山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

乱知180506:祈りが通じた

2018-05-06 | 乱知タイム
乱知180506:祈りが通じた
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が、ついに世界遺産に認定されるようです。長い祈りが通じたのでしょう。奄美・沖縄の潜伏キリシタン遺産の方は延期になっています。
山本藤光2018.05.06

知だらけ102:努力

2018-05-06 | 知だらけの学習塾
知だらけ102:努力

人間力のある人には意欲がある
意欲のある人には夢がある
夢のある人には目標がある
目標のある人には努力がある
努力のある人には失敗がある
失敗のある人には反省がある
反省のある人には経験がある
経験のある人には智恵がある
智恵のある人には人間力がある
最初に「努力」と反対の語句を引いておきます。労せずして功を得る。最近の若者を見ていると、どうもこうしたお手軽タイプが増えているようです。「努力」とは、「目標」に向かって切磋琢磨することです。

部下に業績評価のフィードバックを、したときの逸話です。私は断固として、最低の評価を告げました。「がんばっているのに」といって泣かれてしまいました。企業人にとって、評価の大前提は成果の有無です。

企業はどの社員にも、均一のインプットを与えています。インプットとは、環境、情報、知識のことです。ところがアウトプットは天と地ほども違います。アウトプットとは、成果、業績のことです。件(くだん)の人は成果が芳しくないのに、インプットとアウトプットの中間にある、プロセスの評価を求めたのです。

プロセスについては、上司が特別に関与しなければならない大切な部分です。当然、上司である私は大いに関与してきました。なぜならプロセス部分の優劣が、アウトプットの根幹だからです。

 営業の世界では、プロセス部分を「営業活動のブラックボックス」と呼んでいます。話法の熟成度、顧客ニーズの把握、学術資材の活用、クロージング能力など、ここにはデータベースで解析できない要素ばかりが散在しています。唯一ここを垣間見ることができるのは、営業マンの上司しか存在しません。

「努力」について、大切にしている文章があります。紹介させていただきます。

(引用はじめ)
努力して結果が出ると、自信になる。
努力せず結果が出ると、傲りになる。
努力せず結果も出ないと、後悔が残る。
努力して結果が出ないとしても、経験が残る。
(引用おわり。発言者不明)

幸田露伴の『五重塔』(岩波文庫)は、私もブログ「山本藤光の文庫で読む500+α」で紹介させていただいています。幸田露伴にはもう1作、素晴らしい著作があります。『努力論』(岩波文庫)がそれです。ちょっとだけ紹介させていただきます。

――努力することは素晴らしいことだ。しかし、自分が努力していると思っているうちは、まだまだダメだ。そこにはまだ自分の中にやりたくない気持ちが残っていて、それでも無理にやっているという不自然さがある。(中略)自分がやっていることが自分にとって自然であると感じられるような努力をしよう。それこそが努力の真髄であり、醍醐味なのだ。(幸田露伴『努力論』岩波文庫)

あの「がんばっているのに」の人には、ぜひ読んでもらいたい本です。

影野小枝:「努力」でネット検索をしたら、こんなのがありました。笑ってしましました。
――「努力」より先に「成功」が出るのは、辞書の中だけである。(作者不詳)

ビリーの挑戦2-058cut:仕事が楽しくなった

2018-05-06 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-058cut:仕事が楽しくなった
――Scene08:SSTプロジェクト折り返し
岸本 これSSTの同行を受けた3回分144人の感想文のまとめです。まずはこちらから説明します。これは感想文のなかの、キーワードを拾ったものです。

◎SSTと同行して確実にレベルアップしたこと(同行MRの感想文より)
・「製品ファイル」の活用……122人(84%)
・「PDCA(同行)ノート」の活用……100人(70%)
・ワンランク上の活動を目指す……61人(42%)
・仕事が楽しくなった……54人(38%)
・「朝書き日報」で1日の成果を思い描く……37人(26%)

漆原 「製品ファイル」が、いちばん評価が高いね。
河野 きちんと読みこなして学術資材をファイリングする。それも話法を考えて、並べ替えていますので、実用的です。
岸本 特筆すべきは、「仕事が楽しくなった」の54人です。ここには「やる気が出た」などの類似語も含めてありますが、仕事がイヤで仕方がなかったのに、SSTの仕事ぶりを見てからこんなに楽しくできるんだと実感したというのが、圧倒的に多かったです。
河野 すごいね。
岸本 まだ分析の途中ですが、80%のMRは「苦手な医師・医局がある」と当初は答えていました。それがSST終了後には、60%のMRはそこを単独訪問できています。
河野 もう少し分析を続けてくれないか。「朝書き日報」はまだ定着していないようだね。私はこれがMR活動を劇的に変える、魔法のツールだと確信している。 

どん底塾49:モナリザ・チェック

2018-05-06 | 小説「どん底塾の三人」
どん底塾49:モナリザ・チェック

「おまえたちには、早過ぎるテーマかもしれん。優れた営業リーダーについて、少し話をしておきたい。きちんとノートをして、将来リーダーになったら、思い起こしてもらいたい」
 亀さんは黒表紙のノートを開き、最初のページに張ってある紙を見せてくれた。『モナリザ・チェック』と書いてある。これは毎朝、声に出して読んでいたものだ。亀さんはホワイトボードに、タテに「モナリザ」と書いた。

――モ:モチベーションは高いか
――ナ:ナレッジは循環しているか
――リ:リーダーシップを発揮しているか
――ザ:ザ(定冠詞)のつく仕事をしているか 

「上から説明しよう。『モ』は、部下に向けた視点だ。部下のモチベーションをチェックせよとの戒め。『ナ』は、チームに向けた視点。ナレッジ(知)が、チーム内で共有化されているかの確認だ。『リ』は、自分自身への問いかけ。部下とともに現場で、汗を流しているかの確認だ。そして『ザ』だが、こいつの説明は難しい。定冠詞のザは、優れたものにつけられる。つまりだ、ザがつけられるような、優れた仕事をしているかの確認だ」
「モナリザ・チェックですか。何か感じがいいですね。だれが考えたんですか?」と大河内。
「おれにきまっているだろうが」
「亀さんって、詩人なんですね。見直しましたよ」と海老原。
「本も読まないおまえに、ほめられたところで、うれしくないよ」
「1か月に1冊、必ず本を読みます。昨日のノートに誓いをたてたんですから、実行しますよ」
 
「人生とは、見えない坂の上にある。人間っていうのは、楽な方へ楽な方へと行きがちなんだ。だからそうならないように、毎朝『モナリザ・チェック』を唱える。すると、今日もやるぞという元気が出てくる。思い描いたら、書けと教えたろ。今度は、それを声に出して読むんだ」

のほほん180506:日本の思想家の案内

2018-05-06 | のほほんのほんの本
のほほん180506:日本の思想家の案内

小浜逸郎『日本の七大思想家』(幻冬舎新書)は、重厚な一冊です。丸山眞男、小林秀雄、和辻哲郎、福沢諭吉などが取り上げられています。これらの思想家を学びたい方には、とっておきのガイドブックといえます。文章は非常にわかりやすく、読み応えがあります。
山本藤光2018.05.06

妙に知180506:大好きな季節

2018-05-06 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180506:大好きな季節
我が家は駅まで徒歩3分ほとのところにあります。リビングの窓から、駅へ向かう通勤・通学者の群れが見えます。冬場は足早だった人たちの歩調が、ゆったりとしてきました。桜やハナミズキの季節が終わり、アジサイに勢いが出てきました。丸裸だった枯れ木も緑の衣をまとい、気持ちよさそうに風に衣を揺らしています。もうすぐ72歳の誕生日がきます。桜から誕生日までの期間が、私は一番好きです。
山本藤光2018.05.06

同行法があったら:めんどうかい52

2018-05-06 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
同行法があったら:めんどうかい52
――第4章:威力ある同行
 もしも「同行法」という法律があったなら、ほとんどの営業リーダーは赤切符を切られています。それほど、営業リーダーの「同行」はお粗末です。私が関与した企業のどこにも、「同行の指南書」は存在していませんでした。マニュアルの存在が、ベストだとはいいません。しかし、理想的な姿くらいは定めておくべきでしょう。

 いかなる同行が、部下のモチベーションを上げるのでしょうか。そして部下を、どんな方法でレベルアップさせるのでしょうか。このくらいの指針は、示しておくべきだと思います。

 企業は営業リーダーに、営業担当者の育成を丸投げしています。きみたちは元優秀な営業担当者だったのだから、自己流でチームの業績アップを図ってもらいたい。そんな姿勢に、見えてしまいます。

 どこもこんな感じで、営業担当者の育成を営業リーダー任せにしています。我流指導のオンパレード。各社の同行には、まったく定まった「型」がありません。

「おまえのクロージングは、なっていない。あれじゃ、買ってもらえるはずがない」
 同行のあり方を学習していない営業リーダーは、平気でこんな言葉を吐き捨てます。いわれた方は、たまりません。どう改善したらいいのかが、わからないからです。

町おこし117:小さな消しゴム

2018-05-06 | 小説「町おこしの賦」
町おこし117:小さな消しゴム
――『町おこしの賦』第4部:標茶町ウォーキング・ラリー25
 詩織は少しずつ自分の体調が、戻ってきていることを実感している。頭髪もまばらではあるが、生え整ってきた。恭二に会いたいと思う。しかし恭二は、今が一番大切な時だ。詩織はあと一ヶ月の辛抱だと、自分にいい聞かせる。
詩織は、進学を断念している。病気は治癒に向かっているものの、完治に至ってはいない。ベッドの上で詩織は、スマホの写真を眺める。

二人で並んでいる、幣舞橋での写真があった。恭二の左のポケットからは、黄色いスマホのストラップがのぞいている。二人でストラップを交換した日が、よみがえってくる。
新聞部の部室で、二人が頬を合わせている写真があった。詩織が、自撮りしたものである。恭二は真っ白い歯を見せて、笑っている。
三枚目の写真には、恭二しか写っていない。理佐の祖母の家だ。二人で過ごした朝に、詩織が撮った。初キスの記念写真だった。あっという間に、涙が吹きこぼれてきた。

ドアがノックされる。詩織はあわてて涙を拭き、ドアを開ける。母だった。
「恭二さんからのお手紙だよ」
母は、分厚い封筒を差し出す。受け取ると、意外に軽かった。急いで封を開ける。小さなものが、転がり出てきた。拾い上げる。消しゴムだった。小学校のときに、恭二から借りたままだった消しゴムである。そこには「詩織」という、裏文字が刻まれていた。封筒から、紙片を引き抜く。

――愛する詩織。いよいよ、来週受験です。あまり可能性はありませんが、合格して札幌へ行ったら、たまには手紙をください。そのときに、詩織のハンコを押してください。恭二。

 それだけしか、書かれていなかった。詩織はハンコを手に取り、赤いスタンプ台に押しつける。それを手帳の、今日の日の上に移動させる。「詩織」という、稚拙な文字が浮かび上がった。いったん止まっていた涙が、またわき上がってきた。
詩織は愛おしそうに消しゴムに目をやり、そこに唇を寄せる。恭二が合格しますように。