西暦1637年の天草・島原の乱において原城に立てこもった絵師山田右衛門作は、陣中旗に「綸子地著色聖体秘蹟図」つまり綸子(リンズ)の地(じ)に色つきで聖体つまりキリストの身体の秘蹟(サクラメント)を描いていたのだ。
最後の晩餐はワインとパンの晩餐だったので、中央にキリストの血とされるワインを容れるゴブレット、その中にキリストの身体を示すパンの光輪、そして羅典(ラテン)十字架。その上に、「ユダヤ人の王ナザレのイエスJesus de Nazaré, Rei dos Judeus」の頭文字「JNRJ」と記し、翼を生やした二天使ルシフェルとミカエルが左右に侍り、上部には、「LOVVAD・SEIAOSẨCTISSIM・ SACRAMENTO (最も貴き贄を讃え崇める)」と記して一揆勢を鼓舞していたのである。
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