山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

乱知180503:憲法記念日

2018-05-03 | 乱知タイム
乱知180503:憲法記念日
朝日新聞の調査では、安倍政権下での憲法改正について、58%の人が反対していました。これは前回調査よりも「8」%増加した数字です。安倍政権に「8」の数字がつきまとっています。8億円の値引き。嘘っ八な国会答弁。恥さらしという言葉まで「八」と聞こえてくるほどです。
山本藤光2018.05.03

知だらけ099:意欲

2018-05-03 | 知だらけの学習塾
知だらけ099:意欲

人間力のある人には意欲がある
意欲のある人には夢がある
夢のある人には目標がある
目標のある人には努力がある
努力のある人には失敗がある
失敗のある人には反省がある
反省のある人には経験がある
経験のある人には智恵がある
智恵のある人には人間力がある

「意欲」とは、やる気、向上心、モチベーションのことです。意欲を引き出すには、動機づけが重要になります。動機づけには3つの回路があります。第三者から与えられたもの、環境の変化、そして成功体験の3つです。第三者には本の著者も含まれます。いずれにしろ人は、あるきっかけで意欲は大いに高まります。

営業リーダー研修で、私は受講者に次のような「成果の公式」を伝えています。

成果=意欲×(知識+智恵)

 この公式のポイントは、「意欲」にあります。どんなに知識や智恵があっても、意欲が乏しければ成果は期待できません。

営業リーダーは、伸びしろのある部下を選択して集中的に同行すべき。伸びしろとは意欲のことです。仮に最も優秀な部下の意識・知識・知恵を2点としてみます。この公式では、成果は8点となります。

伸びしろのある部下の意欲・智恵は2点のままで、知識が劣っているとします。すると6点となります。意欲に乏しく、知識も智恵も劣っている部下に、すべてを1点としてみると、成果は2点となります。

伸びしろがあるのに、知識が劣っている部下の指導は、ロールプレイに集中します。伸びしろがあるのに智恵が劣っている部下は、同行指導の対象となります。ここでいう「智恵」とは、知識を表出するスキルやノウハウのことです。意欲に欠けた部下には、多くの時間をかけないように伝えています。

営業組織は時々、「2-6-2」の公式で語られることがあります。営業組織は優秀な2割、平均的な6割、劣っている2割で構成されているという意味です。私が指導に時間をかけるべきではない、といっているのは、劣っている2割を指します。彼らはよく「ぶらさがり」と揶揄(やゆ)されています。お神輿(みこし)をかついでいるふりをして、足が地についていない像からのイメージです。「伸びしろがある」のは、平均的な6割を指します。

敬愛する西堀栄三郎の著作から、「意欲」について紹介させていただきます。

――意欲さえでたら能力はいくらでも増す(西堀栄三郎『新版石橋を叩けば渡れない』生産性出版)

意欲とは、持続する向上心ともいい換えることができます。時々「気力が空回りしていますね」という言葉を、耳にすることがあります。これは追い求めている目標が、高過ぎることによります。意欲はそこそこ到達しそうな、次元に向けなければなりません。前記の「マイルストーン」のように、今日目指す域まで意欲を集中するのがポイントです。そして明日は目標のハードルを少し上げて、新たな意欲をかきたてるのです。

ビリーの挑戦2-055cut:蘭の鉢植えと桑田の乱

2018-05-03 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-055cut:蘭の鉢植えと桑田の乱
――Scene08:SSTプロジェクト折り返し
影野小枝 SSTプロジェクトは2年目を迎えています。支店長からは、「いつうちにきてくれるのか」という問い合わせが増えてきています。SSTの成果は顕著に現れています。マスコミの取材も、目に見えて増えてきています。社長秘書が、分厚い封筒の束を届けにきました。磯貝さんは、すぐにお礼の手紙だな、とわかりました。磯貝さんは社長名でこんな手紙に添えて、蘭の鉢植えをSSTメンバーの奥さん宛てに送っています。独身者にはご両親に宛てて送付しました。

拝啓
いつも単身赴任のようなご主人の生活を支えていただき、心から御礼を申し上げます。お陰さまでSSTプロジェクトは折り返し点を迎えることができました。これも一重にご家族の支援があったからと、心底ありがたく思っております。
SSTプロジェクトは、大きな成果を上げております。またたくさんの雑誌にも取り上げられ、注目される中でご主人は奮闘しております。
あと1年どうかよろしくお願い致します。ささやかながら感謝をこめて、日曜日の団欒の席に花をお届けさせていただきます。ご笑納ください。
敬具
R製薬株式会社
代表取締役社長
〇〇〇〇

磯貝 河野さん、お礼の手紙です。泣けてしまいました。みなさん感激してくださいました。旦那を見直したとも書いてあります。
河野 後で読ませてもらうよ。ちょっと問題が起こった。桑田くんがSSTを辞めたいといってきた。自信を失くしているみたいだ。
磯貝 和歌山で何かあったんでしょうか?
河野 権藤リーダーにいわせれば、同行した2人が結託して、桑田くんに反旗を掲げたようだ。
磯貝 それでどうしたんですか?
河野 権藤リーダーが席を設けてくれて、今晩桑田くんや担当MRも交えて、フランクに話し合うことになっている。どうやら桑田くんの生真面目さが、裏目に出たようだ。
磯貝 ここまでがんばってきたんだし、何とか丸く治まるといいんですが。そう、桑田さんの奥さんからも、お礼状がきていました。

――主人が大変お世話になっております。このたびは豪華な蘭の花をお届けいただきありがとうございます。一本気の主人が会社のお役に立っていることを知り、思わず泣いてしまいました。どうかご安心くださいませ。あと1年、主人がいただいた役割を全うできるよう、陰ながら支えてまいります。R製薬の益々のご発展と社長さまのご健勝をお祈り申し上げます。
影野小枝 桑田さんからは翌朝、河野さんに電話がありました。元気にがんばる、ご心配をおかけしました、とのことでした。

どん底塾46:人一倍失敗している

2018-05-03 | 小説「どん底塾の三人」
どん底塾46:人一倍失敗している

「ずっと聞いてみたかったのですが、亀さんが考える優れた営業マン像って、どんな感じですか?」
「加納の質問は、テストで回答を尋ねているようなものだ。そんなことは、自分で考えろ」
「実は本屋で、営業に関する本を、何冊も立ち読みしました。あまりにもいろいろなことが書いてあり、何が何だかわからなくなったんです」
「では問題を出そう。自分で考えてみてくれ。1人の営業マンがいた。彼は極端に、失敗を恐れる性格だった。だから大きな失敗をすることはない。この男は、大きな成功をするだろうか?」
「成功しないと思います」
「なぜ、大きな成功をしないと思う?」
「失敗を恐れるあまり、大きなチャレンジをしないからです」
「その通り。加納はいいセンスをしているぞ。じゃあ。優れた営業マン像を思い描いてくれ」
「失敗を恐れずに、積極的に挑戦するのが、優れた営業マン」
「そうだ。失敗の数だけ、成功がある。優れた営業マンは、人一倍失敗しているんだよ。以前、海老原に質問されたと思うが、『PDCAサイクル』のドゥがそれだよ」

「加納は優れた営業マンのことを質問したけど、それ以前に大切なことがある。なんのことだか、大河内にはわかるよな」
「優れた人間になることです」
「あたりだ。優れた人間って、なんだ?」
「仕事バリバリ、家でもバリバリですか?」
「どこかで聞いたことのある、フレーズだな。それもあたりだ。ほかには、何がある?」
「社会への貢献度とか……」
「それもあたりだ。だが、おれが考えていることとは違う。自らを磨き、鍛えているやつが、優れた人間だと思う。優れた人間を、外とのつながりでとらえると、大河内のような回答になる。内面的にとらえると、おれのような発想になる。どっちが正しいということではない。すべての課題を、自分のこととしてとらえる習慣が大切なんだよ」

のほほん180503:最もアクセス数が多い

2018-05-03 | のほほんのほんの本
のほほん180503:最もアクセス数が多い

私が当ブログで発信している「文庫で読む500+α」のなかで、最もアクセス数が多いのは、ハリエット・ピーチャー・ストウ『アンクル・トムの小屋・世界文学の玉手箱10』(河出書房新社)です。なかなか入手しにくい本ですが、読んでみたいというニーズは極めて高いことがわかります。本書は文庫サイズです。内容については、当ブログで確認してください。これもぜひゲットしていただきたい本です。
山本藤光2018.05.03

質を測る002:「質を測るものさし」あります

2018-05-03 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る002:「質を測るものさし」あります
――まえがき
私は営業職を希望して、日本ロシュに入社しました。しかし配属になったのは、営業とは裏腹の総務部購買課でした。毎年の自己申告のたびに「営業担当者」を希望しつづけました。毎日さまざまな業種の営業マンと会い、彼らの「人間力」に魅せられながら、営業担当者への夢はますますふくらみました。希望がかなったのは33歳のときです。購買課長のタイトルを投げ出し、新人営業担当者とともに半年間の導入研修を受けました。

「良いものを安く買う」の世界を飛び出し、私は脆弱な知識を人間力でカバーしました。そして営業現場は、ギブ・アンド・テークのバランスで成り立っていることを知りました。
自分に与えるものがなくなると、たちまち見返りは消え失せました。当時は値引きというギブが、営業担当者活動の大半を占めていました。次第に私の営業担当者活動は、わが社の薬剤を愛してくださる医師、私の訪問を歓迎してくださる医師を、ターゲットにするようになりました。同僚の数字が波間に浮かぶ小舟のように浮沈していましたが、私の数字はゆるやかな右肩上がりの低空飛行をつづけました。気がつくと、全国最下位の売上が、トップクラスになっていました。

「営業担当者活動は質が勝負」と実感した私は、その後部下をもっても一貫してその信念でマネジメントをしました。くりかえします。「質を測るものさし」はあります。ほぼ半世紀にわたって精度をきわめた「質を測るものさし」の作り方は、すべて本稿にしたためました。自信をもって「質を図るものさしあります」の言葉をそえて、本稿をあなたに手渡しさせていただきます。

妙に知180503:新連載について

2018-05-03 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180503:新連載について

昨日から連載を開始した「営業の質を測るものさしあります」は、私の営業リーダー研修の総決算にあたる著作です。転送OKですので、広く営業リーダーの方に読んでいただきたいと思います。早く先を読みたいという方には、元本に当たる『MRの質を測るものさしあります』(エルゼビア・ジャパン)をお買い求めください。MRという表記を営業担当者に置き換えていただければ、抵抗なく読むことができます。
山本藤光2018.05.03

営業リーダーと同行指導:めんどうかい49

2018-05-03 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
営業リーダーと同行指導:めんどうかい49
――第4章:威力ある同行
 営業リーダーの仕事の柱は、「同行」でなければなりません。営業担当者の業績を左右しているのは、端からは見ることのできない「プロセス」部分(営業活動のブラックボックス)です。そこをレベルアップさせるための方法は、「同行」しかあり得ません。

 優秀な営業担当者と平均的な営業担当者は、具体的にどう違うのでしょうか。営業リーダーは、そこを掌握しておかなければなりません。次に紹介する分析は製薬企業のものですが、どんな業種でも大きな差異はないと思います。
 
 なぜスキルギャップを、明確にするのでしょうか。それは営業リーダー自身が、2つの違いを熟知する必要があるからです。営業リーダーは、指導のゴールを知っておかなければなりません。

「インプット」(知識・顧客ニーズの把握)→「ターゲティング」(重点顧客の選択)→「アクセス」(面談効率)→「ディテーリング」(商談)→「アウトプット」(成果・売上)

 営業担当者の仕事を、前記のように大きく分類します。そして下記のように、細かな活動を比較するのです。「同行」のゴールは、平均者を優秀者の域にまで引き上げることです。それゆえゴールは、明確になっていなければなりません。

 スキルギャップの抽出は、優秀な営業リーダー3人くらいで実行してもらいます。ほぼ半日くらいで完成させられます。あとから詳細は説明しますが、営業リーダーの同行対象者は、平均的なスキルの部下としたいものです。(明日へつづく)

町おこし114:それぞれの事情

2018-05-03 | 小説「町おこしの賦」
町おこし114:それぞれの事情
――『町おこしの賦』第4部:標茶町ウォーキング・ラリー22
 宮瀬哲伸一家は、寿司店にいる。可穂の発案で、哲伸・昭子の結婚一周年のお祝いをしている。二人の結婚は同時に、可穂に兄姉が誕生した記念すべき日でもあった。
「お父さん、お母さん、ご結婚一周年おめでとうございます」
 可穂の音頭で、グラスを合わせた。二人は元標茶高校の同級生で、ともに連れを亡くした境遇にあった。昭子には可穂がいたが、宮瀬には子どもがなかった。昭子が再婚に際して哲伸に出した条件は、当時の菅谷幸史郎と彩乃兄妹を養子に迎えるということだった。二人は両親を亡くし、寂しい境遇にあった。
「お父さん、お母さん、私たちとても幸せです。子どもにしてくださって、ありがとうございます」
 彩乃はそうあいさつをした。彩乃は来週、札幌の予備校へと旅立つ。大学受験集中講座を、受けるためである。札幌では彩乃の恋人・瀬口恭一が待っている。彼は恭二の兄であり、北大医学部の二年生である。
 幸福そうな五人は、今を満喫している。

南川理佐は、次第に遠ざかってゆく猪熊勇太の姿を思う。二人には共有すべき、未来がなくなってしまった。残酷な運命だと思う。電話をかけても、出てくれない。メールをしても、返信はない。
ひところは札幌の酪農学園大学へ行く、と張り切っていた。それが突然、進学を断念せざるをえなくなってしまった。理佐は、勇太の痛みを思った。思えば思うほど、それは残酷な形で自分に返ってきた。
私が今、勇太のためにしてあげられること。理佐は、一生懸命に考える。何も浮かばない。

詩織は何の連絡もなく、学校を休んだ。合格するまでは、電話もメールもご法度(はっと)としていた。心配しながら、恭二は風邪でも引いたのだろうと思った。ところが次の日も、その次の日も、詩織の姿はなかった。
 学校の帰り道、恭二は藤野温泉ホテルに向かった。詩織の父は恭二を認めて、ロビーのソファを勧めた。
「急性骨髄性白血病だって。町立病院に入院しているけど、見舞いは許されていない。現在は治療が進んでいるから、心配しなくていい」
 詩織の父は考えがちに、ぽつりぽつりと語ってくれた。恭二は一瞬のうちに、血の気が失せていくのを感じた。白血病。胸のなかを、巨大な石が転げ回る。恭二の肩に手を置き詩織の父は、「来月には、面会可能になると思う。詩織、喜ぶと思うので、行ってやってください」といった。

 中学三年から、いつも一緒だった詩織の不在。恭二は胸のなかに空いた穴を、どうすることもできない。詩織、と心のなかで呼んでみる。何も答えてくれない。