翌年の6月頃、私の4歳児のクラスにいた坊ちゃんとお母さんに
出会った。
何だかご縁があると言うのか、この親子には買い物途中でひょっこり
会うことが多かったが、何時も決まって、お母さんの口から出るのは
”先生聞いてくださいよ。 この子ったらどうしようもない馬鹿で
本当に困っちゃいます。”だった。
”お母さん。お子さんの前で馬鹿馬鹿言わないでください。
子供さんの前で毎日、馬鹿馬鹿言っていれば簡単に馬鹿にする事
ができると言うくらいですから、それだけはやおやめください。
○○チャンはIQも人並みですし、馬鹿ではないですよ。”
それから暫く彼に対する愚痴が続くのだったが、その日はちょっと
違っていた。
”先生、何とか子のこの勉強を見てやってくださいませんか。塾では
とても駄目なんです。6年生ですからね。何とかがんばってもらわな
いと。”と言ったのである。
ちょうどその頃、私は家具を売り出そうとしていたのでそれはとても
辛い言葉であったが、これは放って置けないと判断し、家に一度来て
もらう事にしたのである。
翌日、親子でやって来たのだが、子供さんに質問をしようとしたら、
彼の方から
”先生11-2はどうやってやるのですか?”と言う質問が来た。
私は一瞬聞き違いかと思ったが、彼はまじめそうな顔をしていたし、
お母さんも何も言わずで、私はどう考えたらいいのかただもう
びっくりしてしまっていた。
これが6年生の質問か、私をおちょくっているわけではないのかと
思ったりもしたが、何はともあれ、このまま放って置けない気がした
のである。
ともかく私が教えるしかないと思ってしまった。
それからお母さんとお話しして、毎日私のところにできるだけ来るように
と言ったら、
”この子はちょっと心臓に心配があるので、この夏休みには手術をしな
ければいけないかもしれません。”といわれたので、
”身体の事が一番大切ですから、そんな時には何時でも仰ってくだ
さいね。 後は時間がないから、毎日できるだけ頑張りましょう。”
と言う事で、にわかに塾の先生をやる羽目になってしまったのである。
とりあえず、算数と国語を見ることにして、毎日時間を計りながら
4則計算をはじめにやらせて見たが、毎日毎日、彼はやってきて、午前中、
3時間以上も頑張ったが、少しづつ向上していった。
夏休みが終わりに近づいてきた頃、彼の心臓の手術はどうなっているのか
と心配になり、お母さんに電話したら、
”だって荒武先生が毎日来いと言われるので行かれません。”
”エエーッ? いつでも行って下さいとお話しておいたではあり
ませんか?心臓の手術をしないといけなかったのではないのですか?
私はびっくりした。あれほど身体の方が大事だからいつでも休んで
行ってくれとお話ししておいたのに、もし何かあったらどうなるのか
と、びっくりもしあきれもしたのである。
(つづく)
出会った。
何だかご縁があると言うのか、この親子には買い物途中でひょっこり
会うことが多かったが、何時も決まって、お母さんの口から出るのは
”先生聞いてくださいよ。 この子ったらどうしようもない馬鹿で
本当に困っちゃいます。”だった。
”お母さん。お子さんの前で馬鹿馬鹿言わないでください。
子供さんの前で毎日、馬鹿馬鹿言っていれば簡単に馬鹿にする事
ができると言うくらいですから、それだけはやおやめください。
○○チャンはIQも人並みですし、馬鹿ではないですよ。”
それから暫く彼に対する愚痴が続くのだったが、その日はちょっと
違っていた。
”先生、何とか子のこの勉強を見てやってくださいませんか。塾では
とても駄目なんです。6年生ですからね。何とかがんばってもらわな
いと。”と言ったのである。
ちょうどその頃、私は家具を売り出そうとしていたのでそれはとても
辛い言葉であったが、これは放って置けないと判断し、家に一度来て
もらう事にしたのである。
翌日、親子でやって来たのだが、子供さんに質問をしようとしたら、
彼の方から
”先生11-2はどうやってやるのですか?”と言う質問が来た。
私は一瞬聞き違いかと思ったが、彼はまじめそうな顔をしていたし、
お母さんも何も言わずで、私はどう考えたらいいのかただもう
びっくりしてしまっていた。
これが6年生の質問か、私をおちょくっているわけではないのかと
思ったりもしたが、何はともあれ、このまま放って置けない気がした
のである。
ともかく私が教えるしかないと思ってしまった。
それからお母さんとお話しして、毎日私のところにできるだけ来るように
と言ったら、
”この子はちょっと心臓に心配があるので、この夏休みには手術をしな
ければいけないかもしれません。”といわれたので、
”身体の事が一番大切ですから、そんな時には何時でも仰ってくだ
さいね。 後は時間がないから、毎日できるだけ頑張りましょう。”
と言う事で、にわかに塾の先生をやる羽目になってしまったのである。
とりあえず、算数と国語を見ることにして、毎日時間を計りながら
4則計算をはじめにやらせて見たが、毎日毎日、彼はやってきて、午前中、
3時間以上も頑張ったが、少しづつ向上していった。
夏休みが終わりに近づいてきた頃、彼の心臓の手術はどうなっているのか
と心配になり、お母さんに電話したら、
”だって荒武先生が毎日来いと言われるので行かれません。”
”エエーッ? いつでも行って下さいとお話しておいたではあり
ませんか?心臓の手術をしないといけなかったのではないのですか?
私はびっくりした。あれほど身体の方が大事だからいつでも休んで
行ってくれとお話ししておいたのに、もし何かあったらどうなるのか
と、びっくりもしあきれもしたのである。
(つづく)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます