Zooey's Diary

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「同志少女よ、敵を撃て」

2023年07月03日 | 


2022年本屋大賞、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。
モスクワ近郊の農村に暮らす18歳の少女セラフィマの日常は、1942年のある日、一変する。ドイツ兵に母を銃撃され、村人は皆殺しにされる。自身も暴行、殺される寸前だったところを、赤軍の女性兵士に助けられる。セラフィマは狙撃手となり、母親の復讐、ナチズムへの復讐への闘いに挑む日々を送る。ある日、淡い初恋の相手だった同じ村出身のミハイルに再会するが、彼は砲兵曹長となっていた。


ソ連に実在し、第二次世界大戦において300人のナチス兵を倒したという女性スナイパー、リュドミラ・パブリチェンコをヒントに書かれたという小説です。
アニメのような表紙といい、煽情的なタイトルといい、ライトノベルっぽいのかと思いましたが、中々どうして読むのに辛い内容。
爆弾を身体に巻き付けられ、敵戦車に飛び込む訓練を受けた犬が出て来る。
”劣等スラヴ民族の人口削減を奉じ、降伏を許さない枢軸軍に包囲され、計画的な飢餓により100万の市民が餓死、凍死し、親兄弟がその死肉を食らう極限の都市”レニングラードの惨状。
スターリングラード、クルスク、ケーニヒスベルグでの熾烈な戦い、殺し合い、略奪、暴行、拷問。
そしてラスト近くでの怒涛の展開、何と残酷なミハイルとの再々会。


”自分は女性を守るためにここまで来た。女性を守るために戦え、同志セラフィマ。迷いなく敵を倒すのだ。
私はお前のようにはならない。お前のように卑怯には振る舞わない。私は、私の信じる人道の上に立つ。
同志少女よ、敵を撃て。
まるで渦潮が船を呑むように、セラフィマの感情は収斂し、左手に感覚が戻り、狙撃手の持つ一筋の殺意と化して、彼女の操るライフルは、赤軍兵士たちの頭に照準線を合わせた”


今現在、ウクライナでもこのようなことが行われているのか。
この表紙に惹かれてでも若い人たちがこの本を手に取って、戦争の理不尽さ、残酷さに少しでも触れてくれたらと思います。

コメント
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