Fさんのお話し(以下原文のまま)
私のところは祖母と妹を疎開させていて、あの日は母と二人きりでした。
父は早くなくなりました。焼夷弾が落ちてきたので、私は下駄を履いて母に
「逃げよう。逃げよう」と言うのですが、母は一家を背負ってるわけです
からシンガーミシンなんかを出したりしているんです。
ウロウロしているうちに隣まで焼けてきて川へ逃げました。
三ツ沢なんて田園地帯ですから本来焼けるところじゃないんですよね。
母に後で、「何で靴を履いてこなかったの」といわれました(笑)
翌日保土ヶ谷から従兄が迎えに来てくれました。
山をひとつ越えて浅間下に出たら、保土ヶ谷までまっすぐ見通せるん
です。何も無くて・・・・・。
行く手は凄いほどの夕焼けでした。
私は見なかったんですよね。炭になった死体を・・・・・。
それが無かったわけは無いと思うんですが、本当に無かったのか、
私が見なかったのか、ただ廃墟の彼方の真っ赤な夕焼けが西方浄土
のように感じられた、それを覚えているんです。
(つづく)
私のところは祖母と妹を疎開させていて、あの日は母と二人きりでした。
父は早くなくなりました。焼夷弾が落ちてきたので、私は下駄を履いて母に
「逃げよう。逃げよう」と言うのですが、母は一家を背負ってるわけです
からシンガーミシンなんかを出したりしているんです。
ウロウロしているうちに隣まで焼けてきて川へ逃げました。
三ツ沢なんて田園地帯ですから本来焼けるところじゃないんですよね。
母に後で、「何で靴を履いてこなかったの」といわれました(笑)
翌日保土ヶ谷から従兄が迎えに来てくれました。
山をひとつ越えて浅間下に出たら、保土ヶ谷までまっすぐ見通せるん
です。何も無くて・・・・・。
行く手は凄いほどの夕焼けでした。
私は見なかったんですよね。炭になった死体を・・・・・。
それが無かったわけは無いと思うんですが、本当に無かったのか、
私が見なかったのか、ただ廃墟の彼方の真っ赤な夕焼けが西方浄土
のように感じられた、それを覚えているんです。
(つづく)
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