山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

乱知180521:核実験場110万円

2018-05-21 | 乱知タイム
乱知180521:核実験場110万円
北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)核実験場廃棄の取材にたいして、金銭を要求しているとのこと。これから要求をどんどんエスカレートさせるはずです。今回は取材するなら「各自、見料(けんりょう)110万円」を払えといっているわけです。この言葉って「核実験場110万円」に聞こえてしまいます。
山本藤光2018.05.21

ビリーの挑戦2-073cut:SSTメンバー初参加

2018-05-21 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-073cut:SSTメンバー初参加
――Scene11:釧路営業所の会議室
影野小枝 3名のSSTメンバーが、釧路営業所の会議に参画しています。彼らが釧路営業所に派遣されてから、初めての営業会議です。あら、漆原さんが新任リーダーのときの石川MRが、営業所長になっていますよ。
石川 本日はSSTメンバーが参加しての、初めての会議です。SSTはここの所長だった、漆原さんが責任者を務めています。きみたちがだらしなければ、きっと報告されると思うので、気合いを入れて会議に参画してもらいたい。ではSSTメンバーから簡単な自己紹介と、同行しての所感などを語っていたただきます。
山口 釧路の早田さん、松田さんと同行中です。SST以前は、横浜営業所長でした。2人ともフットワークがよく、大きな課題はありません。
高梨 帯広の桐原さん、辻さんを担当しています。2人とも独身で駐在員なので、夕食も一緒に食べています。帯広地区は小さな病院が数多くあるので、その攻略を最優先課題にしています。
平林 私は釧路担当で、森山さんと北村さんと同行中です。営業所にきて驚きましたが、壁に「情報タワー」が張ってあり、「SSTレポート」も掲示板にありました。学術資材の倉庫もきちんとしていて、担当者のみなさんの真摯な営業姿勢に感動しました。
石川 どうだい、SSTと同行してもらっているMRにも、感想を語ってもらおうか。
早田 最初は緊張していましたが、だんだん仕事のコツが分かって、楽しくなってきました。
桐原 紹介するパンフのEBM(科学的根拠)が、実に明瞭で驚いています。私も遊び歩かずに、しっかりと勉強しています。
石川 R製薬リボン・アワードのビデオが届いているので、みんなで見てみたい。残念ながらうちはチーム順位で11位と、表彰台にはあと一歩だった。でも鶴見くんは第9位の賞状をもらってきた。ビデオの前に感想を語ってもらいたい。
鶴見 かみさんと2人の子どもを連れて、参加してきました。誰かが表彰されるたびに、後ろの家族席から「パパだ」とか「お父さん」といった声が飛び交いました。それに号泣している奥さんもたくさんいました。翌日は家族でディズニーランドへ行ってきました。家族には、最高のプレゼントができたと思います。
影野小枝 ビデオの上映が始まりました。表彰式のとき舞台に上がった男の子や、社長へ回し蹴りをしている子の姿もありました。みなさん食い入るように、ご覧になっています。
石川 どうだい? 来年は私たちが、あの舞台に立たなければならない。だからSSTからしっかりと教わり、あと1段足りなかった10位以内の階段に挑もう。
早田 華やかな舞台ですね。ぜひ行ってみたいです。
松田 同期の中野が表彰されている姿を見て、がぜん燃えてきました。
桐原 うちの子どもたちも連れていってやりたい、とうらやましくなりました。
石川 いいビデオだったな。皆川くん、ベビーシッターもついているんだって。だから奥さんのお腹の赤ちゃんも、連れていけるぞ。
影野小枝 リボン・アワードのビデオは刺激になったようですね。SST同行も、いよいよ最終局面を迎えています。さっき発言のあった「情報タワー」について、石川さんに説明していただきましょうか。
石川 まず全メンバーから、どうしても攻略したいドクターの名前を1人あげてもらいます。それを方眼紙の一番下に書いてもらい、そのドクターについて今持っている情報を、下から上へと書いてもらいます。全部書き終わったら。頭のところに赤線を引きます。ここまでの情報しかないので、攻略できないという意味のラインです。そのあとは毎月の会議が始まる前に、新たな情報を積み上げるわけです。するとある日、知らないうちに攻略が完了している、という展開になります。遊び心で情報を積み上げるのが、「情報タワー」のメリットです。

質を測る018:SECI(セキ)プロセス

2018-05-21 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る018:SECI(セキ)プロセス
――第2章:人間系ナレッジマネジメント
 形式知と暗黙知を循環させると知は磨かれ、より良質なものになります。野中郁次郎・紺野登先生の著作『知識経営のすすめ』(ちくま新書)のなかに「SECI(セキ)プロセス」として知の循環モデルが説明されています。参考にしながら、以前テレビで流行した「愛の貧乏脱出大作戦」を重ねてみたいと思います。

S:Socialization(共同化)暗黙知→暗黙知
E:Externalization(表出化)暗黙知→形式知
C:Combination(結合化)形式知→形式知
I:Internalization(内面化)形式知→暗黙知

「SECI」は、英文の頭文字を重ねたものです。メモ用紙に「田」の字を書いてください。四つのマス目の左上から時計回りに、「SECI」と記入してください。SECIは時計回りに回転させます。「SECIをぐるぐる回転させることで、知は少しずつ高みにのぼる例を、「愛の貧乏脱出大作戦」の映像を重ねてみましょう。最近ではみのもんたが司会で、特別番組として放映されているようです。

つぶれそうな店の店主3人が、匠(たくみ)のところに料理の修行に訪れます。なんとしてでも店を再建しようと、3人は必死です。

S:Socialization(共同化)暗黙知→暗黙知
――匠は自ら料理を作り(暗黙知)、3人の店主に同じものを作らせてみます(暗黙知)。当然3人の料理は匠とくらべものにはなりません。
E:Externalization(表出化)暗黙知→形式知
――その夜3人は匠の料理(暗黙知)のポイントを思い出しながら、それぞれがメモ(形式知)に書き出します。
C:Combination(結合化)形式知→形式知
――3人は自分の書いたメモ(形式知)では不安なので、額を寄せ合って、より完璧な1枚のメモ(形式知)にまとめます。
I:Internalization(内面化)形式知→暗黙知
――翌朝3人はメモ(形式知)を片手に、再び匠の料理に挑みます(暗黙知)。当然まだまだ匠の料理にはおよびませんが、少しだけスキルアップしてきました。(明日に続く)

のほほん180521:一葉の現代語訳

2018-05-21 | のほほんのほんの本
のほほん180521:一葉の現代語訳

20年前の本ですが、素敵な全集があります。『現代語訳・樋口一葉』(全5巻、河出書房新社、初出1997年)で、そうそうたる当時の若手作家が現代語訳に挑んでいます。
松浦理英子「たけくらべ」(これは文庫化されています。所有していませんが)
島田雅彦「大つごもり」
伊藤比呂美「にごりえ」
井辻朱美・山本昌代・多和田葉子・角田光代「闇桜」など
藤沢周・篠原一・阿部和重「十三夜」など
ちょっと発見しにくいかもしれません。私はこれらを読んでから、原書に挑みました。
山本藤光2018.05.21

妙に知180521:「おっとり刀」は「のんびりした」状態ではない

2018-05-21 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180521:「おっとり刀」は「のんびりした」状態ではない
『続日本語知識辞典』を読んでいて、間違って覚えていることを知りました。「おっとり刀」は、のんびりした様子をあらわす言葉だとばかり思っていました。辞書には大急ぎで出かけるようすをいうことばとありました。漢字にすると「押っ取り」と書き、急ぐあまり刀を腰に差すこともできず、手にとって出かけるようすをいう、とありました。

そしてこんな言葉で結ばれていました。
――「おっとりした人」と混同して、「のんびりしている」と間違えないように。

「おっとりした人」と「おっとり刀」は、真逆の意味だったのですね。
山本藤光2018.05.21

責任は私がとる:めんどうかい67

2018-05-21 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
責任は私がとる:めんどうかい67
――第4章:威力ある同行
 全国のトップ営業担当者とリーダーを集めよう。彼らのスキルやノウハウを、平均的な営業担当者に移植しようということにしました。つまり、トップ営業担当者のコピーを作ろうとの発想だったのです。この方法なら、効果は持続します。

 全国からトップ営業担当者とリーダー、24名を選抜しました。彼らには、徹底的な「育成同行」を実施してもらうことにしました。
支店長たちからは、猛反発を受けました。
「業績が落ちたら、誰が責任を取るんだ」
「部下育成は我々現場の責任のはず。なぜ本社主導のプロジェクトなんですか」

それらの声を、社長の一言が打ち消しました。
「業績が落ちても構わない。SSTプロジェクトは実施する。責任は私が取る」

町おこし132:予備校の夏

2018-05-21 | 小説「町おこしの賦」
町おこし132:予備校の夏
――『町おこしの賦』第5部:クレオパトラの鼻09
 四月の試験では百九十四番だった順位が、五月には百七十六点、百十三番まで上がっていた。スマホは電源を切ったまま、一度も使っていない。外部からのノイズを一切遮断して、恭二はひたすら勉強した。睡眠六時間、残りの時間はひたすら勉強をしている。
 
六月になった。恭二はさらに、成績を上げた。二百三点、九十八番。初めて点数を二百点に乗せ、順位も百番以内に届いた。努力が成果として表れると、努力の度合いに加速がつく。

 七月になると、暑さが身にしみるようになった。扇風機が欲しいと思った。しかし恭二は団扇(うちわ)だけで、暑さをしのいだ。ランニングシャツにパンツ一枚。額には汗止めのために、タオルを巻いた。
七月のテストでは、ついに二百二十八点、七十四番まで成績を引き上げた。苦手だった英語の点数も、初めて平均点をクリアした。自分でも驚くくらいに、順調だった。

 つかの間の、夏期休講となった。恭二は蒸し風呂のようなアパートの一室で、勉強を続けた。ただただ、成績を上げることだけを考えた。戸外からは、セミの気ぜわしい鳴き声が響いている。コンビニで求めた冷たいペットボトルの緑茶は、生ぬるくなっていた。恭二はそれを口に含み、大きな伸びをした。
恭二はあまりの暑さに耐えかねて、参考書を持って図書館に行った。冷房の風が、汗ばんだ体を迎えてくれた。席はいっぱいだった。わずかに空いた席があったので、隣りの女性に会釈をして座った。耳元で小さな声が聞こえた。
「すみません。足下に転がっている、消しゴムを拾っていただけますか」 
 のぞきこむと、小さな消しゴムがあった。拾って、隣席の女性に渡す。
「瀬口さんでしょう」と、また小声が聞こえた。
「ええ、そうです」
「私も予備学院に、通っています」
 そして女性は、「浅川留美」だと自己紹介した。人と話をするのは、何ヶ月ぶりだろう。恭二は傍らでささやかれる声を聞いて、ほっとしたような気持ちになっている。

連れだって図書館を出て、喫茶店に入った。二人とも、アイスコーヒーを注文した。浅川留美は改めて、さっきよりもずっと大きな声で自己紹介をした。
「浅川留美です。釧路江南高校出身です。北大の文学部を狙っています」
「ええ、釧路なんだ。おれ瀬口恭二。隣町の標茶高校出身。北海道薬科大志望です」
 二人で申し合わせたように、クスッと笑った。
「ずっと注目していたの。どんどんランキングを上げているので、どんな人なのか探したほどよ」
「何としてでも、センター試験までに間に合わせなければならない」
「こんなところで、のんびりしているわけにはいかないよね」
「おれ、久しぶりで、人と話した」
「私もよ。間近で聞く人の声って、啄木の句みたいにこころに響くわ」
 留美の瞳はよく動く。そのたびに長いまつげは、リズムを取っているかのように揺れる。特徴のある大きな二本の前歯は、白く輝いている。
「あのさ、気晴らしに、時々お茶しようか」
「ダメ。気晴らしは、合格まではなし」
「そうだよな。おれたち浪人中だよね」
 冷たいアイスコーヒーも冷房の風も、そして留美のさわやかな笑顔も、合格の日までは贅沢(ぜいたく)品の棚に戻さなければならない。