山本藤光の文庫で読む500+α

著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

ビリーの挑戦2-074cut:SSTレポート

2018-05-22 | ビリーの挑戦第2部・伝説のSSTプロジェクトに挑む
ビリーの挑戦2-074cut:SSTレポート
――Scene11:釧路営業所の会議室
影野小枝 釧路営業所の掲示板には、全国のMRの成功例が張ってあります。ちょっと読んでみましょうか。

#124:この問いかけは医師の逆鱗に触れるか
Aさんは1年間、毎月1回の訪問を欠かしていません。狙いは重点品Bを、競合品Cから切り替えてもらうことです。私(SST)は前回訪問時に、Aさんにこんな問いかけをしています。
SST:ドクターがなぜ競合品Cを使っているのか、その理由を聞いたことがあるかい?
A:聞いてみたことがありません。
SST:次回、直接ドクターに質問してみたらどうだろう?
A:先生、怒りませんか?
SST:私はこれまで何10回も質問しているけれど、1度も叱られたことはないよ。
Aさんは本日、ドクターにその質問を試みました。ドクターは笑いながら、「何となくだよ」と答えました。Aさんはすかさず「先生、うちのBも、何となくの仲間に入れてください」と一押ししました。ドクターから「使ってあげる」との返事がありました。

影野小枝 2人のMRが「SSTレポート」を読んで、何やらメモ用紙に書いて、隣にある投票箱に入れました。「何をなさったのですか?」
鶴見 #124をやってみようと思ったので、「賛同」の意志表示をしました。
早田 この投票箱に賛同した番号を入れると、データベースの方で集計されます。「SSTレポート」の#124が、どのくらいの支持があったのか、わかるようになっています。
鶴見 成功したり失敗したりした全国のレポートが、データベースに反映されるので、すごく刺激になります。
早田 私はSSTの山口さんから現場指導を受けていますが、山口さんは「きみにMVPを取ってもらいたい」といってくれています。このレポートに掲載され、賛同ポイントと成功ポイントがいちばん多かったら、社長賞がもらえます。
鶴見 ときどき「ヒヤリ・ドキット」と「ニヤリ・ホット」も特集されます。ヒヤッとしたこと、ドキットしたこと、ニヤリとしたこと、ホッとしたことが掲載されます。笑いながら読んでいますが、参考になることばかりです。
影野小枝 ああ、それは磯貝さんがMR時代に、「PDCAノート」に書いていらっしゃったことですね。

質を測る019:「場」づくりが大切

2018-05-22 | 営業の「質を測るものさし」あります
質を測る019:「場」づくりが大切
――第2章:人間系ナレッジマネジメント
営業リーダーという仕事は、単独で「SECI」を回すこが可能です。営業リーダーの大切な仕事を、「SECIプロセス」に重ねてみます。

S:Socialization(共同化)暗黙知→暗黙知
――「現場」で営業担当者と同行していて、自らやってみせ(暗黙知)同じようにやらせてみます(暗黙知)。
E:Externalization(表出化)暗黙知→形式知
――「会議」で営業担当者に成功例(暗黙知)を発表(形式知)させます。
C:Combination(結合化)形式知→形式知
――「会議」での発表(形式知)がすんだら、それをチームメンバー全員でディスカッションして(形式知)、よりよいものに改善します。
I:Internalization(内面化)形式知→暗黙知
――みんなが練り上げた成功例(形式知)を、それぞれの営業担当者は「現場」で実践(暗黙知)してみます。

これで「SECI」は1回転しました。例文のカギカッコに着目してください。営業リーダーが「SECI」に関与すべき「場(ば)」について明示しています。つまり営業リーダーは「現場」と「会議」という2つの「場」を使って、チーム内に知の循環をすることができるのです。
ナレッジマネジメントにおいて、知を創造する「場」はきわめて重要な概念になっています。「場」は「Ba」と表記され、世界のナレッジマネジメント学会において共通の言語になっています。野中郁次郎先生が、世界に広げた大切な概念なのです。

のほほん180522:もっと岩波少年文庫を

2018-05-22 | のほほんのほんの本
のほほん180522:もっと岩波少年文庫を

岩波少年文庫を好んでよく読みます。書評欄では、
ロフティング『ドリトル先生航海記』(岩波少年文庫、井伏鱒二訳)やミヒャエル・エンデ『モモ』(岩波少年文庫、大島かおり訳)などを紹介済みです。まだまだ紹介したい作品はたくさんあります。私の書棚には30冊ほどの岩波少年文庫があります。どれを手にしても、ピュアな気持ちにさせられます。ケストナー『飛ぶ教室』は、いま岩波少年文庫で再読中です。
山本藤光2018.05.22

3ヶ月間2人と同行:めんどうかい68

2018-05-22 | 営業リーダーのための「めんどうかい」
3ヶ月間2人と同行:めんどうかい68
――第4章:威力ある同行
 こうして、「育成同行」専任部隊は誕生しました。絶対に成功するという確信はありませんでした。ただほかに方法がなかった、というのが正直なところだと思います。

 SSTプロジェクトは、最終的に23%の業績アップを実現しています。SSTという「名人芸移植」プロジェクトは、信じられないほどの成果を上げました。SSTプロジェクトのポイントは、「同行」によって優秀者のスキル、ノウハウを平均的な営業担当者に移植する点です。

 SSTメンバーは、3ヶ月間2人の営業担当者と同行を繰り返します。朝から晩まで、1日も欠かさずに同行します。第1週がAさんと同行だったら、翌週はBさんとの同行になります。

 Aさんとの同行を終えると、SSTメンバーは翌週までの課題を与えます。そして再び同行したときに、課題をクリアしているか否かの検証をします。

 できていなければ、もう1度同じことを教えることになります。SSTメンバーの指導を受けた営業担当者は、誰もが大幅に業績を伸ばしました。

妙に知180522:家に帰れば

2018-05-22 | 妙に知(明日)の日記
妙に知180522:家に帰れば
セキスイハウスのコマーシャルは、何度聞いてもムムムと思ってしまいます。「家に帰れば、セキスイハウス」という例のフレーズが引っかかるのです。
なぜ「家に帰ると」としないのでしょうか。
「たられば」といういましめの言葉があります。過去のことをグチグチいわない、といういましめです。つまり「家に帰れば」は、そんなニュアンスに聞こえてしまうのです。私は「家に帰るとセキスイハウス」の方が好ましいと思うのですが。
山本藤光2018.05.22

町おこし133:ひぐま祭りのメインイベント

2018-05-22 | 小説「町おこしの賦」
町おこし133:ひぐま祭りのメインイベント
――『町おこしの賦』第5部:クレオパトラの鼻10
 ひぐま寮では、十月に「ひぐま祭り」が開催される。普段は女人禁制なのだが、このときだけは別である。中庭には綿菓子、焼き芋、とうもろこし焼き、ジンギスカンなどの店が並ぶ。全部寮生が、担当するのである。食堂では、軽音楽演奏とカラオケ大会が行われる。
 幸史郎は、妹の彩乃を招待していた。彩乃は一浪したが、今年も美大はダメだった。諦めて、藤女子短大に通っている。彩乃は、友だち二人を連れてきた。
幸史郎は三人を、友永が運営する喫茶コーナーに連れて行った。蝶ネクタイの友永が、注文を取りにきた。幸史郎は、「妹だ」と彩乃を紹介した。友永の目が、点になった。色白で彫りの深い、日本人離れした容貌だった。黒光りした髪は、細面の顔を一層際立たせていた。

コーヒーが、運ばれてきた。幸史郎は三人に、これからはじまるメインイベントについて説明した。三人は腹を抱えて、笑っている。
「それで、その警官はくるの?」
 彩乃は笑いながら、質問した。
「ちょうど休みなんで、稽古をつけてやる、っていったみたいだ」

 中庭には畳が敷かれ、その上でヘッピリ腰の二人が組み合っている。二人とも柔道着の帯は、茶色である。若い警官はマイカーの車内で着替え、二人の組み手を眺めている。腰にはしっかりと、黒帯が結ばれている。
「では稽古、よろしくお願いします」
三年生の白川はていねいに頭を下げて、両腕を前に突き出した。警官は、「もんでやるから、かかってこい」といって前へ進んだ。組み合ったと思った瞬間、警官の身体が宙に浮き、畳に叩きつけられていた。土嚢(どのう)を持ち上げて、叩きつけたような感じだった。地響きがした。みごとな一本背負いだった。
「なんの、もう一本」
 警官は再び、腕を突き出し挑みかかった。白川の身体が、後ろに倒れた。と思った瞬間、両足は警官の腹をとらえ、再び警官は宇宙遊泳させられた。再び埃が舞い、鈍い音が響いた。
「もう一本お願いします」
 白川はいった。しかし警官は手を振り、柔道着のまま乗ってきた車で、走り去ってしまった。佐々木は白川の手を取り、何度も頭を下げた。
「これでスカッとしました。ありがとうございます」
幸史郎は、彩乃たちに教えた。
「白川さんは、札学大柔道部のキャプテンなんだ」

 中庭は子ども連れの家族で、いっぱいだった。彩乃と友人は、ベンチでとうもろこしをくわえていた。友永がやってきて、幸史郎の耳元でささやいた。
「妹さん、すごい美人だな。紹介しろよ」
「ダメ、彼氏がいるの」
 彩乃の友人が幸史郎を見つめて、「すごい男前だね。紹介してよ」と彩乃の袖を引いた。