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質を測る028:米国の新人営業担当者導入教育

2018-05-31 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る028:米国の新人営業担当者導入教育
――第3章:営業リーダー
 米国ロシュで、カルチャーショックを受けたことがあります。現地の研修部長と、ディナーをともにしているときの会話です。
米「新人営業担当者の研修はどうやっているんだい?」
日「研修部が中心となって、約半年間の導入教育をします」
米「研修部が新人の面倒をみているのかい?」
日「ええ」
米「現地の営業リーダーはなにをしているの?」
日「配属営業担当者がきまったら、その営業担当者と同行します」
米「配属がきまったらって、現地の営業リーダーが採用しているんじゃないの?」
日「人事部が採用します」
米「営業リーダーは営業担当者の採用に関与していないわけ?」
日「だれが配属になるかは神頼みという具合で……」

 米国人の青い目が点になり、つづいて大きなため息がもれました。営業担当者の採用も、導入の知識教育も、米国ではすべて営業リーダーに課された最重要の役割です。それを第三者任せであることが、不可解で仕方がなかったようです。

 米国では新人営業担当者の採用は、営業リーダーのもっとも重要な役割になっています。自ら面接し採用をきめたあとの1か月間、営業リーダーは重点製品1つ(製品Aとしておきます)を徹底的に教育します。
そしてテストで90点以上がとれるようになったら、営業担当者を本社研修部のロールプレイセンターに送ります。営業担当者はここで2週間、さまざまなシチュエーションで製品Aのロールプレイをくりかえします。
合格したら、ふたたび現地に戻され、営業リーダーは1か月間製品Aのみの同行指導を実施します。営業リーダーが「合格」を告げた時点から、営業担当者は初めて単独で製品Aの宣伝が可能になります。

その後営業担当者は製品Aの同行指導を受けながら、製品Bを学びます。つまり営業リーダーは同行を終えた夜に、営業担当者に対して新たな製品の教育を実施するわけです。主力品が6つあった場合は、ちょうど10か月要することになります。

 私は日本の製薬会社は、こうあるべきだと思います。米国の営業リーダーは、「雑用で忙しい」などのエクスキューズを絶対に発しません。彼らにはオフィスはありません。経費精算も学術資材の受けとりも、簡単な営業担当者とのミーティングも、すべて自宅兼オフィスでこなします。独立自営。彼らにはちょっとした経営者の雰囲気がただよっています。
 日本の営業リーダーに求めたいのは、知識教育ができることと人材育成に熱意があることです。新人営業担当者が配属になったときに、平気で「今年はハズレだ」などという営業リーダーがいます。こんな無責任は、許されることではありません。企業は営業リーダーを、米国並みのレベルまで引き上げる努力を急ぐべきです。


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