monologue
夜明けに向けて
 



 
        *赤い月の形としての物語*

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      ジャンヌはもはやフランスから来ないだろう。
      黒い旗はむしろカリブの方向から来るだろう。
         「さて」と娘は話す。
      「私は何処に着くのでしょう」
      そう、娘の舟は月の影を回り、そしてヴィナスの夢を見る。
      大いなる「海王」と、大いなる「眠りの王」との
      楕円の舞踏会では、「火の王」と「木の王」とが密談を交わす。
      ひとり外れて「土の王」が嘆く。
      「水の王」は娘のために舟を出す。



 「私の舟は、何処に着くのでしょう」以下の記述はシュメールの宇宙創世叙事詩エヌマ・エリシュ(Enuma elish)に基づいている。ややこしい物語 だがそのあらましをみておこう。
エヌマは時間(When)で、エリシュは上(high)(天)ではと言う意味で絶頂の時などとも訳される。
「混沌の中に、水の男神太陽アプス(Apsu)と、海の雌竜、原地球ティアマト(Tiamat)と、生命の源、水星ムンム(Mummu)が存在した。
アプスとティアマトから、火星ラフム(Lahmu)と金星ラハム(Laha
mu)土星アンシャール(Anshar)と木星キシャール(Kishar)
天上神天王星アヌとその息子の知恵の神海王星エアが誕生した。
アヌやエアたちの喧騒に耐えかねてアプスは子供たちを滅ぼそうとしたので
エアがそれに気づいてアプスを眠らせしムンムも動けなくした。
今度はティアマトが二番目の夫キングウ(Qingu)と一緒になって戦いに
臨む。エアは敗れアヌも敗れた。それでエアはダムキナとマルドゥクを生む。
アンシャールはマルドゥクにティアマト平定を命じ、マルドゥクはティアマトの身体を裂き天と地に分けた。かれは太陽、月、惑星を造り、時を十二分割して、
ティアマトの身体からバビロニアの国を造り主神となった。エアはキングウの血で奴隷となる人間を造った。」
大いなる「眠りの王」という表現は海王星、エアによって眠りを与えられた祖神太陽(アプス)のことであろう。イナンナ(ヴィナス)を主役にして太陽系の惑星の運行を描いているのである。
fumio


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