「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

パーソナリティ障害と 刑事責任能力

2010年05月23日 20時49分19秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
(前の記事からの続き)

 解離性同一性障害とパーソナリティ障害の 解離症状の差異に対して、

 刑事裁判では責任能力を どのように判断するべきでしょうか? 

 心子も 広義の解離性同一性障害でした。

 記憶をなくすことも しばしばありました。

 または、 記憶のない時ではなくても、

 心子が何かのきっかけで、 人を害することを 起こさなかったとは言い切れません。

 現実には 犯罪とは縁遠い心子でしたが、 一般にBPDの人は、

 罪科を起こしたり 巻き込まれたりする可能性も、 ないとは言えないでしょう。

 解離性同一性障害は 責任能力を免れる場合が あるのに対して

(日本ではまだ そういう判決はありませんが)、

 パーソナリティ障害は責任能力ありとされます。

 自分を抑えらずに、 自分自身が最も苦しんでいる パーソナリティ障害の人に対して、

 それは酷な面が あるのではないかと、 僕は感じています。

 統合失調症などは、 心神喪失なら 刑事責任を負わされないことがあります。

 心神耗弱の状態では 刑を減じられます。

 BPDの人が 例えば解離を起こしたとき、

 心神耗弱、 さらには 心神喪失とも言える 状態があるかもしれません。

 詳しい精神医学的な 研究が必要で、 法的にも綿密な 検討が望まれます。

 裁判員になる市民にも、 真摯に考えていってほしい問題です。

 そのために、 パーソナリティ障害の知見が もっと広く知られ、

 理解されるようになっていかなければ と思います。

(次の記事に続く)
 


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