*月の形としての物語*
〔プロローグ〕
銀色の舟の娘は、葦の夢の中に分け入る。
ゴーマは、星の形を散りばめた布の国から。
暗い日々の夜明けは、黒い羊の葬られた所へ。
「見よ」と声がする。
叫びは鳥の鳴き声と共に、夜明けの町にこだまする。
人は赤い月の表面に、メイオウの影を読み取る。
その時、隠されていた嘆きは壺の中から出てくる。
「見よ」はいつもいうように三四で四三が返っているから「甦る(黄泉帰る)」と声がするのだ。「叫び」は酒の神であり日の神である大物主(ニギハヤヒ)の言い換え。かれの叫びが夜明けの町にこだまする。
「人は赤い月の表面に、メイオウの影を読み取る。」
赤い月(mono)はやはり隔り世にある大鬼(mono)主であろう。
人は大物主(ニギハヤヒ)が冥王、明王(メイオウ)でもあることを読みとる。
fumio
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