知だらけ104:反省
人間力のある人には意欲がある
意欲のある人には夢がある
夢のある人には目標がある
目標のある人には努力がある
努力のある人には失敗がある
失敗のある人には反省がある
反省のある人には経験がある
「反省」とは、行為を検証することです。反省は多くの場合、失敗や誤りなどに従属する言葉ですので、ネガティブな印象を持たれていると思います。前に優秀な人ほど、失敗が多いと書きました。その理由は、失敗を糧にしているからです。失敗を糧にするには、そこに反省が介在していなければなりません。それがあるから、失敗を踏み台にできるわけです。
商談で不発に終わった営業マンがいます。「今日は〇〇さんの機嫌が悪かったから」で済ませてしまう人は、優秀な営業マンではありません。なぜ機嫌が悪かったのかを探るのが、優秀な営業マンです。あの時間は、忙しくて疲れているのかな。前日阪神が負けたからかな。いきなり商談に入ったのがまずかったのかな。このように、思考を展開するのが「反省」です。
時々「ダメじゃないか」と、部下を叱責している上司を見かけます。これは最悪のパターンです。こうした表現を「言葉を丸める」と言います。ケンカの場面を思い起こしてください。彼らが発する言葉が、その典型です。傍で聞いていても、何のことだかさっぱりわかりません。上司が発する「ダメじゃないか」も同じことなのです。
上司は部下に失敗の要因を、考えさせる時間を与えなければなりません。例えば部下と同行していて、顧客を出たときにはこんな具合に語りかけます。
上司「うまく行かなかったね。どう感じた?」
部下「ちょっと緊張しちゃって、早口になってしまいました」
上司「もっと落ち着いて、まずは質問を投げかけてみたらどうだろう」
仕事に一区切りがついたとき、駆け足でも構いませんので、それまでの段取りを振り返る。これが「反省」するの定義です。反省は何も、失敗に付随した言葉ではないのです。反省する習慣を私は「瞬間日記」と呼んでいます。事に及ぶ前に成果を思い描く。これと同じことで、事が終わったら成果を顧みるのが、「反省」のポイントとなります。
コルクを水中に押し込むと、手を放した瞬間に飛び上がります。これが反省から、新たな気付きを得る瞬間です。より高く飛び上がろうとするとき、人はまず身を屈めます。反省とは、そんなイメージの言葉です。できごとの追体験と呼んでもいいかもしれません。