「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

アメリカ 執行も公開 -- 償いの意味 (7)

2009年06月22日 21時21分55秒 | 死刑制度と癒し
 
 カーテンが開くと、 ガラス窓の向こうに、

 ベッドに拘束された 黒人男性の死刑囚が見えます。

 左腕に 薬物注射用の管が 挿入されています。

 処刑室に面した 部屋のひとつに、 記者や地元メディアの3人と 教誨師。

 もうひとつの部屋には、 被害者の遺族6人もいます。

「 これから死刑を執行します 」

 所長の声が スピーカーから流れました。

 死刑囚は 教誨師に向けて親指を立て、

「 大丈夫だ 」という サインを送りました。

 遺族の方を 見ることはありませんでした。

 睡眠剤の注入が 始まります。

 次いで、 全身をまひさせる薬、

 さらに 心臓を停止される薬が 注入されます。

 死亡確認は 午後6時17分でした。

 執行に立ち会った 被害者の長女は、

「 最後に 反省の言葉を期待したのに、 こちらを 見向きもしなかった 」

 と、辛そうに語りました。


 アメリカで 死刑制度がある35州では 全て、

 遺族やメディアが 執行に立ち会えます。

 獄中の死刑囚への インタビューも、 多くの州で 認められています。

 薬物注射は絞首刑よりは 楽に死ねるだろうが、

 睡眠薬が効かないと 激痛が襲うこともあるらしい、

 という証言なども 得られます。

 メディアだけでなく 市民にも、 死刑に対する情報は 公開されています。

 市民が 制度の是非を 議論できるよう、

 コストをかけて 執行状況を公開しながら、 究極の刑を 維持してきた米国。

 犯行を否定し続けていた 死刑囚が、 執行直前

「 射殺したのは私です 」と 告白したこともあります。

 市民が 最期の瞬間を見届けることは 重要だと、 ある記者は述べています。

〔 読売新聞より 〕
 

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