山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

牽強付会

2018-12-30 | 知育タンスの引き出し
牽強付会
ある対談集を読んでいたら、出版社の一人が、自分のしゃべりに対して、「ちょっと牽強付会かな」と付け加えていました。おそらく、こじつけという意味だろうとは思いました。初めて目にした熟語でした。

あなたは「牽強付会(けんきょうふかい)」という言葉をご存知でしょうか。辞書を調べました。「自分の都合のよいように無理に理屈をこじつけること」(広辞苑)とありました。

知らなかったのは、私だけだったりして。でもこんな人はザラにいます。覚えておきたい言葉かもしれません。
山本藤光2018.02.26

341:翔和学園標茶大学

2018-12-30 | 小説「町おこしの賦」
341:翔和学園標茶大学
――『町おこしの賦』第11部・駅前商店街の変身
 長島太郎は肩で息をしながら、町長室に入ってきた。ねぎらいの言葉をかけようとした恭二をさえぎり、長島はいきなり報告をはじめた。
「昼間の授業も、やってくれるとのことです。これで翔和学園標茶大学として、全日制と定時制の両輪での運営が可能になりました。ただし、条件が三つあります。全日制と定時制で、最低でも二百人の学生を集めることです」
 恭二は天を仰いだ。現在の夜間大学は、約六十人の学生数である。
「あと、百五十人が必要なのか?」
「採算ベースで考えると、それが最低人員とのことです」

「二つ目の条件は何だい?」
「人間力学部単科に、してもらいたいとのことです。人間力マネジメントを中核にしたいといっていました。特に町おこしや会社の再建などを、担う人材を育てたいとのことです」
「人間学単科で構わない。三つ目は何だい?」

「町長の娘さん、明里さんと旦那さんの近藤先生を標茶大学の専任教諭に迎えることです。二人が専任になってくれれば、出張教員のローテーションは可能になるとのことです」
「小野塚さんは、近藤くんと明里を指名したのか?」
「はい、二人ともナレッジマネジメントの世界では有名な若手だとのことです。町長に説得してもらえ、といわれました」

「二人については、相談してみる。問題は学生の確保だな。どうする?」
「まずは標茶高校から、何人きてもらえるかですね。あとは釧路などの近郊から、集める必要があります」
「高校の進学担当の先生と交渉しなければならないな」
「学生募集の仕事に、三人ほど担当者を貸していただけませんか?」
「人材開発課の桑原課長、内藤、山下に、担当させよう」
「年内に、見こみを知らせなければ、再来年春のオープンには間に合いません」
 恭二は思いがけない、「人間力学部」に強く心を動かされている。そして「町おこし」という言葉にも、心を打たれた。

083cut:医師会の勉強会

2018-12-30 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
083cut:医師会の勉強会
――14scene:サブリーダー
影野小枝 夜のオフイスです。石川さんを中心に、ホワイトボードを取り囲んでいます。漆原さんはいらっしゃいません。
石川 ドクター向けビデオを配布しているメーカーは、これですべてか?
熊谷 リハビリ編がかなりあるのだけど、こっちは、医師会の勉強会にふさわしくないと思います。
田中 疾病と治療に絞ったほうがいいですね。その方が、ドクターを集めやすいでしょう。
寺沢 薬局長やナースにも、声をかけた方がいいと思います。
石川 医師会長はすごく乗り気なので、何としてでも成功させなければならんぞ。
田中 メーカー同士が一緒になって、勉強会を開催するのは例がない。問題は、大手が乗ってくるかどうかです。
熊谷 武田はおれが説得します。田中は中外にポン友がいるよな。
寺沢 ノバルティスは、私がやります。
石川 交渉はどのビデオを取り上げるかを決めてからだ。開催予定日は来月の18日夜7時。ビデオの絞りこみを急がなければならない。
熊谷 会場は?
石川 医師会長が医師会館を抑えてくれた。
寺沢 薬局長やナースはどうします?
田中 断る理由はなかろう。くるものは拒まず。
影野小枝 釧路地区のMRがまとまって、一つの企画に向かっています。みんな張り切っていますね。
石川 具体案を検討しよう。叩き台として、おれの企画案を見てもらいたい。(用紙を配布)おれとしては、開業医のドクターの関心が高い生活習慣病とインフルエンザに絞りたい。2時間でやるには、それが限度だと思う。
熊谷 せっかく他社と協力してやるのだから、治療と疾病のビデオを持っているメーカー全部を集めたいですね。
田中 私もそう思います。小さなブースを作って、ビデオを山積みにし、各社のMRがドクターにポイントを説明する。学会のポスター展示みたいな感じの方が、ずっとインパクトがありますよ。
寺沢 おもしろそうですね。お祭の屋台というイメージですね。
熊谷 講演は「患者さんへの啓蒙」などとし、ドクターはもっとビデオを活用すべき、といったテーマで話してもらう。
石川 悪くはないな。その方法なら1回で完結する。
田中 講演終了後は、簡単なパーティも必要ですね。1社5万円くらいとして、リストにあるメーカーすべてが協賛すると60万円になります。
石川 桁が違うよ。会場費は安いけど、ブースの設営、案内パンフレット、パーティ費用、講師への謝礼などを考えると、最低でもその数倍は必要になる。
影野小枝 企画案が具体的になってきました。それにしても、企画って、力仕事なのですね。成功してもらいたいです。

087:起業するとは

2018-12-30 | 銀塾・知だらけの学習塾
087:起業するとは
――第7講義:起業する
起業を考えませんか。塾長のいう起業するとは、株式会社を設立するということではありません。小さな塾やお店を開設してみませんか、というくらいのものです。塾長は56歳のときに、会社の合併により34年間勤めた会社を辞めています。

そしてすぐに、株式会社コラボプランを設立しました。営業リーダーに特化したコンサルティング会社でした。これは企業人時代に、本を出版したり講演をしたりと、備えがあったからできたことです。一般的には、独立起業は難しいものです。

しかし老齢期に入った人が、習字教室を開設したり、プラモデル店を開設したりしています。できるだけリスクの少ない起業は、誰にでもできます。

一番容易なのは、ネットでの販売です。〇〇教室もちらしを作成して、近所に配れば生徒は集ります。
明日からは独力で創立した、株式会社のてんまつを紹介したいと思います。

中田永一『私は存在が空気』に先祖帰りの匂い

2018-12-30 | のほほんのほんの本
中田永一『私は存在が空気』に先祖帰りの匂い
中田永一『私は存在が空気』(祥伝社文庫)は、乙一(中田永一の別名)の匂いのする最新作です。帯には「小さな超能力者たちの、切なくて、愛おしい恋」とあります。中田永一はひたすらその路線を走ってもらいたかったのですが、本書には先祖返りの予感がします。これから読んでみますが。
山本藤光2018.12.30

けちょんけちょん

2018-12-30 | 知育タンスの引き出し
けちょんけちょん
けちょんけちょん。この語源をご存知ですか。

――「けちょんけちょん」は相手を徹底的にやり込める様子をいうが、もとは和歌山県地方の方言。和歌山県日高郡の方言に「けちょに」という言葉があり、これは「ひじょうに」という意味。(『よく使われる言葉の雑学』PHP)

これが少しずつ拡大し、全国区になったとのことです。
山本藤光2018.12.30

よいお年を

2018-12-30 | 妙に知(明日)の日記
よいお年を
今年も残すところあと2日。米中の貿易摩擦や北朝鮮の策略など、きな臭い国際情勢になった1年でした。日本ではモリカケ問題や文書偽造など、腐敗に満ちた安倍政権が露呈されました。それでも安倍政権の支持率が落ちないのは、外交の手腕だと思います。個人的には帯状疱疹に苦しみ、執筆中の長編小説の出口が見つからないまま年越しとなりそうです。大晦日と正月三が日は「妙に知の日記」を閉鎖して、のんびりさせていただきます。みなさまよいお年を。
山本藤光2018.12.30

空き樽は音が高い

2018-12-29 | 知育タンスの引き出し
空き樽は音が高い
読書中にひっかかってきた、ことわざです。「空き樽は音が高い」。すぐには理解できませんでした。確かに中味の入った樽よりは、空き樽の方が音は大きいと思います。意味を調べてみました。
――中味のない人間ほど大きなことをいったりするものである。
と説明されていて、最後に「痩せ犬は吠える」と類似ことわざが示されていました。(日本語知識辞典)
山本藤光2018.06.28

340:標茶町民栄誉賞

2018-12-29 | 小説「町おこしの賦」
340:標茶町民栄誉賞
――『町おこしの賦』第11部・駅前商店街の変身
 標茶町は温泉郷に舵を切ってから、底をついていた財政に潤いを得た。これは故宮瀬哲伸町長の功績である。その後町長の後継者となった宮瀬幸史郎は、潤いの泉のうえに農業と酪農の二本柱を建てた。
有機野菜栽培工場も大葉のミスト栽培工場も、操業三年目には黒字に転換している。そして現町長の瀬口恭二は、さらに四本目の柱を建てたのである。標茶町は生涯学習の町として、アカデミックに躍動しはじめている。

温泉郷への初期投資が思わぬ高利益を上げ、標茶町は投資、回収、再投資と拡大路線を歩んでいる。

恭二は標茶町役場の町長室から、歴代町長の肖像画を撤去している。代わりに回収騒ぎのあった標高新聞を、額に入れて壁面に貼った。一面と二面の見出しには、こんな活字が躍っている。

――閑古鳥の鳴き声が聞こえる、会社の博物館
――日本三大がっかり名所で、さらにがっかり

 閑古鳥の鳴いていた「会社の博物館」は、町民の憩いの場「おあしす」に改装された。日本三大がっかり名所は、「フォト・ラリー」のコースに組みこまれた。

 恭二は町長室を動物園の熊みたいに、歩き回っている。そして「標茶町民栄誉賞」という言葉を思い浮かべる。宮瀬哲伸、宮瀬幸史郎の名前に続いて、南川愛華の顔が現れた。標高新聞部長として、町の活性化の道を拓いた立役者である。恭二は新聞部室での、愛華の高くて鼻にかかった声を思い出している。

 電話はまだない。長島太郎は大阪で、翔和学園の小野塚理事長との最後の交渉に挑んでいる。恭二は腕時計をのぞく。会談は、もう終わっている時刻である。机の上の受話器を一瞥し、恭二はまだ歩き回っている。
 電話が鳴った。
――はい、瀬口です。
――やりました! 全日制大学に、オーケーをいただきました。

082cut:合宿で裸のつき合いをした効果

2018-12-29 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
082cut:合宿で裸のつき合いをした効果
――13scene:同行
影野小枝 ビデオ製作会社の打ち合わせです。
監督「身の丈コンピタンシー」は、絶対に外せないな。
助監督 2人のサブリーダーを、育てようとしているところもいいですね。2人がそれぞれ漆原の提案を受けた。ジンとくる場面ですよ。
監督 合宿で裸のつき合いをした効果が出ているな。
製作「PPF」も、きちんと頼むよ。これを外されると、原作者から叱られるので。
助監督 それにしても、部下のモチベーションを上げる話法は、小気味のいいものです。監督も「PPF」を習得したらどうですか?
監督 バカもん、おまえの代役などゴロゴロいるさ。