知だらけ099:意欲
人間力のある人には意欲がある
意欲のある人には夢がある
夢のある人には目標がある
目標のある人には努力がある
努力のある人には失敗がある
失敗のある人には反省がある
反省のある人には経験がある
経験のある人には智恵がある
智恵のある人には人間力がある
「意欲」とは、やる気、向上心、モチベーションのことです。意欲を引き出すには、動機づけが重要になります。動機づけには3つの回路があります。第三者から与えられたもの、環境の変化、そして成功体験の3つです。第三者には本の著者も含まれます。いずれにしろ人は、あるきっかけで意欲は大いに高まります。
営業リーダー研修で、私は受講者に次のような「成果の公式」を伝えています。
成果=意欲×(知識+智恵)
この公式のポイントは、「意欲」にあります。どんなに知識や智恵があっても、意欲が乏しければ成果は期待できません。
営業リーダーは、伸びしろのある部下を選択して集中的に同行すべき。伸びしろとは意欲のことです。仮に最も優秀な部下の意識・知識・知恵を2点としてみます。この公式では、成果は8点となります。
伸びしろのある部下の意欲・智恵は2点のままで、知識が劣っているとします。すると6点となります。意欲に乏しく、知識も智恵も劣っている部下に、すべてを1点としてみると、成果は2点となります。
伸びしろがあるのに、知識が劣っている部下の指導は、ロールプレイに集中します。伸びしろがあるのに智恵が劣っている部下は、同行指導の対象となります。ここでいう「智恵」とは、知識を表出するスキルやノウハウのことです。意欲に欠けた部下には、多くの時間をかけないように伝えています。
営業組織は時々、「2-6-2」の公式で語られることがあります。営業組織は優秀な2割、平均的な6割、劣っている2割で構成されているという意味です。私が指導に時間をかけるべきではない、といっているのは、劣っている2割を指します。彼らはよく「ぶらさがり」と揶揄(やゆ)されています。お神輿(みこし)をかついでいるふりをして、足が地についていない像からのイメージです。「伸びしろがある」のは、平均的な6割を指します。
敬愛する西堀栄三郎の著作から、「意欲」について紹介させていただきます。
――意欲さえでたら能力はいくらでも増す(西堀栄三郎『新版石橋を叩けば渡れない』生産性出版)
意欲とは、持続する向上心ともいい換えることができます。時々「気力が空回りしていますね」という言葉を、耳にすることがあります。これは追い求めている目標が、高過ぎることによります。意欲はそこそこ到達しそうな、次元に向けなければなりません。前記の「マイルストーン」のように、今日目指す域まで意欲を集中するのがポイントです。そして明日は目標のハードルを少し上げて、新たな意欲をかきたてるのです。