Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

五月大歌舞伎夜の部、みずみずしい初夏の

2024年05月24日 | 劇、オペラ、コンサート

「五月大歌舞伎團菊祭」夜の部は、歌舞伎初心者にはなんとも理解しづらい内容でした。
20年来毎週映画を観ている者として私は、どうしても歌舞伎もひとつの演劇物として観てしまう。
その伝で行けば、今回はもう滅茶苦茶。

伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)。
我が子を殺されながらも忠義を尽くす乳人政岡(菊之助)の苦衷を描く「御殿」。
ストーリーとしては、子を持つ母として大概イライラさせられる。
毒饅頭で千松を殺した栄午前は、何故あんなに平然としているのか?
八汐は何故いたいけな子供を嬲り殺しにしたのか?
いやエンタメとは分かっていますが、話に整合性がなさすぎる。
「床下」では最後に仁木弾正(團十郎)が現れるのですが、見栄も切らず、一言も発することもなく、スーッと花道を引っ込んでゆくだけ。
あれ?これって團菊祭だよね!?



そして四千両小判梅葉(しせんりょうこばんのうめのは)。
江戸城から4千両という大金を盗み出した富蔵(松緑)と藤十郎(梅玉)。
二人がその謀をするシーンに始まって、次にはもう4千両を手に入れてホクホクしている。4千両って今の3億円に当たるそうですが、その御金蔵破りのシーンはない。
次には、加賀で捕まって江戸に護送される富蔵が、妻子と泣き別れをするシーン。
そして伝馬町の牢の中に場面は移り、牢名主以下、何十人という罪人がずらりと並んで座り、新人を呼び出して尋問したり、ツル(現金)を取り上げたりが延々と。
そして富蔵と藤十郎が白洲に引き出されて市中たらい回しの上、磔という刑を言い渡されて話は終わる。
肝心の場面は一つも描かず、その前後のみを描いて想像させる、こんな演出があるのね。
明治18年に初演された本作は、牢内の様子が鮮明に描かれたことで大評判になったそうですが、いや牢のシーン退屈だし、長すぎるし。
という訳で、昨夜は疑問符だらけの舞台でした。



私は青磁色のベースに白い小花をあしらった訪問着。
これも古いものですが数年前に見て、みずみずしい初夏のワクワクした気分を何と見事に表してくれるのだろうと感動して、以来着物を着始めたのでした。



コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする