80ばあちゃんの戯言

聞いてほしくて

原子爆弾被曝者への認識と対応

2010-08-16 07:34:23 | 戦争体験
 日本は世界で唯一、戦争における原子爆弾の直接被害を受けた国

であるが、この経験は太平洋戦争終結直後から、日本国民の反米感情

や報復意識にはつながっていない。

1946年の日本でのアメリカ戦略爆撃調査団による大規模調査結果に

よると、広島、長崎では19%、日本全体でもわずか12% の被調査者

のみが、原爆投下に対しアメリカに憎しみを感じたという。

また戦後20年間の書籍、新聞、雑誌の原爆関係記事では、おおむね

原爆の悲惨さを訴えるものが多く、アメリカへの恨みはほとんど

ないという。

救護を目的としない被爆者の詳細な健康被害調査は原爆投下直後から

日本側により開始された。この日本側調査報告書は戦後直ちに米国側

に全て英訳されて渡された。

これは米国の提出命令によるものではなく、自主的なものであり、

戦後も日本側は米国の調査に積極的に協力していたことが、米国公文書

公開によって明らかになっている。

これらの調査は詳細かつ執拗で、被爆者に治療とは関係のない薬物を

投与し、その反応を観るといったものまでなされていた。

調査結果は米国核戦略上の資料となり、永く被爆者の救済に用いられる

ことはなかった。

放射能・放射線に対する日本国民の意識は「恐怖」となり、それは戦後

しばらくの間、被爆者に直接、向けられた。

新聞・雑誌などにおいても被爆者は「放射能をうつす存在」あるいは

重い火傷の跡から「奇異の対象」などとして扱われることがあり、被爆者

に対する偏見・差別は多くあった。

このため少なからず被爆者は自身が被爆した事実を隠して暮らすように

なっていった。

今日、日本放送協会は、これを戦後のGHQによる言論統制の影響、すなわち

正しく原爆に関する報道がなされなかったために、当時、放射能・放射線

の知識が一般的でなかったことと相まって、誤った認識が日本国民の間に

蔓延したためであったと分析・公表している。

また、ラジオ中国の記者であった秋信利彦は、当時の被爆者の報道機関に

対する強い反感と反発の実態について証言している。


被爆者への救護施策は1945年10月の各救護所の閉鎖をもって終了し、以降、

何の公的支援もなされない状況が長く続いた。

国の被爆者援護施策は、1957年4月の「原子爆弾被爆者の医療等に関する

法律」(原爆医療法)施行より、実質的には1960年8月に「特別被爆者制度」

が創設されて以降である。

しかしこの被爆者援護施策は限定的で、救済されない被爆者が多く、概ね

充実したのは実に1995年7月の「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」

(被爆者援護法)の施行以降である。


東京地方裁判所は、1963年12月7日、被爆者は損害賠償請求権を持たないとして、

日本へのアメリカ軍による原子爆弾投下は国際法に違反したものであり、また

同時に大日本帝国の戦争責任を認め、引き継ぐ日本国が十分な救済策を執るべき

は立法府及び内閣の責務であるとする判決を下し、確定した。

以降、今日に至るまで、日本国内の被爆者関連の施策あるいは裁判において、

この基本的な考え方が準用され続けている。

今日、日本では広島・長崎への原爆投下の「事実」を知らない人はほとんど

いない。

長年にわたり初等教育すなわち小学校より、社会科・地歴のほか、国語の

説明文など、学校教育で扱われていること、毎夏、テレビ・ラジオの

ドキュメンタリー番組や平和祈念式典中継、あるいは新聞などで報じられ

ることなどによる。

しかしながら、「核兵器廃絶運動に関心はなく、具体的に参加したことも

ない」とする人が20代、30代の男女で23~25%あり、若年層の問題意識の

希薄化が進行している。

終戦直後はともかく、こういった今日に至るも原爆投下に関してアメリカ

の加害責任を問うことなく、その原因と責任の全てを、おおむね日本の

軍部などに求め「過去のものにする」世論は、やはり戦後のGHQによる言論

統制によって形成されたものだとする意見もあるが、これについては他に

も類似の、あるいは全く異なる意見があり、本稿では控える。

ヒロシマ・ナガサキの悲劇は、2009年現在においてもなお終結しているもの

とはいえない。

他の兵器と原子爆弾による人的被害の決定的な相違は、強力な原爆放射線や

放射能によってもたらされた難治性疾患や永続的な後遺症(晩発性疾患を含

む)にあり、生き残った被爆者やその家族に現在もなお、現実的な労苦を

強いるものとなっている。

これは少なくとも全ての被爆者が亡くなるまで続く。

さらに現在のところ公式には否定されているものの、被爆者を親に持つ子

(被爆二世)さらに被爆三世への健康影響(遺伝的影響)が懸念されている

ことから、広島市では被爆二世への健康診断(任意検診)も行われている

 以上wikipedia調べによる

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