東京都葛飾区の産院で、勤務1年目の助産師、森山愛子さん(当時29歳)が自殺し、上司の言葉によるパワハラが原因として、労災を認定していたそうだ。
森山さんは05年4月から勤務。上司の看護師長から「能力がない」「年だけ食っている」「辞めてもらうしかない」などの暴言を人前で浴びせられるようになったとか。
森山さんは11月ごろからやせ始め、12月には精神科で不安抑うつ障害、不眠症などと診断。
夜勤明けに提出を求められたリポートを届けに行った際に「あんたができないことを上に報告してやる」などと言われ、その夜に自殺を図ったらしいとか。
勤務を初めて1年もしないうちに、自殺に追い込まれたなんて、職場の同僚や、遺族にとっても、思い問題になっていることだろう。
以前、派遣で某工場に勤務していたころ、別の派遣先からきていた人が、派遣元の事務所勤務にうつったことがあった。
何ケ月かして、所用で工場にやってきた。
目がぎょろっとして、ふたまわり位やせていて、別人のようだった。
それから何カ月もしないうちにその人は、自宅の布団のなかで、就寝した状態で死亡しているのを娘さんに発見されたという。
突然死だった。
勤務を変わって何があったかは知る由もない。快活だったその人が、半年もしないうちに別人のように
変わってしまったことを、同じ派遣元の人が、「職場のせいでは?」と言ったことを思い出した。
パワハラとかセクハラとか、何があったかはわからない。
死に追い込まれてしまったことを、なんとか防げなかったのかと、誰もが思うだろう。
救いの手がなぜ、届かないのか。パワハラとか、異常なことが起きていることがなぜ、継続されてしまうのか。
人間関係に不満を持って、職場を去る人は多い。
「いごこちがよければ、辞めないよ」とかつての同僚が言ったことがあった。
居心地が悪くても辞めるという選択肢を選べない人もいるんだということをこの事件で悟った。
職場環境の改善は、ものすごく難しいこと。
かつて、職場の環境について上司にモノ申して改善してもらったことがある。
改善の要求ができない。改善を申し入れたら、かえって左遷させられたとかなんてことを聞いたこともある。
労働環境は、経営者と労働者双方の努力と改善意欲と、モノ言える環境がそろわなかれば、よくならない。
その点でいえば今回の労災認定は、意義あるものと評価できるだろう。