「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子と想い出の花見

2006年04月02日 18時05分45秒 | 心子、もろもろ
 
 今年も花見の季節です。

 心子と行った、家の近くにある川沿いの見事な桜並木を見にいきました。

 彼女が旅立ってからもう早6回目の桜になります。

 花曇りのなか、風が吹くと花吹雪が舞い、幻想的でもありました。

 川面に浮かぶ無数の花片もまた風情があるものです。

 延々と続く桜のトンネルのような素敵な所もあります。

 川沿いの道の脇(川の反対側)に並ぶ桜たちが、その枝を川面へ向かって大きく延ばして降ろし、

 道を歩く人の頭の上を覆って、ちょうど桜の花びらが形作るドームのようになっているのです。

 手を延ばせば花に届くほど、枝は低く垂れ下がっています。

 そんな桜の下、彼女と腕を組んで花を愛でたことを思い出しながら歩きました。

 このところ自然に触れる機会が少なかったですが、心が和むひとときでした。

 心子との想い出の場所を回顧しながら歩きました。

 彼女と写真を撮った所、焼き鳥とビール味わった出店、並んで座ってしゃべったベンチ、甘酒を飲んだ神社……。

 毎年桜の時期に歩いて回ります。

 そして、拙著の中のエピソードにも出てきた、川向こうで爆発を起こした家……。

 ところが、この家は取り壊されて駐車場になってしまっていました。

 他にも、家屋が壊されて更地になっていたり、信号の位置が変わっていたり。

 想い出の場所も、時の流れと共に少しずつ変わっていくのでしょう……。

 でも街は変わっていっても、本の中の彼女はいつまでもずっと生きています。

 やはり、彼女のことを書き残すことができて良かったと思うのでした。
 


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