80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

昭和20年の思い出(5)

2010-08-30 09:06:43 | 戦争体験
Naさんのお話

自宅の前が坂道で、避難する人が路一杯に後から後から上ってくるんです、

其の先に逃げれば誰も安全だと分からないのに、みんな其の列に入ってゆく、

私もそうしたのですが。

人々の足元をチャボが縫うように小走りについていく光景を鮮明に覚えて

います。頭の中で合唱曲集にあった”祭りの太鼓がドンドコドン”と言う

歌がテープレコーダーがグルグル廻るように繰り返していました。

腰が抜けると言うのかウエストから下が力が入らない状態でした。

青木橋の本覚寺に逃げましたが、本堂にも火がついて、終われるように

裏山の墓地に行きました。そこで大旋風が起こったんです。焼けたトタン

や大きな板が燃えながら旋風に巻き上げられては墓山にたたきつけられる。

墓石の間に身を伏せて頭を抱えている側を、真っ赤に焼けたいろいろな物が

ガランガランと転がってゆきました。




Nauさん (以下原文のまま)

火が四方に迫ってくると警防弾の人もパニックになってしまい、ただ避難所の

方へ盲滅法に誘導しようとするのです。

「そっちは風下だから駄目、広場じゃなくても風上へ)と言う母の一言で命を

救われました。


風向きひとつで一本の道路を境に焼けたりっ焼けなかったりしました。

(つづく)

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