山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

390:「は」なのか、「が」なのか

2021-01-31 | 新・知だらけの学習塾
390:「は」なのか、「が」なのか
――第11講義:知育タンスの引き出しよりすぐり
日本語を習う外国人がいちばん苦手なのは、鉛筆の数え方のようです。1ぽん、2ほん、3ぼん、4ほん、と不規則に変化するのが、どうしても理解できないのでしょう。4、5で「ほん」が続き、いきなり「6ぽん」となります。外資系の会社にいましたので、「なぜだ?」と質問されたこともあります。わかりません。

「ニホン」か「ニッポン」かで、もめたこともありました。今は「ニッポン」で統一されたと聞いています。日本大学の呼称は、「ニッポン」に改められたのでしょうか。

文章を書いているとき、「は」にすべきか、「が」にすべきなのかに迷うことがあります。「わたしは、山本藤光である」「わたしが、山本藤光である」では、大きく響きが異なります。後者の方がエラソーに聞こえます。

著作名は忘れましたが、井上ひさしは2つの助詞の説明をしてくれています。「が」には強調の意味があります。「が」は聴衆に向かって、お前たちはとうに知っていると思うが、の意味合いが強調されているのす。

ところが「日本昔話」の場合は、「が」と「は」の意味合いはちがってきます。

むかしあるところに、おじいさんとおばあさん「が」住んでいました。おじいさん「は」、山に芝刈りに行き……。これは日本昔話の冒頭のフレーズです。見事に「が」と、「は」は使い分けられています。最初に「が」がきています。これを「むかしあるところに、おじいさんとおばあさん『は』」と唱える人はいないと思います。

「が」は、未知のときに用います。「は」は、既知のときに用います。これが、井上ひさしの教えでした。つまり物語の最初では、読者にとって、おじいさんもおばあさんも未知の人だったから「が」がくるのです。それらの人を「住んでいました」と一度紹介しているので、次のフレーズは、「おじいさんは」となる、という説明でした。

日本語は難しい。いまこの単語を、「ニホンゴ」と入力して変換しました。パソコンは、ニッポンにはこだわっていないようです。
山本藤光2017.11.18

『無名時代の私』がいい

2021-01-31 | 妙に知(明日)の日記
『無名時代の私』がいい
■昨日の産経新聞5面に、軍艦島と竹島という活字がならんでいました。前者は韓国によりおとしめられている島で、後者は不正占拠されている島です。それぞれについて、日本の正しい主張を発信する冊子が刊行されたようです。国際社会に向けて、こうしたアピールはどんどんやってもらいたいものです。■『無名時代の私』(文春文庫)は、文字通り著名人のデビュー以前のものがたりです。立松和平、田辺聖子などの無名時代を垣間見ることができます。文庫化されたのは1995年ですので、古書店でしか入手できないでしょう。どんな流行作家にも困難な時代があったのだ、といまさらながら実感させられます。本書からは、大いなる元気と勇気をもらえます。探し出してでも読むべき一冊、としてお勧めいたします。
山本藤光2021.01.31

389:「のんびり」イコール「まったり」?

2021-01-30 | 新・知だらけの学習塾
389:「のんびり」イコール「まったり」?
――第11講義:知育タンスの引き出しよりすぐり
昨日がんばったから、今日はのんびりとしよう。そう決めて、本日を立ち上げました。のんびりするって、まったりとした時を過ごすことです。

料理番組でゲストが「まったりとしたお味です」といっていました。なんとなく感覚的にはわかりますが、この言葉では判然としません。辞書の助けを借りることにしました。
――こくのある味わいが口の中に広がって行くのが感じられる様子(三省堂『新明解国語辞典』)

 私は今朝、「のんびり」イコール「まったり」とイメージしました。ところが「まったりとした味」を、「のんびりとした味」には置換できないことに気づきます。「のんびりとした味ですね」などといったら、殴り倒されてしまします。
混乱してしまいました。のんびりどころではなくなりました。
山本藤光2018.01.12

重松清のこと

2021-01-30 | 妙に知(明日)の日記
重松清のこと
重松清は大好きな作家のひとりです。書評では『とんび』(角川文庫)、 『ビフォア・ラン』(幻冬舎文庫)、『ナイフ』(新潮文庫)の3作品を紹介しています。書評の発信はしていませんが、次の初期作品も高く評価しています。『幼な子われらに生まれ』(幻冬舎文庫)、『四十回のまばたき』(幻冬舎文庫)、『舞姫通信』(新潮文庫)、『見張り塔からずっと』(新潮文庫)は、特にお勧めです。未読の方は、ぜひどれか一冊をお読みください。
山本藤光2021.01.30

388:ノロマ

2021-01-29 | 新・知だらけの学習塾
388:ノロマ
――第11講義:知育タンスの引き出しよりすぐり
友人のなかに、機敏なデブがいます。逆に何をやらせても、ノロマな友人もいます。ノロマは漢字にすると、「鈍間」と書きます。この言葉の語源をご存知ですか。語源辞書を引いて、笑ってしまいました。

――平たい頭で、青黒くまぬけな顔をした「野呂松(のろま)人形」に由来するといわれる。人形の名は江戸時代に野呂松勘兵衛(のろまつ・かんべい)という人形遣いが用いたことから。(日本語語源辞典)

ネット検索すると「野呂松人形」が観られます。また芥川龍之介に『野呂松人形』という作品があります。青空文庫で読めますので、読んでみてください。
山本藤光2018.03.31


石川榮吉『欧米人の観た開国期日本』がいい

2021-01-29 | 妙に知(明日)の日記
石川榮吉『欧米人の観た開国期日本』がいい
■天気予報が深夜雪だったので、起床してすぐ窓を開けてみました。雪は降った形跡はありません。寒い朝です。室温13度。■昨日、百田尚樹『野良犬の値段』(幻冬舎)読了。拡大鏡での読書でした。所要日数14日。疲れましたが、十分に堪能しました。ただし、一億分の一の「偶然」があったことは、残念でした。■ネットにも書籍にも、外国人がみた日本論はあふれかえっています。私は書評欄で、イザベラ・バード
『日本奥地紀行』(高梨健吉・訳、平凡社ライブラリー)を代表例として紹介しています。本書については、宮本常一『イザベラバードの「日本奥地紀行」を読む』(平凡社ライブラリー)や金坂清則『イザベラ・バードと日本の旅』(平凡社新書)も絶賛しています。■外国人が書いた日本論を俯瞰した著作としては、石川榮吉『欧米人の観た開国期日本』(角川ソフィア文庫)がお勧めです。
山本藤光2021.01.29


387:のるかそるか

2021-01-28 | 新・知だらけの学習塾
387:のるかそるか
――第11講義:知育タンスの引き出しよりすぐり
のるかそるか。この漢字をずっと間違って覚えていました。昨日辞書で確認しました。「乗る」を当てはめると、「そる」の意味が曖昧になります。乗るか降りるか、ならわかるのですが。「そる」の漢字が思い浮かびませんでした。あなたは正しく書けますか?

乗るか、ではなかったのです。長く伸びるが正解でした。「伸るか反るか」が正しい変換です。企業研修で「かんぺき」と書いてもらっています。この漢字は6割ほどが間違って覚えています。書いてみて、確認してください。

パソコンを使っていると、どうしても漢字に疎くなります。情けない話なのですが、これは事実です。できるだけ紙に書いてから、入力する習慣にしています。忘却への対応策は、その方法しかありません。
山本藤光2017.11.28

黒井千次のこと

2021-01-28 | 妙に知(明日)の日記
黒井千次のこと
■中国の習近平は、米国に対して対話を求めました。ところが新政権はトランプの施策を踏襲すると、ばっさりと切り捨てました。まだバイデンの腹の中は読めませんが、閣僚たちの毅然とした態度に少し安心しました。■黒井千次は「山本藤光の文庫で読む500+α」で、『時間 』(講談社文芸文庫)を紹介しています。簡単にウィキペディアで、プロフィールを紹介させていただきます。

1932年生まれ。サラリーマン生活の傍ら、創作活動に参加。新日本文学会に入り、1958年に「青い工場」を発表。1968年に「聖産業週間」で芥川賞候補となり、1970年に「時間」で芸術選奨新人賞受賞。同年に富士重工を退社、作家活動に専念。1984年に「群棲」で谷崎潤一郎賞、1995年に「カーテンコール」で読売文学賞(小説部門)、2001年に「羽根と翼」で毎日芸術賞、2006年に「一日 夢の柵」で野間文芸賞をそれぞれ受賞。

黒井千次に関する資料本は、私の蔵書では次のとおりです。
――秋山駿:作家と作品(小沢書店)
――磯田光一:昭和作家論集成(新潮社)
――磯田光一:左翼がサヨクになるとき(集英社)
――カセット文芸講座:日本の近代文学4(CBエンタープライズ)
――「現代文学」月報集(講談社文芸文庫)
――国文学:現代作家110人の文体(1978年11月増刊号)
――知っ得:現代作家便覧(学燈社)
――知っ得:現代の作家ガイド100(学燈社)
――文藝春秋編:私たちが生きた20世紀(下)(文春文庫)
――無名時代の私(文春文庫、文藝春秋編)
――松原新一ほか:戦後日本文学史・年表(講談社)
――宮本徹也:レトリックの装置・戦後文学論(教育出版センター)

あまり文庫化されていませんが、時間があったら1作品でも読んでもらいたいと思います。
山本藤光2021.01.28

386:暖簾に腕押し

2021-01-27 | 新・知だらけの学習塾
386:暖簾に腕押し
――第11講義:知育タンスの引き出しよりすぐり
(1)暖簾に腕押しの意味をはじめて知りました。愛読書の『面白すぎる雑学知識2』(青春文庫)によると「腕押し」は腕相撲のこととありました。ただしネット検索では、腕相撲と結びつけられているものは発見できませんでした。「糠に釘」や「豆腐にかすがい」なども同じような意味です。
山本藤光2018.05.07
(2)「暖簾に腕押し」についての記述を発見しました。やはり「腕相撲」のことでした。

――腕相撲をする時は双方に同等程度の力があってこそ面白みがあるが、相手が暖簾では何の手ごたえもないということから。
相手が暖簾のように力もなく対抗心も持たなければ、競おうとする時に何の張り合いもないということ。(故事ことわざ辞典)
山本藤光2019.03.07


「ブックガイド」の双璧

2021-01-27 | 妙に知(明日)の日記
「ブックガイド」の双璧
■妻が使っているプリンターが故障したので、買い換えることにしました。ハードは何と5000円。ところが消耗品のインクはそれ以上の値段でした。これってべらぼうに高すぎます。スマホの価格のように、なんとかしてくれませんかね。■「ブックガイド」として最も評価しているのは、丸谷才一『快楽としての読書・日本篇』『快楽としての読書・海外篇』(ともにちくま文庫)とモーム『世界の十大小説』(上下巻、岩波文庫)です。双方ともに非常に入手しにくいのですが、探してみる価値は大いにありです。私は二人が評価している作品を参考に、読書計画を立てています。
山本藤光2021.01.27