第8波の入口か…“ケルベロス”“グリフォン”海外で新たな変異株 日本では4歳以下のワクチン接種開始【ひるおび】
2022/10/26 14:00
(TBS NEWS DIG)
冷え込みが続くと、より警戒が必要となってくるのが新型コロナの再拡大。
第8波が懸念される中、厚労省は生後6か月から4歳の子どもを対象としたコロナワクチン、約700万回分の配送を開始。準備の整った自治体から順次接種が始まる予定です。
一方、欧米ではオミクロン株の新たな変異株が確認され、猛威をふるっています。日本への流入の可能性はあるのでしょうか?専門家に聞きます。
■「寒いところから感染が始まる」全国の感染者数 2か月ぶりに増加
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全国の新規感染者数が、2か月ぶりに増加に転じています。前週(10月19日までの1週間)に比べ、1.35倍となっています。自治体別、関東1都6県で新規感染者数の前週比を見ても、全ての県で増加しています。
厚労省専門家組織 脇田座長は
「北海道・東北などが感染スピードが早い。寒いところから感染が始まるということもあるかもしれない」と述べています。
ーー全国的に2か月ぶりに増加傾向ということですが、原因は?
東北大学大学院 小坂健教授:
特に寒い地域で多いというのは、ひとつは寒さで換気ができなくなってきていること、さらに東日本の方がこれまでの感染者が割と少ないので、免役を持っている人が少ないといえるかもしれません。やはり寒さとともに防御機能も少し落ちてきますので、呼吸器感染症はどうしてもこの時期から増えていきます。
ーー一時の26万人という高い数字から比べると、1万人台とかなり減っているようには感じるんですが、この数字をキープしていけるでしょうか?
小坂教授:
昨年もそうですし一昨年もそうですけど、やはりこれから冬にかけて感染者が増えると。第7波より高い波が来るんじゃないかという予測をしている人もいます。そういう最悪の状態に備えながら、またインフルエンザの流行にも備えながら、今のうちに対策をとっていくことが必要です。
■海外では新たな変異株も
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日本では、オミクロン株BA.5系統に概ね置き換わっているという状況の中、海外では2つの変異ウイルスが確認されています。
▼通称“ケルベロス”と呼ばれている「BQ.1.1」
▼通称“グリフォン”と呼ばれている「XBB」
変異を繰り返しており、免疫をすり抜ける力が高く、さらに感染を広げる力も強いと見られています。
■アメリカなどで拡大する「BQ.1.1」
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「BQ.1.1」はアメリカなどで拡大しています。2022年9月にナイジェリアで報告され、イギリス・フランス・デンマークなど、これまでに48か国で確認されています。日本でも既に検疫で11件、国内で6件確認されています。
アメリカでのBQ.1.1の割合は9月から徐々に増えていき、10月に入って急激に増えています。置き換わりが始まっており、今後も上昇が懸念されます。
■「XBB」は感染スピードが速いとの解析も
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一方のXBBは、シンガポールなどで拡大しています。2022年9月にシンガポールで報告され、インド・バングラデシュなどこれまで21か国で確認。シンガポールでは感染者の約半数がXBBと推定されています。こちらも日本では検疫で7件確認されています。
シンガポールにおけるXBBの割合ですが、BA.4/5、BA.2、BA.2.75の中に、XBBが9月中旬から増加しています。BA.5と比較して感染スピードが20%速いと解析する専門家もいるとのことです。
■「BQ.1.1」「XBB」専門家の見解は
ーー「BQ.1.1」「XBB」は、どちらもオミクロン系統なんですか?
東北大学大学院 小坂健教授:
どちらもオミクロン系統です。孫みたいなもので、「BQ.1」系統はオミクロン。「XBB」は2つの株が一緒になって合体したような形なのでそういう名前になっています。
ーー「BA.5」よりも怖いんですか?
小坂教授:
すごく病原性が高いとか重症化するということはまだはっきり分かっていません。
ワクチンや感染によって得た免疫を、すり抜けるものが広がる株なので、そういう株がこれからも広がっていく可能性はある。
ただ、これまでオミクロン株に感染した人でも、再感染する可能性が指摘されています。何度も感染すると重症化に繋がることもありますので、用心することになると思います。
新しい株だからとあまり心配する必要はないと思いますが、これまで通りの対策を続けていくことが必要だろうと思います。
ーー「BQ.1.1」「XBB」について、ワクチン接種の効果はありますか?
小坂教授:
新しいハイブリッドのワクチンが出て、「BA.5」などにも対応できるようになってきています。ただ今回の新しい株が、「免役逃避」と言って、少し効きが悪いんじゃないかという報告があります。逆にそういう株だからこそ流行してくる。
だからこれまで通りワクチンのブースター接種(追加接種)をやりながら必要最低限のきちんとした対策をとっていけばいいと思います。
ーーインフルエンザもコロナも、どちらもワクチンを打った方がいいですか?
小坂教授:
そうですね。特にインフルエンザのワクチンをしっかり打っておくことが重症化予防にもなりますし。今は同時接種も可能ですので、ブースター接種とインフルエンザを同じ日に打つこともできます。
■4歳以下のワクチン 順次接種開始
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10月24日から、生後6か月〜4歳を対象とした新型コロナのワクチン接種が始まりました。使用されるのはファイザー社のワクチン。有効成分が大人の10分の1なので、合わせて3回の接種が必要になります。
接種間隔は、1回目と2回目の間が3週間。2回目を打った後は少なくとも8週間空けてから3回目の接種となります。準備の整った自治体から順次接種を開始するということです。
生後6か月〜4歳のワクチン接種も、5歳以上と同じ予防接種法上の「努力義務」ということですので、打つ本人や保護者が納得した上で接種を判断することになります。
恵俊彰:
生後6か月ぐらいだとポリオであったりいろんなワクチンたくさん打ちますけども、
やっぱりこれも3回打たなきゃいけないんですね。
小坂教授:
やはり子どもたちのワクチンは中身のメッセンジャーRNAが少ないので、3回打たないとなかなか効果が現れないということになっています。
ーー努力義務となっていることについて
小坂教授:
インフルエンザなどに比べて、このところ新型コロナの入院が増えているとアメリカで報告があり、200人以上が亡くなっているんですね。だから基礎疾患のある方は打った方がいいし、対策としていろんなことをやっても、なかなか子どもたちの感染拡大を止めるのが難しい。シンガポールやアメリカでも、ワクチンで防いでいこうという形になっています。
ただ子どもたちはそれほど重症化しないし、感染予防効果はそんなに高くはないのでその辺のバランスをどう見るかというのは非常に悩ましい選択になると思います。
恵俊彰:
各ご家庭の判断ということになるようですね。でもやれることをしっかりやりながら、これからやってくるだろう第8波に備えるということになるんでしょうか。
(ひるおび 2022年10月25日放送より)