妙に知180510:[広辞苑」からのメッセージ
昨日発信させていただいた『拝啓「広辞苑」(第7版)さま』にたいして、岩波書店からメッセージが届きました。
以下昨日の再掲とメッセージを掲載します。岩波書店の真摯な回答に感謝いたします。
(再掲はじめ)
招き猫は外国人にも、お土産として人気のようです。招き猫には、さまざまなポーズがあります。一般的には、右前足をあげているのは。お金や幸運を招き、左前足をあげている猫は、客(人)を招くとされています。北嶋廣敏『右と左の面白ネタ事典』(PHP文庫)でも、そう説明されています。
私は以前にこのネタを書いたことがあり、そのとき「ひひ」として記憶を固めています。左(ひ)は人(ひ)という記憶法です。
昨日『今さら他人には聞けない疑問650・パート3』(知恵の森文庫)を読んでいたら、こんな説明がありました。
――右手をあげているのは、たいてい一般家庭にあり、この場合、猫が招いているのは「幸運」と「お金」だ。
一方、左手をあげている招き猫はたいてい商店にある。「千客万来」などと書かれて小判を抱いているように、この場合は、「客」を招いているといわれる。(同書P208)
ここまでは私の記憶と同じです。ところが「広辞苑第7版」(電子辞書版)を引いてみて驚きました。まったく真逆の説明になっています。
「広辞苑」では、右前足をあげている招き猫の写真2枚にそえて、
――すわって片方の前足を挙げて人を招く姿をした猫の像。顧客・財宝を招くというので、縁起物として商家などで飾る。
「広辞苑」(第7版)は、少なくとも私がこれまで得た知識とは真逆の説明をしています。ただし、左右どちらの前足かの説明はありません。参考写真の2枚から、右前足挙げ招き猫と想像してしまいます。また説明文に「商家」とありますので、
通常飾られているのは、左前足挙げの招き猫です。
「広辞苑」の写真とは違います。「広辞苑」の参考写真が、左前足挙げの招き猫だったら、まったく問題がないのですが。どうなっているのでしょうか。
(再掲おわり)
【岩波書店広辞苑担当からのメッセージ】
(あいさつ文省略)
左前足が人、右前足が財、という言い伝えは、いつのころから言われはじめたことか分かりませんが、古くはそのような区別はなかったと思われます。
広辞苑としては、左右に特に意味があるとは考えておりませんし、他の辞典類も左右の件には踏み込んだ記述はしていないようです。
写真についても特に左右に意味を持たせておりません。
山本藤光2018.05.10