Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

メキシコ・キューバ旅行⑧キューバの不思議

2019年12月09日 | メキシコ・キューバ旅行2019

キューバでお世話になったローカルガイドは、元気で明るいキューバ人のY嬢でした。
ハバナの大学で日本語を学んだという彼女、実に上手に日本語を話し、日本文化に詳しく、「日本が死ぬほど好き!」というのです。
キューバでは基本、個人の海外渡航は許されていないのだが、彼女は日本人の知り合い(以前のツアーガイドで知り合ったらしい)から「招待」され、去年、日本に初めて遊びに行き、何から何まで夢のようだったと。
その彼女に様々なことを質問すると、嫌がらずに丁寧に答えてくれました。



彼女によると、キューバの平均月収は50ドルだというのです。
食料は配給制だが量も種類も非常に少なく、例えばパンは一日一人一個、卵は1ヶ月に5個。
そのパンも、私たちがホテルで食べるようなふわふわの物ではなく、小さくて硬い。
スーパーに行っても棚はスカスカ、配給される食品も乏しく、本当に物が無いのだと。


これは旧市街の八百屋。奥の方に野菜がちょっぴり。

私が泊まったホテルは500室以上の立派な建物で、大きなプールやテニスコートもあり、部屋もゆったりとして、朝食はビュッフェスタイルのリッチなものでした。
ハバナ滞在中に行ったレストランも、ヘミングウェイが愛したフロリディータを始め、何処も中々立派なものでしたが、そのようなホテルも店も基本、外国人専用であるらしい。
街を疾走するピカピカのクラッシックカーも、外国人用の観光タクシー。
地元の人たちは…そもそも車なんて普通の人には買えないのだと、Y嬢の弁。



キューバでは教育費と医療費は無料。
それは素晴らしいが、一生懸命に勉強しても望むような就職先がない。
しかもどんな職業についても公務員であり、給与はたいして変わらないので勤労意欲が湧かない。
医療現場でも、薬や用具は慢性的に不足しているのだと。

普通の人はインターネットできるの?と聞くと
できるにはできるが、機器もネット料金も高いし、監視付き。
FaceBookはできるが、例えばお上の悪口など、言いたいことは言えないのだそうです。
大体、月収50ドルでスマホやPCをどうやって買うのだろうと思ってしまう。
彼女は人気ガイドとして成功者の部類のようで、スマホを使っていましたが。



日本の物質文明を知ってしまった彼女はしかし、日本にまた行くことが夢だけど、日本に住みたいとは思わない、やはり住むのはキューバがよいと。
様々な不満は「しょうがない」とあきらめて、キューバ人は家族や友人を愛して明るく生きるのだと。
確かに街を歩くと、あちらでもこちらでもラテンやジャズの音楽が聞こえ、人々は陽気に踊っている。
「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」のワンシーンのように、通りで、広場で、レストランで、本当に老いも若きも楽しそうに踊っているのです。
そんなに不自由な生活なのに、どうして?
私の胸の中には疑問符が渦巻くばかりだったのでした。



こちらのサイト「月額平均給与が30ドルのキューバ人はどうやって生きているのでしょう?」によれば、2016年のキューバの平均月収は30ドル。
この人はキューバで暮らし、旅行するのと生活するのがいかに違うかを、写真付きで説明してくれています。


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メキシコ・キューバ旅行⑦キューバって…?

2019年12月08日 | メキシコ・キューバ旅行2019
私が抱いていたキューバのイメージといったら
チェ・ゲバラ、カストロ、サルサ、葉巻、ラム酒、社会主義国といったところでしょうか。
1997年のキューバを舞台にした映画、ヴィム・ベンダースの「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は、老ミュージシャンたちの生活を追ったようなドキュメンタリー仕立ての映画で、古ぼけた街並の昼下がりを廃車寸前のポンコツ車が走っているのが印象的でした。
映画「モーター・サイクル・ダイアリーズ」はチェ・ゲバラの半生を描いた青春ロードムービー。
これは結構面白かったので原作も読みましたが、チェ・ゲバラの若き頃の南米放浪記といったもので、キューバはそんなに出て来なかったのです。
最近観た「セルジオ&セルゲイ」は、ハバナの庶民がロシアの宇宙飛行士を無線で助けるというファンタジーで、貧しい暮らしも陰湿な公安係もユーモアではねのける逞しさに笑えました。



今回、例によって旅行の前にキューバにまつわる本を多少読みましたが
その生活は中々に不自由なものであるらしい。
食料品は未だに配給制、通貨は国民用と外国人観光客用とで違うのですと。
慢性的な外貨不足を抱えているため外貨流出を防ぐ目的で、現地人通貨と外国人通貨とを区別する二重通貨制を1994年に導入したのだそうです。
しかし慢性的に物不足、GDPは低く、その生活は決して豊かではない。



スペインの侵略によって16世紀に原住民はほぼ絶滅し、今暮らしているのは征服者や労働者として後からやってきた人々であり、スペイン系の白人、アフリカ系黒人、ムラート(黒人と白人の混血)、メスティーソ(白人と中米先住民の混血)等々。
そうした複雑な社会状況と悲しい歴史を抱えているというのに、しかしキューバの人々は陽気で明るいと、私が読んだ本は一様に言うのです。
確かに、英国の環境保護団体Friends of the Earthによる143か国を対象にした「幸福度指数(2009年)」で、キューバは世界第7位(日本は75位)であると。
そりゃ欝に悩むキューバ人って、あんまり想像できないなあ…




そんな状況なのに何故?
それを知りたい!というのが行く前の率直な思いでした。




(写真のピカピカのアメ車は、観光客用のタクシーでした)

参考にした本
「キューバへ行きたい」 板垣 真理子
「素顔のキューバ案内 」伊東 淳史
「キューバ」伊藤 千尋
「モーター・サイクル・ダイアリーズ」エルネスト・チェ・ゲバラ
「キューバでアミーゴ!」たかのてるこ
「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」若林 正恭

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メキシコ・キューバ旅行⑥スーツケースの行方

2019年12月07日 | メキシコ・キューバ旅行2019

地図で見ると、メキシコシティの右にカンクンが、更にその右にハバナがあります。
だからその順に行けば楽なのですが、カンクンとハバナの間に丁度の飛行機便がなかったらしい。
なので、成田→メキシコシティ→ハバナ→メキシコシティ→カンクン→メキシコシティ→成田と飛ぶことになり、今回の旅行では飛行機に6回乗ったことになります。
アメリカ資本の影響を受ける前のキューバを見てみたい、せっかく近くに行くのだから。
そう思ったのですが、やはり大変でした。


チェ・ゲバラ第一邸宅

三都市の間はそれぞれ3時間ほどなのですが、何しろ飛行機が時間通りに飛ばない。
搭乗手続きや入国手続きにやたら時間がかかり、出発が遅れるのは当たり前。
日本の航空会社のように、定刻通りに事が運ぶなんてあり得ないのです。


20mのキリスト像

メキシコシティからキューバに飛んで、小さなハバナ空港に着いたものの、
小さなターンテーブルから夫のスーツケースが中々現れない。
20人のツアー・メンバーのうち、荷物が出て来なかったのは夫とM氏。
かなり待たされて夫のはようやく出てきたのですが、M氏のは遂に出て来ませんでした。
しかも夫、スーツケースの中を一目見て、荒らされてる!と。



今回の旅行で、スーツケースに鍵はかけないようにと添乗員のS嬢から言い渡されていました。
下手に鍵をすると、空港で鍵ごと壊されてしまうからと。
だからスーツケースの中が掻き廻されていても驚くほどのことでもなかったのですが、M氏はその中に、現金5万円とクレジットカードと携帯電話を入れていたというのです。
スーツケースの中に貴重品は入れないというのは鉄則ですが、70代の男性M氏、いつもそのようにして40回以上海外旅行してきたというのにもビックリ!
それで今まではずっと無事だったのですって。
その後観た光景は美しかったが、とんでもないハバナ滞在の幕開けでした。


モロ要塞から見たハバナの旧市街の日没 


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メキシコ旅行⑤生贄の儀式

2019年12月05日 | メキシコ・キューバ旅行2019

国立人類学博物館には12万点超の文化財があるのだそうです。
その中から、ほんの数点だけをご紹介したいと思います。

上の写真はチャックモールという、生贄の心臓を献上するための、人間と同じ大きさの銅像。
このおなかの丸い穴に心臓を入れたのだそうです。
切れ味の良い黒曜石のナイフで生身の身体から切り取られた心臓は
取り出されても暫くはピクピク動いていたのですって。
アステカの人々は太陽に永遠に光り輝いて貰う事を祈って、太陽のエネルギーの元だと信じられていた、人の心臓や血液を捧げたのだそうです。

生贄にされるのは、戦争捕虜や奴隷だけではなく、一般の人民も。
その儀式は、戦勝記念や神殿の落成式、王の戴冠式などのお祝い、月に一回以上あるお祭り、或いは天変地異の時など、事ある毎に施行されたのだと。
テノチティトラン最大のピラミッドが完成した時には4日間生贄の儀式が続き、
生贄になる人々の長い列ができていたのですって。
シウテクートリ(火の神)の祭りでは、まず何人かを火の中に放り込み、
かなり焼いた後、火から引っ張り出し、息絶える寸前に動く心臓を取り出したと。
テスカトリポリの祭りでは、眉目秀麗、完璧な体の若者を一年前に選び出し、
一年間着飾らせ、食事、教育など最高の贅沢をさせ、何人もの美女を与え、
そしてその日を迎えさせたのだと(その女性バージョンもあり)。



いやもう、身の毛がよだつようなことばかり。
この壺の中の小さな骸骨は幼い子供のもののよう。
説明はスペイン語だけなのでさっぱり分かりませんでしたが、これも生贄だったのか。



これは7世紀のパカル王の翡翠の仮面。
その頃、翡翠は黄金より貴重なものであり、顔全面を翡翠に覆われ、何重もの首飾りをかけ、手には翡翠の玉を握り、全ての指に翡翠の指輪を。
この豪華な仮面が、実は1985年12月24日のクリスマスイブの夜に、通気孔から進入した泥棒に盗まれたのだそうです。
しかし4年後、犯人は呆気なく捕まった。
警察官が何気なく尋問した挙動不審者の自宅から、盗まれた秘宝が発見されたのですって。
宝石類数点は海外で売られたらしいが、さすがに有名な秘宝は持ち出すことが
できなかったとみえ、無事だったのだと。
こんなルパンのような窃盗事件が本当に起きたことも、そしてマヌケな結末を迎えたことも、あまりにもメキシコらしいと言ったら怒られるかな。


参考文献 古代マヤ・アステカ不可思議大全 芝崎みゆき
     マヤ・アステカ遺跡へっぺり紀行 柴崎みゆき
     アステカ文明の謎 高山智博
     古代マヤ文明不思議物語 村上達也
     
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メキシコ旅行④テオティワカン遺跡

2019年12月04日 | メキシコ・キューバ旅行2019
(月のピラミッド)

テオティワカンとは「神々の都」という意味なのだそうです。
ここには「太陽のピラミッド」と「月のピラミッド」があります。
紀元一世紀頃造られた太陽のピラミッド、高さは65m、基底は224m。
エジプトのクフ王・カフラー王のピラミッドにつぐ世界3位の大きさということですが
去年行ったばかりのクフ王のピラミッドの半分位の高さなので
正直、そんなにたいしたことないじゃんと思っていたのです。



ところがこちらは、その周りが凄かった。
上の写真は月のピラミッドの上から見た死者の大通りと、その途中にある「太陽のピラミッド」。
「死者の大通り」はここから3キロ先のケツァルコアトルの神殿まで一直線に伸び、
その途中に無数の基壇・神殿が並んでいます。
しかもこれらの建物の配置は、実に緻密に計画的に行われているというのです。
「太陽のピラミッド」は夏至の日に太陽が正面に沈むことで有名ですが、
そのために「死者の大通り」は真北から東に15度25分ずらして造られている。
また、ここでは83㎝を一単位としていて、建物の大きさや建物間の距離を
83㎝で割ると、すべてメソアメリカの暦に関連する数字になるのだそうです。


(太陽のピラミッド)

アステカ文明侮れない!
ところが、それについての本を読み齧ると、残酷な事実が次々に。
ピラミッドの四隅には子供たちの生贄が埋められ、
このピラミッドのための生贄の遺骸が、神殿内外から150体以上見つかっているというのです。
生贄は、ピラミッドの上で4人の神官に手足を押さえられ、生きながら心臓を取り出されたのですって。
子どもの頃、少年漫画で恐る恐る見た生贄の儀式、本当にあったのね。
生贄については、マヤ・アステカ文明には切っても切れないものらしく、
その後行った博物館や他の遺跡でも必ず出て来たので、後にまた書きます。



エジプトのピラミッドは登ることができませんでしたが、こちらは大丈夫。
石の階段はかなりの急勾配、高さもまちまちでかなり登りにくいのですが
これくらいへっちゃら!と元気に登って行ったら、一瞬、目の周りが真っ白になりました。
慌てて休んだものの、心臓はバクバク、気分悪く脂汗がタラタラ。
軽い貧血を起こしたようでした。
そういえばここは標高2300mだった…前日ろくに寝てなかったし。
メキシコのピラミッド、やはり侮れません。


参考文献 「古代マヤ・アステカ不可思議大全」 芝崎みゆき
     「アステカ文明の謎」 高山智博


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メキシコ旅行③世界最大の壁画

2019年12月03日 | メキシコ・キューバ旅行2019
メキシコシティの郊外にある国立自治大学はラテンアメリカ最大規模の大学であり、
沢山の建築家や芸術家によりキャンパスが建設されたのだそうです。
そしてアステカ文明やメキシコの歴史を描いた巨大な壁画があり、世界遺産となっています。。



中央図書館に描かれたフアン・オゴルマン作の巨大壁画は
なんと大きな建物の四面に描かれており、世界最大の壁画と言われているのだそうです。



ここにはメキシコ・オリンピックのスタジアムもあり、そこにはシケイロスの立体壁画が。
そのオリンピックの直前に、この大学で5万人もの学生の抗議デモが行われ、
その後トラテロルコ事件が起きたということを、今回初めて知りました。
デモに加わった学生が政府によって殺害され、その数は300人とも400人とも言われているのだそうです。
政府が発表しなかったので、ハッキリした数は未だ分からないのだと。
「私たちはオリンピックを望んでいない、革命を望んでいる!」と訴える学生たちを殺害し、
その10日後には、何事もなかったようにオリンピックは開かれたのですって。



そんな過去があったなんて。
広大なキャンパスには緑の芝生が広がり、赤いブーゲンビリアが咲き誇っていました。
この巨大壁画が描かれた図書館は、その蔵書数でも世界に誇るものらしいのですが
そこのトイレをお借りして、また驚きました。
数個ある個室の鍵はほぼ壊れ、便座はなくなっている。
街なかやドライブインのトイレではもう当たり前、驚きもしませんが
メキシコにおけるエリート養成機関の役割を担っているという、ここもそうであったとは。


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「冷縁和傳」と山の上ホテルのランチ

2019年12月02日 | 劇、オペラ、コンサート

宝生能楽堂での「令縁和傳」(れいえんわでん)を観て来ました。
辰巳満次郎氏の還暦と御子息和磨氏の独立記念を兼ねた公演だそうです。

能「砧」については、その前に「能物語」による解説もありましたし、
ほんの少し予習して行ったので、帰って来ない夫を慕うあまりに死んでしまった妻の亡霊が
夫を責めるがやがて成仏して行く話ということは分かりました。
狂言「二人袴」、これは文句なく楽しい。
半能「石橋」、半能とは前半後半に分かれる演目の、後半だけを演ずる演能形式のことだそうです。
これは予備知識なしで臨んだのですが、その前の「能物語」の解説もあったので
高名な法師が中国の山奥の、千尋の谷にかかる石橋を渡ろうとするという所までは分かったのです。
その後現れた赤獅子、白獅子が恐ろしい形相で舞台を所狭しと乱舞する姿を見て
てっきり、狂暴な自然への畏怖、或いは人間の邪悪性を表しているのかと思ってしまいました。
終演後にパンフレットを読んだら、霊獣獅子は文殊菩薩の使いであって、大変めでたい演目なのですって。
知らないということは恐ろしい。



能公演の前に、お茶の水の山の上ホテルで叔母・義妹とランチを。
昨日リニューアル・オープンしたばかりの、文人の宿として知られるこじんまりしたホテル。
中華「北京」と場所が入れ替わったという老舗フレンチの「ラヴィ」、
メニューもお値段もグレードアップしていて、贅沢な味を堪能しました。
この写真はワゴンのデザート。
好きなものを好きなだけ食べられるというのに、小食の自分が恨めしい。



紬の小紋にお太鼓結び、なんとか着られました。





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