Zooey's Diary

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「しあわせな人生の選択」

2017年07月12日 | 映画


スペインのアカデミー賞といわれるゴヤ賞受賞。
地味だけれど、後からじんわりと来る作品です。

離婚して愛犬とマドリードで暮らす俳優のフリアン( リカルド・ダリン)は
肺癌の末期で余命いくばくもない。それを知った親友トマス( ハビエル・カマラ )が
カナダからやって来て一緒に過ごす、その四日間の物語。



治療をあきらめ、身辺整理を始めたフリアンは、愛犬の新たな飼い主を探したり、
長く会っていない、アムステルダムの大学に通う息子の所に行ったりする。
愛犬はブルマスティフという大型犬なのですが
もう老犬であり、更に色々病気を持っているので、里親探しも難しい。
フリアンは息子に会う気も最初なかったのに、突然日帰りで行くと言い出す。
朴訥な、口数もそう多くはない男二人の友情物語とはいっても
一方的に、トマスがフリアンに振り回されているように見えます。

大体、再会してすぐに「君からは見返りを求めないということを学んだよ」なんて
フリアンに言われて、トマスはもう、そうするしかなくなってしまう。
アムステルダムに行く旅費を出させられたり、
フリアンの治療の仕方に口を出そうとしても拒否されたり、
トマスは親友の我儘に振り回されっ放しなのです。
はるばるカナダから行ってやって、ここまでされてよく怒らないなあと
少々腹立しい思いで観て行くと…



この二人は多分、昔からこういう関係なのだろうなあと分かって来る。
そして、フリアンがここまで我儘を言えるだけの関係を二人は持っているのだと
いうことが、羨ましくなってくるのです。
最後の最後に、フリアンは最大の我儘を、トマスに押し付ける。
あんな図々しいことをよく言うものだと驚くと同時に
解決策はこれしかなかったのだ、こんなことを頼める関係なのだと思えてくるのです。
自分の最期という時に親友が駆けつけて来てくれて、無論フリアンは嬉しかったでしょうけれど
余命少ない親友に振り回され、我儘放題されたトマスの方も幸せであっただろうと。



原題は「TRUMAN」、愛犬の名前です。
最後に振り返った犬の顔が、切なかったなあ…
セスク・ガイ監督。 スペイン・アルゼンチン合作映画。

公式HP http://www.finefilms.co.jp/shiawase/
コメント (2)
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