Zooey's Diary

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アンダルシアの風

2010年07月31日 | スペイン旅行2010
「オール・アバウト・マイ・マザー」というスペイン映画があります。
1999年ペドロ・アルモドバル監督、アカデミー外国語映画賞受賞。

この後、私はアルモドバル監督の作品「トーク・トゥ・ハー」「ボルベール」など
次々に観ていくことになるのですが、この時は初体験。
予備知識もろくにないままに、非常な衝撃を持って観たのでした。
”交通事故によって一人息子を亡くしたシングルマザーが、
息子の死の原因となった女優、性転換した売春婦、
エイズを抱えて妊娠した尼僧、女性となった元夫など…
様々な人々との関係を通して、人生への希望を取り戻していく。”(Wikiより)
という破天荒なストーリー。
映画評論家のおすぎが“生涯のベスト1”映画として挙げているのだそうです。

この中でもっとも印象的だったシーン。
主人公のマヌエラが、青春時代を過ごしたバルセロナに17年ぶりに帰るのです。
小さな駅に降り立つといきなり視界が拡がり、駅前にロータリーのようなもの
(イギリス流にいうとラウンドアバウトか)の俯瞰図が画面いっぱいに。
車やバイクがグルグル回り、そのあちこちに半裸姿で客引きをする娼婦、
ドラッグで朦朧とする若者たち、バイクに乗った男の股間に顔を埋める男娼、
傍らの草むらで交合する男女(或いは男と男)…

強烈でした。
もう10年以上も前に観たものでうろ覚えだし、
あれが現実のものなのか、監督の想像の産物なのかも定かではないのですが
この映画を象徴するシーンの一つであることは間違いないと思うのです。
性に対するおおらかさ、あるいは性を超越した人間の友情、
逞しい女たちと何処かだらしない男たち、そして母性のゆるぎない力強さ。
そういったものを、私はこのゲイの監督の作品からのメッセージとして受け止めています。

スペイン映画であと印象的なものといえば
「ミツバチのささやき」「エル・スール」「海を飛ぶ夢」「蝶の舌」「パンズ・ラビリンス」あたりか。
スペインに関するエッセイ、旅行記なども色々読んだのですが
堀田善衛は高尚すぎるし、中丸明は下品すぎるし、堀越千秋はハチャメチャだし…
という訳で、この国に対する印象がどうもまとまらないのですが
明日から夫と行って来ます。
バルセロナ、バレンシア、アンダルシア、マドリード10日間。

アンダルシアの青い空の下、何処までも続く鄙びた白い家の街並み、
そこにはどんな熱い風が吹き渡っているのだろう?
楽しみにしています。
コメント
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