山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

乱知180531:美しい師弟愛

2018-05-31 | 乱知タイム
乱知180531:美しい師弟愛
新大関・栃の心の口上を見て、久しぶりにすがすがしい気持ちになりました。「親方の教えを守り」は、日大アメフトで大混乱している現在、実にタイムリーな言葉でした。親方はその文言を削除するよう求めたのですが、栃ノ心はそれを拒んだようです。美しき師弟愛。大関を応援したくなりました。どろどろの相撲界に、さわやかな風が吹き込まれました。
山本藤光2018.05.31

ビリーの挑戦2-083cut:新谷営業部長との打ち合わせ

2018-05-31 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-083cut:新谷営業部長との打ち合わせ
――Scene13:SSTからアカデミーへ
影野小枝 会議室に、漆原SSTアカデミー責任者、桑田SSTアカデミー事務局長、新谷営業部長がこもっています。
新谷 ぼくの希望がかなって、感謝している。
漆原 営業リーダーにSSTと同じことを体験させるのは、ちょっと苛酷だとちゅうちょしていたら、社長に「やれ」と一喝された。
新谷 SSTアカデミーの概要を説明してくれないか?
桑田 まず18支店(組織変革があり、支店は10から18に増えています)から、1名ずつ営業リーダーをピックアップしていただきます。対象は「2-6-2」の真ん中「6」を半分と、トップとぶらさがりの「2」から半分を選んでいただきます。
新谷 ぶらさがりの「2」は、やってもムダだと思うけど。
漆原 ダメだったら、専任MRとして部下なしで、やってもらうことになる。
新谷 成果の検証はどうするんだい?
桑田 アカデミーのメンバーが2か月間入って同行したMRの、半年後の業績を見ます。伸びていたら合格、伸び悩んでいたら不合格とします。
漆原 SSTアカデミーに選ばれたメンバーには、2か月間で2人のMRと終日同行してもらう。目的はMRの育成で、彼らの同行の威力を体感してもらうことだからね。
新谷 その間営業所は誰が面倒をみるんだい?
桑田 支店のスタッフとか支店長に、お願いしようと考えています。
新谷 支店長をメインにした方がいいな。錆びた現場感覚が戻るかもしれない。
漆原 メンバーは3人が1組で、SSTが入っていない営業所に常駐してもらう。
新谷 するとその間は、営業所に4人もの営業リーダーが存在するわけだ。
漆原 4人がお互いに刺激し合いながら、MR育成を真剣に考えてもらえるような場も設定する。
桑田 まず必要なのは、メンバーに対する製品知識教育です。事前に2週間、徹底的に話法を鍛えます。それと上から目線での同行は、必ずMRとの確執が起こります。そのあたりの訓練もします。

新・知だらけ001:対(つい)をつなぐ

2018-05-31 | 新・知だらけの学習塾
新・知だらけ001:対(つい)をつなぐ
――ウオーミングアップ
本日から新装版『知だらけの学習塾』をお届けします。連載の趣旨は、拙著『仕事と日常を磨く人間力マネジメント』(医薬経済社)のなかの、「日常」にスポットをあてるものです。

塾長は北海道の標茶町で、受験勉強とは無縁の高校生活を送りました。その後大学へ進学しますが、4年間を都内にある「北海寮」で過ごしています。ピンは東大からキリは中大(塾長の出身校)まで、北海道出身の大学生120名が共同生活をしていました。北海寮は現在個室になり、60名ほどの定員になっています。ここで徹底的に「人間力」が鍛えられました。

「人間力」とは、「対(つい)をつなぐ」力です。そのために最も大切なことが「共感力」となります。明るく前向きな場をいかに作るかの能力が人間力の根幹なのです。

最悪なのは、仕事バリバリ家でゴロゴロなる世界です。これは仕事と家庭という対(つい)がつながっていない状態を表しています。塾長は対(つい)の概念を、きわめて大切だと考えています。夫と妻。親と子。上司と部下。平日と休日。自宅と近所。大人と子ども。男と女。たくさんの対が存在していますが、これらを的確につなぐのが人生の極意です。

質を測る028:米国の新人営業担当者導入教育

2018-05-31 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る028:米国の新人営業担当者導入教育
――第3章:営業リーダー
 米国ロシュで、カルチャーショックを受けたことがあります。現地の研修部長と、ディナーをともにしているときの会話です。
米「新人営業担当者の研修はどうやっているんだい?」
日「研修部が中心となって、約半年間の導入教育をします」
米「研修部が新人の面倒をみているのかい?」
日「ええ」
米「現地の営業リーダーはなにをしているの?」
日「配属営業担当者がきまったら、その営業担当者と同行します」
米「配属がきまったらって、現地の営業リーダーが採用しているんじゃないの?」
日「人事部が採用します」
米「営業リーダーは営業担当者の採用に関与していないわけ?」
日「だれが配属になるかは神頼みという具合で……」

 米国人の青い目が点になり、つづいて大きなため息がもれました。営業担当者の採用も、導入の知識教育も、米国ではすべて営業リーダーに課された最重要の役割です。それを第三者任せであることが、不可解で仕方がなかったようです。

 米国では新人営業担当者の採用は、営業リーダーのもっとも重要な役割になっています。自ら面接し採用をきめたあとの1か月間、営業リーダーは重点製品1つ(製品Aとしておきます)を徹底的に教育します。
そしてテストで90点以上がとれるようになったら、営業担当者を本社研修部のロールプレイセンターに送ります。営業担当者はここで2週間、さまざまなシチュエーションで製品Aのロールプレイをくりかえします。
合格したら、ふたたび現地に戻され、営業リーダーは1か月間製品Aのみの同行指導を実施します。営業リーダーが「合格」を告げた時点から、営業担当者は初めて単独で製品Aの宣伝が可能になります。

その後営業担当者は製品Aの同行指導を受けながら、製品Bを学びます。つまり営業リーダーは同行を終えた夜に、営業担当者に対して新たな製品の教育を実施するわけです。主力品が6つあった場合は、ちょうど10か月要することになります。

 私は日本の製薬会社は、こうあるべきだと思います。米国の営業リーダーは、「雑用で忙しい」などのエクスキューズを絶対に発しません。彼らにはオフィスはありません。経費精算も学術資材の受けとりも、簡単な営業担当者とのミーティングも、すべて自宅兼オフィスでこなします。独立自営。彼らにはちょっとした経営者の雰囲気がただよっています。
 日本の営業リーダーに求めたいのは、知識教育ができることと人材育成に熱意があることです。新人営業担当者が配属になったときに、平気で「今年はハズレだ」などという営業リーダーがいます。こんな無責任は、許されることではありません。企業は営業リーダーを、米国並みのレベルまで引き上げる努力を急ぐべきです。


のほほん180531:仁木悦子の新刊文庫

2018-05-31 | のほほんのほんの本
のほほん180531:仁木悦子の新刊文庫

仁木悦子を知らない人が、いるかもしれません。書店ではポプラ文庫の棚に並んでいるきりです。最近、『赤い猫』(ちくま文庫)が発刊されました。日本のクリスティと呼ばれる作品を、ぜひ読んでいただきたいと思います。
山本藤光2018.05.31

2つの見極め:めんどうかい077

2018-05-31 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
2つの見極め:めんどうかい077
――第4章:威力ある同行
◎ショートストーリー

①コンピタンシーモデルを活用する

上司「コンピタンシーモデルには、『顧客ニーズを探る活動:常にアンテナを高くし、顧客の言動から速やかに、顧客のニーズを探ることができる』と書いてある。きみの顧客ニーズを探る現状の活動は、5点満点で何点くらいだろう?」
部下「まだピンとこない場合もありますから、3点くらいだと思います」
上司「ではコンピタンシーモデルに、少しでも近づくようにがんばってくれ」

②身の丈コンピタンシーを活用する

上司「きみの『顧客ニーズを探る活動』って、5点満点で何点くらいだろう?」
部下「平均的だと思いますので、3点くらいだと思います」
上司「では、きみの考えるもうワンランク上の『顧客ニーズを探る活動』って、どんなものだ?」
部下「……(考え込んでいる)」

◎考えてみましょう

 2つの質問のどちらが、営業担当者のレベルアップにつながるのか。考えてみましょう。

 ①は多くの企業が導入している「コンピタンシーモデル」です。営業担当者の理想的な活動を、具体的に記載されています。ところが要求レベルが高過ぎて、平均的な営業担当者は使いこなせないのが現実です。

 ②は営業担当者自身に、ワンランク上の活動を考えさせる「身の丈コンピタンシー」です。2つの違いは歴然としています。

 営業リーダーの大切なスキルは、「考えさせる」「聞き取る」です。営業担当者が自ら考えたワンランク上の活動は、本人が責任を持って到達できるように努力をします。

営業担当者の活動リストのなかから、1つか2つを選んでレベルアップを図るのがポイントです。1度にたくさんのゴールを設定しないこと。たくさんのゴールを設定してしまうと、目標が散漫になってしまいます。

「身の丈コンピタンシー」については、後章で詳しく説明がなされています。部下にワンランク上の活動を可視化させることは、きわめて重要なことです。

妙に知180531:流れに棹さす

2018-05-31 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180531:流れに棹さす
こんな問題がありました。「流れに棹さす」の正しい意味は次のどれでしょうか。
1. 世間一般の動向に反する
2. 物事をさらに順調に進行させる
3. 人の会話に割り込む

この問題に不正解だった人は、罰として「妙に知」の5月分を全部読むことを命じます。回答は下記年月日の最後にあります。
山本藤光2018.05.312

町おこし142:理佐の笑顔

2018-05-31 | 小説「町おこしの賦」
町おこし142:理佐の笑顔
――『町おこしの賦』第5部:クレオパトラの鼻
 宮瀬幸史郎の運転で、虹別の南川家へ行った。理佐に、線香をあげるためだった。案内されて居間に入ると、以前辺地校訪問で面識のある父親がいた。そして愛華がいた。恭二を認めて、愛華は抱きついてきた。
「瀬口くん、北大合格おめでとう」
 荒々しい歓迎を受けてから、恭二は仏壇で手を合わせる。目の前に、あの笑顔があった。

「わざわざきていただいて、ありがとう。理佐は喜んでいる」
 父はそういって、頭を下げた。横から愛華が、父に説明をはじめた。
「瀬口くんは、私と一緒で新聞部。菅谷くん、ごめん、宮瀬くんになったんだね。宮瀬くんは、生徒会長だったの。新聞部の記事が、最終的には議会で承認されて、現在のウォーキング・ラリーとして花開いたのよ。宮瀬くんはね、そのために議会で演説したんだから」
「私も行ってみたが、年寄りにはしんどいコースだった。マイクロバスか何かで、巡回してもらいたいものだ」
「お父さん。それでは、ウォーキング・ラリーにならないよ」

 愛華の突っこみに、父は頭に手を置いて笑った。その背後に、理佐が描いたポスターが貼ってあった。それを見ながら恭二は、ずっと気になっていたことを質問した。
「仏壇の理佐ちゃんの写真ですけど、どこで撮ったものですか?」
「いろいろ探してみたわ。あの笑顔が一番すてきだった。隣りには猪熊くんがいたけど、もちろんカットさせてもらったの」
 愛華の説明に、恭二はやっぱり幣舞橋の写真だと納得した。
「あの写真のころ、理佐が最も幸せだったと思う。すてきな笑顔だよね」
 恭二はうなずく。帰りにもう一度、仏壇で手を合わせる。そして心のなかで、ささやきかける。勇太はね、高校をちゃんと卒業したよ。お父さんの代わりに、立派な酪農家になるっていってくれた。写真の理佐は、笑っていた。

 南川家を辞して、二人は標茶町へと戻っている。急に風が強くなり、灰色の空からは激しい雪が落ちてきた。雪は上から下へではなく、真横に降っている。そして下から上へと、激しく舞い上がる。一寸先が見えなくなった。前を走っていた車の、テールランプが消えた。強烈な地吹雪である。幸史郎はハンドルに覆い被さり、顔を前方に突き出す。シャッターを下ろされたように、前方には白い壁がそびえている。
「恭二、窓を開けて、腕を突き出していてくれ。そっちの雪山に触れながら走れば安全だ」
 運転席の方は、崖になっている。理佐が命を失った場所だ。スピードを落とし、車は慎重に進む。窓からは、うなりを上げて雪が入りこむ、ワイパーは水を払う犬の首のように、超高速で左右に動いている。しかしフロントガラスは、あっという間に雪で閉ざされてしまう。
「もう少しだ」
 幸史郎がいった。町へ入れば、地吹雪から解放される。次第に視界が開けてきた。幸史郎は深い息を吐き出し、「抜けた」と叫んだ。恭二は痺れた腕を引き抜き、窓を閉じた。腕にまとわりついた雪は、凍っていた。急に静寂がやってきた。恭二は前方に目をやり、幸史郎にいった。
「こうちゃん、あんな地吹雪のなかで考えることって、生か死しかないんだね」
「おれは、死は考えない。生きることだけだ」
 恭二はこわばった腕を、さすりながら笑った。コインがくるくる回っている。どちらを向けて倒れるか。おれの考え方を、幸史郎は強く否定した。恭二は幸史郎に、たくましさを感じた。表向きのコインを、突き出された感じだった。

乱知180530:自浄作用がない

2018-05-30 | 乱知タイム
乱知180530:自浄作用がない
アメフト関東学連が、日大の監督、コーチの除名を決定しました。選手への聞き取りやビデオでの検証で、違反を認定したとのことです。日大はいまだに、何ら問題はないとの立場のままです。日大には自浄作用がないのでしょうか。砂上の楼閣という言葉が浮かびます。そして相撲協会の姿が重なります。スプリンクラー装置のないこれらの組織は、あっという間に炎上するのが常です。
山本藤光2018.05.30

ビリーの挑戦2-082cut:SSTアカデミー始動

2018-05-30 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-082cut:SSTアカデミー始動
――Scene13:SSTからアカデミーへ
影野小枝 定期人事異動が終り、SSTメンバーのみなさんも新たな職場へと赴きました。みんな希望がかなって、満足そうに新たな出発をしています。
岸本 SSTが終了した翌月から「SSTアカデミー」が立ち上がりました。引き続き漆原さんの秘書として、私も参画します。今度は営業リーダーに、SSTと同じことをしてもらうプロジェクトです。SSTプロジェクトのときよりも、ずっとしんどそうです。何しろおじさんばかりですから。
漆原 桑田くん、SSTアカデミーの事務局長として、SSTの経験を活かして存分に腕を振るってもらいたい。それにしても、あのとき辞めなくてよかったな。きみはしっかりとプロジェクトを全うしてくれた。
桑田 ありがとうございます。力いっぱいやらせていただきます。あのときは、完全に自信喪失状態でした。自分に対する情けなさがイライラ感になって、それがMRに伝わったのだと思います。
影野小枝 桑田さんが辞めたいといった夜、SSTリーダーの権藤さんとの面談を再現しておきます。

◎桑田SSTと権藤SSTリーダー
権藤 このままがんばり続ける自信がなくなった。だから辞めたい。きみはそういったね。
桑田 2人のMRは全く、いうことを聞いてくれません。
権田 命令するの世界を、考えさせるの世界にするのが、おれたちSSTの役割じゃなかったのか?
桑田 命令なんかしていません。でも、おかしいなと思うことはきちんと理由を説明しないと、彼らのレベルはいつまでも上がりません。
権藤 それって正論なんだけど、人間には2つのタイプがあるんだよ、1つは指摘されて、それを真摯に受け留め、指摘されたことに感謝するタイプ。もう1つは指摘されて、不快感をもつタイプ。世の中にどっちのタイプが多いかな?
桑田 指摘されるとイヤな気持ちになる人が、圧倒的に多いと思います。
権藤 では指摘に代わる方法って、どんなものがある?
桑田 相手にそれとなく気づかせる、ことですね。
権藤 分かっているじゃないか。そのためには、相手の弱みについてはまずきみが「やってみせる」ことしかないだろう。そして相手に「今の自分のやり方をどう思う?」と問い掛けるんだ。
桑田 そうでした。権藤さんたちが同行MRとうまくやっているので、焦っていたのかもしれません。
権藤 辞めるのは簡単だし、楽なことだ。自転車に乗りたい幼い子が何度も転んで、乗るのを諦めてしまう。この子は永遠に自転車に乗れない。きみはやがて営業リーダーとして、何人もの育成をしなければならない。転んでも転んでも挑み続ける。今おれは、きみにそんな光景を重ねている。
桑田 権藤さん、すみませんでした。明朝2人と腹を割って話し合います。まず私のトレーナーとしての立ち位置が、間違っていたことを謝罪します。その上で、一緒にレベルアップさせてもらいたいとお願いします。
権藤 マイナスの感情ってやつは、重なると突然爆発する。そんなときは物陰で、「不愉快だ」を10回いってごらん。しまいには「愉快だ」といっているきみがいる。
桑田 権藤さん、ありがとうございます。やり直します。

影野小枝 さっきの場面に戻しますね。
漆原 SSTアカデミーの概要を説明しよう。営業リーダーを2か月半、現場から引き抜く。2週間本社で、主に製品知識に磨きをかける。それからは知らない営業所で、知らないMRと終日同行をしてもらう。終了後半年で、同行したMRの成果が上がっていたら合格。変化がなかったら不合格として、営業リーダーを外れてもらう。
桑田 えー、降格させるんですか。
漆原 専任MRとして、がんばってもらうことになる。
岸本 雑用で忙しくて終日同行はできない、といっている営業リーダーさんたち、本当に2か月間もずっと同行を続けられるのですか?
漆原 そのための仕掛けは、しっかりと準備してあるよ。
桑田 事前トレーニングのとき、私の失敗体験もしゃべらせてください。権藤さんから教わった話を伝えたいと思います。
漆原 SSTアカデミーは、例の大失敗した同行専任部隊よりも、はるかに劣ったメンバーが参加する。ハードルは極めて高い。くたびれた営業リーダーをいかに甦らせるかが、アカデミー成功の鍵となるだろう。
影野小枝 とんでもないプロジェクトが、動き出すようですね。どんなものなのでしょうか。