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「イプシロン」初の打ち上げ失敗、市場開拓に大打撃…機体は海中深くに沈んだか

2022-10-13 08:40:32 | ニュース
「イプシロン」初の打ち上げ失敗、市場開拓に大打撃…機体は海中深くに沈んだか
2022/10/13 01:46

(読売新聞)
 宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)は12日午前9時50分、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から固体燃料ロケット「イプシロン」6号機を打ち上げた。打ち上げ後、姿勢に異常を確認し、6分30秒後に指令破壊の信号を送った。機体は推進力を失い、フィリピン東方の海上に落下したとみられる。今回の実績を小型人工衛星の打ち上げ市場開拓の足がかりとしたかった政府にとって、大きな打撃となった。

 イプシロンの打ち上げ失敗は初めてで、日本の基幹ロケットでは、2003年の「H2A」6号機以来の失敗となった。

 JAXAによると、イプシロン6号機は、2段目のエンジンの燃焼終了後、第2段と第3段を分離する前に姿勢の異常が確認され、衛星の軌道投入ができなくなった。姿勢制御装置に何らかの問題があったとみられるという。文部科学省は同日、原因究明を行う対策本部を設置した。

 イプシロンは全長26メートル、重さ96トンで、JAXAと宇宙企業「IHIエアロスペース」(IA、東京都)が開発した。姿勢制御に関わる部品はモーターなど多数に上る。JAXAは機体が海中深くに沈んだとみており、引き揚げて機体を直接調べるのは難しいという。

 同日午後に記者会見したJAXAの山川宏理事長は「大変申し訳なく思う。まずは原因を捉えて対策を打つことが信頼を取り戻す上で最も重要で、力を注いでいきたい」と陳謝した。

 イプシロンは計約600キロ・グラムの衛星を搭載でき、6号機には、宇宙新興企業「QPS研究所」(福岡市)の小型レーダー衛星2基を含む計8基が搭載されていた。イプシロンが商業衛星の打ち上げを受注したのは今回が初めて。世界的に小型衛星の打ち上げ需要が高まる中で、今回の打ち上げは新たな市場開拓につながると期待されていた。

 23年度には後継機の「イプシロンS」1号機の打ち上げも予定され、ベトナムの衛星を打ち上げることになっている。24年度の同2号機以降はIA社が運用をJAXAから移管されることになっており、原因次第では、イプシロンSの運用計画に変更が出る可能性がある。さらに、共通の部品がある国産次期主力ロケット「H3」の打ち上げ計画に影響を及ぼす恐れもある。

 宇宙政策に詳しい秋山演亮ひろあき・和歌山大教授は「限られた人員や予算の中でどう信頼を取り戻していくか、JAXAの能力が問われている」と指摘している。