、
遺族やメディアが 執行に立ち会えます。
獄中の死刑囚への インタビューも、 多くの州で 認められています。
薬物注射は絞首刑よりは 楽に死ねるだろうが、
睡眠薬が効かないと 激痛が襲うこともあるらしい、
という証言なども 得られます。
メディアだけでなく 市民にも、 死刑に対する情報は 公開されています。
市民が 制度の是非を 議論できるよう、
コストをかけて 執行状況を公開しながら、 究極の刑を 維持してきた米国。
犯行を否定し続けていた 死刑囚が、 執行直前
「 射殺したのは私です 」と 告白したこともあります。
市民が 最期の瞬間を見届けることは 重要だと、 ある記者は述べています。
〔 読売新聞より 〕
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます