山本藤光の文庫で読む500+α

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乱知180509:セクハラもいじめも

2018-05-09 | 乱知タイム
乱知180509:セクハラもいじめも
麻生太郎がまたまたまた暴言を吐きました。「セクハラ罪という罪はない」。これって悪いことをしても「〇〇罪」がない場合は、まったく問題ないといっているのと同じです。たとえば「いじめ罪」という罪状はあるのでしょうか。こんなばかげた発想の人が、政治の中枢にいると思うと情けなくなります。
あまり暴言を続けると、口が曲がってしまいますよ。
山本藤光2018.05.09

質を測る006:明るく前向きな共通言語

2018-05-09 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る006:明るく前向きな共通言語
――第1章:強いチーム
強いチームには、「明るく前向きな共通言語」が存在しています。ポジティブな共通言語を獲得するためには、認識をそろえなければなりません。認識がそろっているのは、チームカルチャーのあらわれです。

たとえば掲示板に、1枚の「ベストプラクティス」(成功例集)が貼ってあったとしましょう。2人の営業担当者が缶コーヒーを飲みながらこんな会話をしています。これは製薬会社で目撃した一例です。
「これ、いいね」
 ひとりの営業担当者が、「#344:待合室に新しいポスターが掲示されていた」と書かれた文章を指さしています。「おれも採用だね、これは試してみる価値があるよ」
 並んで読んでいた営業担当者は、掲示板の横に置いてあった投票用紙に手を伸ばします。掲示板の横には「投票箱」が設置してあります。投票用紙に、自分の名前と「#344」と書いて、2人の営業担当者は申し合わせたように缶コーヒーを傾けました。
 この場面は、私のノートに「はなまる」がつけられます。掲示板も機能していますし、なによりもその前が「知的な場」となっているからです。強いチームには、いくつもの「知的な場」があります。
資料倉庫のなかに、小さなテーブルと椅子が置いてありました。2人の営業担当者が新着の学術資材を広げて、語り合っています。
「このデータのエビデンス(科学的根拠)はどこにある?」
「この前の学会で発表されたものだから、きっと……」
 2人は文献棚を移動しながら、きれいに整頓された資材を探しはじめました。

前向きな言語は、知的な場でしか生まれません。事務机の前や会議室のなかだけが「知的な場」ではありません。営業所の机の配置も、スクール形式よりは島型の方が「知」を創出しやすくなります。スクール形式は、学校の教室をイメージしてください。営業リーダー席に向き合う形で、営業担当者が等間隔に座っています。島型は営業担当者同士の机が向き合っています。コミュニケーションをはかるために、どちらが便利かは一目瞭然でしょう。

知だらけ105:経験

2018-05-09 | 知だらけの学習塾
知だらけ105:経験

人間力のある人には意欲がある
意欲のある人には夢がある
夢のある人には目標がある
目標のある人には努力がある
努力のある人には失敗がある
失敗のある人には反省がある
反省のある人には経験がある
経験のある人には智恵がある

ある営業チームの会議を、覗いてみます。営業リーダーは先月、月間販売目標を達成したAさんとBさんを賞賛しています。Aさんはほぼ計画通りの、100%達成でした。Bさんは半分以上がラッキーパンチが当たっての、100%でした。

私はこの評価に、疑問を抱きました。もちろん営業ですから、月間目標の100%クリアは重要なことです。しかし営業リーダーは、AさんとBさんを同列で評価してはならないのです。計画通りに仕事をしたAさんは、そのプロセスが「経験知」となります。しかしラッキーパンチのBさんには、経験知はほとんどありません。

「経験」は、思惑通りに成し遂げたところからしか生まれません。高い志を持ち、ちょっと工夫を加えて、挑戦したものが初めて「経験」となるのです。

「営業活動のブラックボックス」については、「知だらけ107:努力」の項で説明済みです。「経験知」を高めるのは、成果の量ではありません。むしろ悪戦苦闘している「プロセス」への取り組み姿勢によるものなのです。「知だらけ104:反省」に記した通り、活動の質の検証なくして、経験知は高まらないのです。

「経験」には、「修行」というニュアンスが含まれています。修行は修業とは違います。前者は基本から学び、永遠に磨き続ける行ないのことです。後者は一定の業を収めることで、卒業があります。私が「経験」に加味したかったのは、あくまでも「修行」の方です。

ビリーの挑戦2-061:cut居酒屋での密談

2018-05-09 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-061:cut居酒屋での密談
――Scene09:営業本部の嵐
影野小枝 営業本部の片岡営業部長、三枝統括部長、漆原企画部長は、早いピッチでお酒をあおっています。森永本部長から、降格を宣告された日の夜です。
片岡 あのタヌキは、ウワサ通りの男だ。全部内輪で固めようってことだ。
三枝 3人揃って討死だからな。
漆原 それにしても、ひどい人事ですね。
片岡 辞令が出る前に、辞めざるを得ないかな。
三枝 私もそう考えている。屈辱的な辞令は受けたくない。
漆原 SSTが軌道に乗った矢先です。何とか成功させたいのですが。
三枝 あのおっさんからは、支店の業務担当を半分にしろといわれていた。リストラだぜ。そんなことができるわけがない。
片岡 営業リーダーに担当を持たせろ、と命令されていた。しかもP評価(最低評価)の連中の首を切れだとさ。
漆原 SSTを中止できないか、との相談を受けていました。さすがに社長の肝入りなので、断行できないようです。日報を廃止して、マークシート方式にするともいっていました。徹底してMRの宣伝回数を、管理したいようです。さらにコンサル会社を入れて、営業組織の改造もするようです。
片岡 ばかな。日報は上司と部下の、いちばん大切なコミュニケーション・ツールじゃないか。MRの宣伝回数を増やすために、そんなツールを導入するのは、現場を知らない人間の発想だよ。

どん底塾52:亀さんのプレゼント

2018-05-09 | 小説「どん底塾の三人」
どん底塾52:亀さんのプレゼント

「海老原へのプレゼントはこれだ。開けてみろ」
 新たな封筒が、差し出される。メンバーの視線が、そこに集中する。海老原が1枚の紙片を引き出す。
「採用許可書です」
「おまえさえよければ、百貨店の外商をやってもらう。話はつけてある。思い切って、飛びこんでみたらどうだ。おまえなら、十分にできる」
「ゆりかごから墓石までですか。亀さん、ありがとうございます。やらせてください。絶対にトップの営業マンになりますから」
 海老原の上気した顔が、くしゃくしゃになった。
「すごいじゃないか」
 乱暴に海老原の肩を叩きながら、大河内は泣いていた。
 
「大河内にはこれだ」
 泣き顔の大河内が、封筒を開けた。
「紹介者リストですか」
「おまえには、50人のともだちを紹介しよう。おれからの紹介だといえば、いつでも会ってくれる連中だ。ただし、契約してくれるかどうかは保証できない。アポ取りに困ったとき、いつでも電話をかけろ」
「亀さん、ありがとうございます。こんなに思っていただいて……」
 こみ上げてくるものがあった。紙片を頭上に掲げて、大河内は感謝の意を示した。

「楽しかったよ。おまえたちに感謝したい。何か大きな忘れ物をしているみたいで落ち着かなかったが、おまえたちのお蔭で見つかった。何だか、わかるか? ちょっと、キザなようだけど、未来を思い描く心だ。だんだん、目線が現実に近くなっていた。おまえたちと関わって、そのことに気がついた」

のほほん180509:瀧井朝世の新作

2018-05-09 | のほほんのほんの本
のほほん180509:瀧井朝世の新作

瀧井朝世『あの人とあの本の話』(小学館)を購入。何と作家64人とのインタビュー集です。米澤穂信、朝倉かすみ、原田マハ、西加奈子、津村記久子、万城目学など若手の期待株がずらり。読むのが楽しみです。
山本藤光2018.05.09

妙に知180509:拝啓「広辞苑」(第7版)さま

2018-05-09 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180509:拝啓「広辞苑」(第7版)さま
招き猫は外国人にも、お土産として人気のようです。招き猫には、さまざまなポーズがあります。一般的には、右前足をあげているのは。お金や幸運を招き、左前足をあげている猫は、客(人)を招くとされています。北嶋廣敏『右と左の面白ネタ事典』(PHP文庫)でも、そう説明されています。

私は以前にこのネタを書いたことがあり、そのとき「ひひ」として記憶を固めています。左(ひ)は人(ひ)という記憶法です。

昨日『今さら他人には聞けない疑問650・パート3』(知恵の森文庫)を読んでいたら、こんな説明がありました。

――右手をあげているのは、たいてい一般家庭にあり、この場合、猫が招いているのは「幸運」と「お金」だ。
一方、左手をあげている招き猫はたいてい商店にある。「千客万来」などと書かれて小判を抱いているように、この場合は、「客」を招いているといわれる。(同書P208)

ここまでは私の記憶と同じです。ところが「広辞苑第7版」(電子辞書版)を引いてみて驚きました。まったく真逆の説明になっています。

「広辞苑」では、右前足をあげている招き猫の写真2枚にそえて、
――すわって片方の前足を挙げて人を招く姿をした猫の像。顧客・財宝を招くというので、縁起物として商家などで飾る。

「広辞苑」(第7版)は、少なくとも私がこれまで得た知識とは真逆の説明をしています。ただし、左右どちらの前足かの説明はありません。参考写真の2枚から、右前足挙げ招き猫と想像してしまいます。また説明文に「商家」とありますので、
通常飾られているのは、左前足挙げの招き猫です。
「広辞苑」の写真とは違います。「広辞苑」の参考写真が、左前足挙げの招き猫だったら、まったく問題がないのですが。どうなっているのでしょうか。
山本藤光2018.05.09

営業同行は無意味:めんどうかい55

2018-05-09 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
営業同行は無意味:めんどうかい55
――第4章:威力ある同行
 各チームに、新人営業担当者が配属になりました。当然、営業リーダーは、新人の指導で忙しくなります。

 この後の展開を、考えていただきたい。このショートストーリーは、同行の本質を考えるうえでのキーポイントとなっています。

◎ショートストーリー続き

 すると、たちまち売れなくなりました。はじめのうちは、その理由に気づきませんでした。たまたまだろう、と思っていました。そして、とんでもない現実に思いあたったのです。売れていたのは、営業リーダーたちが営業をやっていたからでした。

 営業リーダーの「同行」がなくなった瞬間、状況は元に戻ってしまったのです。営業リーダーのスキルやノウハウを、営業担当者の「身体知」となるまで教えこむ。そのことを怠ったのだから、当然の帰結といえます。

ある企業で、営業担当者との専任同行部隊を組織しました。あとから登場する「SSTプロジェクト」に刺激を受けたようです。専任部隊は、すさまじい業績を上げました。しかし、彼らがいなくなったとたん、業績は元に戻ったとのことです。この章を読んで、そんな報告がなされました。

同行時に営業リーダーが、直接営業をしている場面をよく見かけます。たまになら構わないのですが、最初から最後までそれをやるのは考えものです。同行時の営業リーダーは、サポート役に徹するべきです。主役はあくまでも、営業担当者なのですから。

「同行って、部下とともに売ることだと勘違いしていました。常に私が前面に出て、売り込みばかりをしていました。違ったのですね」
こんな感想をもらした受講者がいました。

町おこし120:卒業式

2018-05-09 | 小説「町おこしの賦」
町おこし120:卒業式
――『町おこしの賦』第4部:標茶町ウォーキング・ラリー28
 恭二の大学受験は、失敗に終わった。札幌の予備校に通って、来春再挑戦することにした。一人でオランダ坂を上がりながら、恭二はこれが最後の登校だと思う。勇太や詩織と一緒に、通い続けた道である。
 オランダ坂の上に、詩織がいた。幽霊かと思った。びっくりして、腰が抜けそうになった。
「おはよう」
 詩織は短くいった。大きな瞳が忙しく動いた。うれしそうでもあり、哀しそうでもあった。
「どうしたんだ?」
「卒業できることになったの。ちょっと単位不足だったみたいだけど、そこは私のかわいさで、おまけしてもらった」
 白い歯がこぼれ、はにかんだ表情になった。そして久しぶりに見る笑顔にかわった。久しぶりに、耳にする軽口だった。ちゃんと左頬に、えくぼが浮かんでいる。
「それはおめでとう。よかったな」
「ここから高校までは、いつも恭二と一緒だった。お別れだね」
「病気の方はどうなの?」
「主治医が完治した、っていってくれた。でも検査のために、通院は続ける」
「よかったな、それはおめでとう。こうして詩織と一緒に卒業式に出られるなんて、夢みたいだ」
「恭二、長い間私を大切にしてくれて、ありがとう」

 詩織は泣いている。恭二は、知らぬふりをして歩いた。そしていった。
「詩織、おれ落っこちちゃった」
「聞いてる。合格したのは、コウちゃんだけ」
「札幌へ行っても、ときどき手紙を書く」
「お手紙いらない。恭二は勉強に、集中しなければダメ」
 
E組の教室に入った。たちまち詩織のところに、みんなが集ってきた。
「さっき長島先生に聞いた。詩織、卒業おめでとう」
 可穂がそういうと、みんなから大きな拍手が起こった。詩織の瞳に、米粒ほどの涙が光った。幸史郎は詩織の肩に手を置いて、「詩織ちゃん、よかったな」といっている。

 卒業式を終え、詩織のところでお祝いをすることになった。定時制の卒業式の列に並んでいた、勇太にも声をかけてあるという。幸史郎はそう説明してから、「詩織ちゃん、先に帰って豪華な部屋をキープしてくれないか。恭二は詩織ちゃんを、エスコートしな」と気を回した。
 恭二は詩織との間を流れる、空気が違っていることを感じている。あれほど濃密だった空気は、なぜか希薄になっている。炭酸が失せた、コーラみたいな雰囲気になっているのだ。