ビリーの挑戦2-065cut:居酒屋での祝杯
――Scene09:営業本部の嵐
漆原 営業部長就任おめでとう。
新谷 いや、きみこそ、よく耐えてくれた。そしてSSTプロジェクトリーダー就任、おめでとう。
漆原 あの血判書がなければ、こうはなっていなかったと思う。支店長たちのパワーのお陰だよ。
新谷 森永のタヌキは総務本部長か。辞めさせられなかったのかな。
影野小枝 突然、失礼します。筆者が気にしているのでひと言。SSTは実話ですが、このあたりの話はフィクションですので、犯人探しはしないでくださいね。
漆原 何か聞こえなかったかい?
新谷 隣の部屋の声だろう。
漆原 日報の復活。営業リーダーのプレイイングの廃止。支店業務課の増員。すべて元に戻してくれたな。さすが新谷だよ。釧路空港へ向かう車中で、きみに読んでもらった作文のこと覚えているかい?
新谷 札幌支店の山崎くんのこどもが書いた作文だろう。あれを読んで泣いてしまったよ。そうか、会社と家族はつながっているんだ、と思ったらジーンときた。
漆原 何がRファミリーなんだ。磯貝くんが社内報に書いていた世界は、どこに消えてしまったんだ。タヌキとヒラメが、土足で乱入してきて、滅茶苦茶にしてしまった。
新谷 3匹のヒラメは、総務と人事と開発に飛んだ。社長が当分は営業本部長を、兼務するといってくれている。きみは企画部長も代行するんだろう。統括部長の代行は柳田くんが努めるとのことだ。
漆原 まずは営業部の再建だな。大いに期待している。
新谷 SSTももうすぐ終りになる。そうしたらきみと、席を並べられるかもしれない。
漆原 まあ、お互いがんばろう。
影野小枝 何だか胸が熱くなりました。漆原さん、辞めなくてよかったですね。またチャンスをいただいたのですから。