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乱知180518:候補者男女均等法

2018-05-18 | 乱知タイム
乱知180518:候補者男女均等法
候補者男女均等法が成立しました。あくまでも努力目標の法律ですが、一歩前進ということでしょう。衆議院議員の9割が男という、異常な政治構造でした。地方ではまだ、女性がゼロという議会はたくさんあります。次は相撲土俵上の男女均等法の番です。協会はこの問題について、裸になって話し合ってください。
山本藤光2018.05.18

ビリーの挑戦2-070cut:MR総合部門第1位

2018-05-18 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-070cut:MR総合部門第1位
――Scene10:全国営業会議
影野小枝 表彰式は佳境に入りました。残すところMRの総合1位とチームの総合1位だけです。会場が静まりかえりました。後部座席から「パパがんばれ」という黄色い声が聞こえます。
アナウンス それでは発表します。MR総合部門第1位(間、ファンファーレ)札幌支店3課太田正己くん。
影野小枝 大きな拍手と歓声のなかを、太田さんは壇上に向かっています。磯貝さんの同期で、大の仲良しだった方ですね。太田さん、泣いています。賞状とトロフィーを受け取り、社長と固い握手を交わしました。磯貝さんがマイクを持って駆け寄りました。磯貝さんは、受賞者のインタビュアーをしています。
磯貝 太田さん、おめでとうございます。今日は奥さんとお子さんもきていますね。まずは家族に向かって、喜びの言葉をお願いします。
大田 ジュン坊、アヤカ、お父さんやったよ!
磯貝 奥さんとジュンちゃんは、どちらにいらっしゃいますか。すみません、壇上までお越しいただけませんか。
影野小枝 磯貝さんは泣いています。太田さんも泣いています。そして奥さんも目を真っ赤にして、お子さんの手を引いて壇上に上がりました。社長さんから大きな花束が、奥さんに渡されました。
磯貝 全国トップMRとなった感想を一言。
太田 営業はムリだといった私に、漆原さんが1年だけ一緒にやってみようといってくれました。それでもダメなら責任を持って配置転換してやるって、いってくれました。今日あるのは、その一言のお陰です。
磯貝 飛躍のきっかけになったのは、「朝書き日報」だと聞いています。△活動ばかりしていた反省から、〇か×の面談をしたいと考えたのですね。
太田 あれは磯貝さんからのパクりです。最近では朝思い描いたとおりの、結果が得られる回数が増えています。
磯貝 毎日何勝何敗くらいですか?
太田 2、3勝できたら御の字です。最近は負け数が増えて1日30敗をする日もあります。
磯貝 1日30人以上と面談しているのですか? 驚きました。では最後に奥さんのアヤカさんに、マイクを向けてみます。おめでとうございます。ご主人の晴れ姿をご覧になっての、感想をお願いします。
奥さん 驚いています。帰宅が遅いのを我慢して、来年も連れてきてもらいたいと思います。 

〼ビリーの挑戦2-071cut:チーム総合部門第1位
――Scene10:全国営業会議
影野小枝 いよいよ最後の表彰です。チーム総合部門の第1位が発表になります。耳を澄ませてみましょう。
アナウンス それでは発表します。チーム総合部門の第1位は(間、ファンファーレ)札幌支店第1課山崎正太郎さんです。
影野小枝 磯貝さんが所属していたチームが、第1位になりました。表彰状とトロフィーが渡されました。磯貝さんがマイクを突き出しています。
磯貝 山崎さん、おめでとうございす。ひと言、…………。
影野小枝 磯貝さんのマイクが、揺れています。質問が途絶えてしまいました。山崎さんは磯貝さんの肩を抱いて、自らマイクを握りました。
山崎 ありがとうございます。磯貝くんの気持ちは痛いほどよくわかります。彼は私の元部下です。彼の抜けた穴を埋めるのは大変でしたが、チームのみんなが一丸となってカバーしました。だから今日あるのは、磯貝くんのお陰なんです。
磯貝(マイクを取り戻して)すみません、取り乱してしまいました。山崎さん、奥さんとめぐみさんを壇上に呼んでください。そして札幌支店第1課のみなさんも、どうぞ壇上にお集まりください。奥さんの喜びの言葉をおうかがいしてから、社長と一緒に記念写真を撮ります。
奥さん ありがとうございます。チームのみなさんが、がんばってくれたからだと思います。
影野小枝 新谷営業部長がマイクを握っています。写真撮影を終えたメンバーは、まだ壇上にいます。
新谷 山崎めぐみさんは今は高校生ですが、小学校1年生のときに書いた作文を、私も漆原部長も宝物にしています。会社のおじさんたちに遊んでもらって楽しかった、と書かれた作文です。私はそれを読んだとき、そうだ、仕事は家族のためにしているんだと覚りました。本日の「R製薬リボン・アワード」は、山崎めぐみさんに教えられて生まれた表彰式です。会場のみなさん、めぐみさんに盛大な拍手をお願いします。そして山崎ファミリーとその部下たちにも、もういちど拍手をお願いします。みなさん、おめでとうございます。
アナウンス これにて第1回R製薬リボン・アワードは終了です。15分間の休憩をはさんで、懇親会へと移らせていただきます。

質を測る015:営業リーダーと営業担当者とのギャップ

2018-05-18 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る015:営業リーダーと営業担当者とのギャップ
――第1章:強いチーム
 強いチームは、営業リーダー、営業担当者ともに高い意識をもっています。弱いチームとの格差が顕著にあらわれた項目をピックアップしてみます。「質を測る014」をご覧いただきたい。

① 「質の高いディテーリングは業績に相関する」は、弱いチームの営業リーダーが100%「はい」と答えています。ところが営業担当者は50%と低い値になっています。営業リーダーの信念が営業担当者にまで伝わっていないと推察できます。
 
②  「イベントの案内は医師に徹底している」は、営業リーダー
のスタンスに顕著な差がありました。担当地域での研究会や勉強会の案内は、営業リーダーが先頭をきっておこないたいものです。

③ 「もっと仕事の質を高めれば業績は上がる」の認識はすべてが高い値でそろっていました。製薬企業は、ここにフォーカスをあてるべきです。「仕事の質を高める」とは、具体的にどんなことなのかを明確にし、そこに向けてのトレーニングを強化しなければなりません。

④ 「毎日の仕事は楽しい」は、CP導入会社でも同様の結果が認められます。特に弱いチームの営業担当者のモチベーションが、低いのは気がかりです。

⑦ 「学術知識には自信がある」は、強いチームの営業リーダーが尻ごみしています。

⑧ 「将来は上位職に就きたい」に、弱いチームの営業リーダーはほとんど「はい」と答えていませんでした。またどちらのチームの営業担当者も、営業リーダーにはなりたいと思っていません。

 全体的にみて、弱いチームの営業担当者の方が「はい」と答えている率は低くなっています。まったく同じアンケートを営業リーダーが替わった弱いチームにしています。正確な資料は手元にありませんが、劇変したことはまぎれもない事実です。営業担当者のモチベーションは、営業リーダーの交代によって大きく変化していることの裏づけだと思います。

のほほん180518:夏目漱石を面白く読む

2018-05-18 | のほほんのほんの本
のほほん180518:夏目漱石を面白く読む

奥泉光『夏目漱石、読んじゃえば?』(河出文庫)が発売になりました。私は単行本で読んでいますが、これまで読んだ夏目漱石に関する論評でいちばん心が躍りました。軽妙な語り口は、あなたに夏目漱石の再読を迫ることでしょう。「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「こころ」などについて、「劇的に面白くなる読み方」(文庫帯より)が書かれています。
山本藤光2018.05.18

米国の営業リーダー(2):めんどうかい64

2018-05-18 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
米国の営業リーダー(2):めんどうかい64
――第4章:威力ある同行
 営業担当者を採用した営業リーダーは、最初の4週間を製品Aだけに特化して教育します。合格すると、本社にあるロールプレイセンターに送り出します。合格の目安は、製品テストで90点が取れるようになった時点です。

 ロールプレイセンターで2週間の特訓を受け、合格したら営業担当者は再び営業リーダーのところへ戻ってきます。今度は製品Aに関する現場での「OJT」を4週間実施します。合格点が出たら、営業担当者は単独で製品Aの宣伝ができるわけです。

 営業担当者は製品Aの指導同行を受けながら、夜は製品Bの勉強をします。あとのサイクルは、製品Aのときと同じです。

 営業担当者はこの繰り返しで、主力6品目をマスターします。最低でも10ヶ月かかるとのことでした。米国ロシュの営業リーダーは、身体を張っていました。「同行でもしてやるか」などと言う人はいません。営業担当者の成長が、自分の評価として跳ね返ってくるからです。

 私は帰国するなり、この制度を当社へも導入したいと提案しました。営業リーダーに、採用、研修、育成の使命を持たせたかったのです。だが提案は、一蹴されました。時期尚早。諦めざるを得なかったわけです。ところが思わぬきっかけで、米国ロシュ流を運用することになりました。

妙に知180518:トドのつまり

2018-05-18 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180518:トドのつまり
「トドのつまり」の「トド」は、海馬(とど)のことではありません。実はこれは「出世魚」由来の言葉なのです。
――ボラは幼魚のときは「オボコ」「クチメ」といいます。やがて淡水に入り「イナ」と呼ばれ、海に帰って成長したものを「ボラ」といいます。そしてそれがさらに大きくなると、「トド」と呼ばれるようになります。とどのつまりという言葉は、ここから生まれたものです。(続日本語知識辞典を参照しました)
山本藤光2018.05.18

町おこし129:入寮式

2018-05-18 | 小説「町おこしの賦」
町おこし129:入寮式
――『町おこしの賦』第5部:クレオパトラの鼻06
 ひぐま寮の入寮式は、在寮生が主体で運営されていた。新寮生十四人を上座に置き、在寮生はそれと向き合う形で着席している。寮務委員長の富樫は、よく通る声で歓迎のあいさつをした。
「今日からみなさんは、兄弟です。ひぐま寮は寮生の手で、自主運営されています。みなさんに求められていることは、規律を守りしっかりと勉強することです」
 液体の入った、紙コップが回ってきた。幸史郎は匂いで、酒だとわかった。
「新寮生の前途を祝って、カンパイ」
 乾杯がすむと、新寮生は自己紹介を求められた。幸史郎の番がきた。
「標茶高校出身。札幌学院大学文学部の宮瀬幸史郎です。貧乏だったので中学を出てすぐに、土木作業員として四年間働きました。だからおっさんの新人ですが、よろしくお願いします」
どよめきと、拍手が交錯した。新寮生は、全道各地からきていた。幸史郎と同じ、札学生は三人いた。自己紹介が終り、宴会となった。一升瓶を抱えた先輩は、次々にお酌にやってきた。幸史郎は飲んだ振りをして、少量だけついてもらった。

お開きになったとき、幸史郎は塚本輝正から声をかけられた。
「ぼくの部屋で、少し話しませんか。富良野ワインを、持ってきたんです」
 塚本は富良野高校出身で、酪農学園大だと自己紹介している。二百十二号室に入ると、先客がいた。塚本が紹介してくれた。
「おれたちは、二日前に入寮したんです。彼は帯広出身、教育大の佐々木くん。こっちは函館出身、札学大の友永くんです」
 二人はそろって、頭を下げた。幸史郎は色あせたじゅうたんに座って、紙コップを受け取った。
「宮瀬さんのあいさつで、ガツンとやられました。中学を出て、四年間も働いていたんですね」
 佐々木は真っ赤な顔で、幸史郎にいった。
「同級生なんだから、呼び捨てでいいよ」
 幸史郎はそうたしなめて、注がれた赤ワインを飲んだ。いよいよ大学生活がはじまる。夢のような新生活は、養子に迎えてくれた父・宮瀬哲伸と母・昭子からの贈り物だった。幸史郎は心のなかで、両親に感謝を捧げる。

「ひぐま寮はね、ぼくたちの寮費と卒業生の寄付だけで、運営されているんだ。先輩たちは金を出すけど、口は出さない。入寮式にも卒寮式にも、誰もこない。完全におれたちに、任せ放しにしている」
 友永は寮の概要を、熱っぽく語った。
「その伝統が四十年も続いているんだから、すごいことだ」
 塚本はあぐらを組み替えて、しみじみといった。おれたちの寮費は、たかがしれている。幸史郎は頭のなかで、素早くそろばんを弾いた。
「ということは、ほとんどが寄付でまかなわれているってことか?」
「そう。うちの兄貴は、ここでお世話になったんだけど、ボーナスの五パーセントを寄付する慣習になっているようだ」
 友永の言葉が、身にしみた。性善説だけで、成り立っている世界がある。「ひぐま寮」の善意のバトンリレーの走者として、おれは選ばれた。幸史郎の心に、熱いものがたぎった。