奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2255)

2022-10-26 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「出羽三山~山岳信仰の歴史を歩く(岩鼻通明著・岩波新書2017刊)」を読んだ。岩鼻通明(いわはなみちあき1953生れ)氏は、1976京大(文学部/史学科)卒/1981同大学院(地理学)修士課程修了/2003博士(文学)。2006山形大学(農学部)教授/2019同名誉教授。専攻は文化地理学/宗教民俗学。--------

この本「出羽三山」の目次は次の通り。“はじめに(山岳信仰とは何か)”、“出羽三山の歩み(蝦夷との境界に祀られた神/遍歴民としての修験者)”、“出羽三山参りと八方七口(各地に残る出羽三山碑/里山伏の世界/松尾芭蕉の三山参り)”、“羽黒修験四季の峰(春の峰/夏の峰/秋の峰/冬の峰)”、“出羽三山を歩く/絵図を手掛かりに(山頂の三神合祭殿/ブロッケン現象と来迎)”、“湯殿山と即身仏/世行人の足跡を訪ねて(神仏分離と即身仏/千日回峰行と湯殿山千日山籠)”、“山岳信仰と食文化(修験者の食文化/森の恵みと食文化)”、“おわりに(これからの出羽三山)”---------

この本「出羽三山」の内容紹介文は次の通り。近畿の大峰山/九州の英彦山(ひこさん)と並ぶ修験道の聖地/羽黒山。“雲の峰幾つ崩れて月の山”と芭蕉が詠んだ主峰/月山。古来より“語るなかれ/聞くなかれ”と伝えられる/湯殿山。信仰の山としての長い歩みと/今も各地に息衝く多様な宗教民俗/そして名所/旧跡を解説。人々を惹きつけてやまない“お山”の歴史と文化を案内する。---------

岩鼻通明氏は、何の因果か“出羽三山”の学術研究に一生を捧げられた。京大の史学科出身であれば/全国何処のアカデミックポストでも意のままであったろうに/其れとも山形の水が身体にフィットしたのだろうか。余人には図り難いのが人生だと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2254)

2022-10-25 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「ぷかぷか天国(小川糸著・幻冬舎文庫2020刊)」を読んだ。小川糸(おがわいと1973生れ)女史は、作家。デビュー作“食堂かたつむり”がベストセラーとなる。その他、“喋喋喃喃”、“にじいろガーデン”、“サーカスの夜に”、“キラキラ共和国”、“ミトン”、“ライオンのおやつ”など著書多数。“ツバキ文具店(2017)”は本屋大賞受賞しNHKでドラマ化された。--------

この本「ぷかぷか天国」の日記風エッセイの目次は次の通り。“一陽来復/小さな鳥よ/新年会/今年こそは/リセット中/門松/怪奇現象/ツキノワグマとドナルドトランピ/海日和/世間話/満月の夜に/桃の花”、“卒園祝い/めぐみ雨/新たな一歩/花を飾る/チャーハン記念日/お花見/単身赴任/お仏壇/ウサギと卵/困った時の/チップについて/正しい週末の過ごし方/金曜日は”、“クラスメイト/放課後/新学期/ぷかぷか天国/そっくりさん/ご近所さん/お帰り肉じゃが/さくっと/8月15日/夏の遠足/メルケルさん/こんな幸せ/最後の太陽”、“キラキラ&ミトン/只今/ミトン祭/京都へ/鎌倉へ/サイン会/KINDERGARTEN/クラスメイト2/小川味噌店/冬の光/冬至/年の瀬ベルリン”---------

この本「ぷかぷか天国」の裏表紙抜き刷り文は次の通り。満月の夜だけ開店するレストランで/焚き火を囲んでお月見をしたり/三崎港へのひとり大人遠足を計画したり。ベルリンでは語学学校に通って予習と宿題に追われ/束の間の休みは/ご近所さんとホットワイン片手にクリスマスマーケットを梯子する。自分の気持ちに素直に/日々を自由に自然体で生きる著者による人気日記エッセイ。---------

小川糸女史の益々/闊達で自由気ままな生活が/日独を股に架けて繰り広げられる。愛犬“ゆりね”も日独をご一緒するのだから/庶民から見れば垂涎のセレブ生活だが/それを夢見る庶民としてはこの本「ぷかぷか天国」の読書で追体験するばかりだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2253)

2022-10-24 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「日本病~なぜ給料と物価は安いままなのか(永濱利廣著・講談社現代新書2022刊)」を読んだ。永濱利廣(ながはまとしひろ1971生れ)氏は、早大(理工学部/工業経営学科)卒、東大大学院(経済学研究科)修士課程修了。1995第一生命保険入社/日本経済研究センターを経て、2006第一生命(経済研究所)首席エコノミスト。総務省(消費統計研究会)委員/景気循環学会理事/跡見学園女子大学講師なども務めている。---------

この本「日本病」の目次は次の通り。“日本病/低所得/低物価/低金利/低成長”、“低所得ニッポン”、“低物価ニッポン”、“低金利ニッポン”、“低成長ニッポン”、“スクリューフレーションの脅威/1億総貧困化”、“下り坂ニッポンを上り坂に変えるには”----------

この本「日本病」の内容紹介文は次の通り。4低現象は“日本化”と呼ばれ/世界で研究対象に。今や日本の賃金はアメリカの半分強/韓国の9割。失業率が高い国ほど/賃金上昇率も高い不思議。物価上昇率がマイナスは/OECD諸国で日本だけ。異次元の金融緩和でも/物価は上がらない理由。日本は家計も企業も過剰貯蓄/蔓延るデフレマインド。アメリカはリーマンショック後/凄い勢いで量的緩和と利下げを行い/日本化回避に成功。日本の政府債務の増加ペースはG7の中で最低/財政赤字を気にし過ぎ。ここ30年でアメリカのGDPは2倍/日本は1.2倍。日本では年収200万円未満の世帯が増加/年収1500万円以上の世帯は減少/1億総貧困化へ。日本の年金/社会保障制度は危機的状況の間違い。大きな可能性を秘めている日本の第一次産業。---------

永濱利廣氏は、日本経済を日本病に見立てて/その症状/病状を細かく観察/診察し列挙しているが、治療の処方箋は何処にも書かれていない。治療薬/治療法の無い病気であると診断しているのか/其れともお手上げだとシャッポを脱いでしまったのか/抜本策を示せていないのが残念である。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2252)

2022-10-23 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「メンタルクリニックの社会学~雑居する精神医療とこころを診てもらう人々(櫛原克哉著・青土社2022刊)」を読んだ。櫛原克哉(くしはらかつや1988生れ)氏は、東大大学院(社会文化研究専攻)博士課程修了/博士(社会学)。日本学術振興会研究員を経て/東京通信大学(情報マネジメント学部)講師。--------

この本「メンタルクリニックの社会学」の目次は次の通り。“序章(メンタルクリニックの社会学)”、“メンタルクリニックの誕生”、“不安定な医療化/何を医療と見なすのか”、“トラブルの実在を巡る問い”、“治療する自己/薬/脳/こころを巡る語り”、“治ると治らない/の狭間”、“終章(メンタルクリニックの出口)”---------

この本「メンタルクリニックの社会学」の内容紹介文は次の通り。1990年代以降/都市部を中心に雨後の筍のごとく急増したメンタルクリニック。心身の不調から日常的な悩みまで/メンタルを巡る様々な問題が持ち込まれ/必要に応じて診断や治療が為される。メンタルクリニックへの接近と離反を繰り返す患者、そしてそれに寄り添うスタッフへのインタビューを主軸に/現代の自己変容の形を紐解く。生き辛さを抱える人々に寄り添う社会学。--------

櫛原克哉氏は、34歳で助教から講師となったばかりの若手研究者であり/医学界/精神医療の世界を社会学的な見地から学問的に究明しようとしている。そしてメンタルクリニックは医療と云えるのかと大上段で切り込んでおられる。多分年嵩の社会学者/研究者であれば/研究対象としない/寧ろ敬遠するであろう領域に踏み込んでおられる。だからこそ面白い企画となっている。医学界からの手痛い返り討ちにあわず/引き続きの活躍を期待したい。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2251)

2022-10-22 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「友達から自由になる(石田光規著・光文社新書2022刊)」を読んだ。石田光規(いしだみつのり1973生れ)氏は、東京都立大学大学院(社会科学研究科)博士課程単位取得退学/博士(社会学)。早大(文学学術院)教授。著書に“友人の社会史”、“孤立の社会学”、“繋がり作りの隘路”、“孤立不安社会”、“人其々が淋しい”-----------

この本「友達から自由になる」の目次は次の通り。“はじめに”、“変わりゆく友達”、“友達には本音を言えない”、“会えなくても繋がる友達”、“コスパで決める友達づきあい”、“形から入る友人関係を超えて”、“あとがき”---------

この本「友だちから自由になる」の内容紹介文は次の通り。そもそも友達とはどんな人間関係を指すのか。現代社会を生きる私たちの友人関係は/予(あらかじ)め/友達と云う枠を当てはめ/そこに合うように関係の中身を調整することで成り立っている。古代ギリシャの時代から/歴史的に友達が如何に変質してきたかを示し/それでも尚/現代に成立し得る友情について考える。SNSやリモートが当たり前になった現代人のための/全く新しい友情論。私自身は繋がりのある相手を友達かどうかという基準で区分しない。誰かに対して友人/友達と云う言葉を使うこともない。家族/親族は別だが/それ以外は知り合いで統一している。理由は/友人や友達は良きものと云うイメージが強く根付き過ぎている。誰かに友達と云うラベルを割り振るようになると/相手に対して繋がりに関するある一定の水準を満たした人と判断している気分になる。非常に煩わしい為/出会った人は皆/知り合いと呼ぶようにしている。そうすると出合った相手を判定すると云う感覚から距離を置けるので/コスパ意識を緩和することができる。---------

石田光規氏は、とてもセンシティブでナイーブな感覚の持ち主であり/その性格と社会適応性を結び付けた問題を深く掘り下げてアカデミックポストを得られたようだ。この本「友だちから自由になる」が書ける人はそう大勢はいない/結構レアな研究者だと思った。

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