Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「朽ちゆく庭」「夜が明ける」

2023年08月08日 | 

「朽ち逝く庭」伊岡瞬著 

「絶対に言えない秘密を抱える家族の行く末とは」こんな帯のコピーを見たら、読まずにはいられない。
中堅ゼネコン勤務の父・陽一は仕事でトラブルを抱え、母・裕実子は勤め先の上司とホテルに、中学生の息子・真佐也は不登校が続く。そんな家庭に、ある日、とんでもない事件が起きる…
学校にも行かず、怠惰な生活を送る息子に最初は苛立ちを覚えますが、終章、息子が一番まともであったことが分かって愕然とします。
下手なホラーよりも怖い、仮面家族の崩壊を綴った物語です。



「夜が明ける」西加奈子著

「書きながら 辛かった」と著者が言うこの小説のテーマは、現代日本に存在する若者の貧困、 虐待、 過重労働です。
15歳の時、 普通の家庭で育った「俺」と、母親にネグレクトされていた吃音のアキは高校で出会い、 共有できることなんて何一つないのに、互いにかけがえのない存在になっていった。大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、アキは劇団に所属する。しかし、その世界は理不尽に満ちていて、少しずつ、二人の心と身体は壊れていった…
”何かを破壊したくてたまらない。カッターを探す。もう俺の腕は傷だらけだ。こんな腕で仕事が見つかるはずもない。生活費はどうする? 。奨学金の返済は?。頭が締め付けられて、吐きそうになって、それで、スマートフォンを手に取る”
この訴えかけてくるような表紙の絵も、著者が描いたのですって。
イノセントな若者たちが過酷な社会の中で身も心もボロボロになっていく様子に、息苦しくなるような小説です。


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