Zooey's Diary

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「告発のとき」巨人ゴリアテの表わすものは…

2008年07月09日 | 映画
元軍人ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、イラク帰還兵の息子マイクが行方不明との知らせが入り、彼は捜索を始める。
程なくマイクの惨殺死体が基地の近くで見つかり、地元警察エミリー(シャーリーズ・セロン)の協力のもとに真相を探るのだが…
彼が突き止めた真相とは…

ミステリーの要素を持ちながら、戦争によってもたらされる人間の闇の部分を抉り出しています。

反戦映画のひとつではあるのでしょうが、とても静かな映画です。
原題の”In The Valley of Elah”は、旧約聖書のエラの谷の巨人ゴリアテに少年ダビデが戦いを挑むエピソードを表わしています。
聖書の中のダビデは勇敢な少年には違いないのでしょうが、映画の中で、エミリーの小さな息子が、母親に聞くシーンがあるのです。
「どうして大人たちは、子どもを戦いに出したのかな?」と。
子どもを戦地に送り出した親は、その問いにどう答えられるのでしょうか?
そう思うと、これは痛烈なメタファーなのです。
巨人ゴリアテは何を表わしているのか?
私は最初、国家とか軍隊といった強大な体制を表わしているのかと思いましたが、話が進むに従って、これは人間の中に潜む”悪”そのもののように思えて来ました。
それほどまでに、戦争は、善良な青年を狂わせてしまっていたのです。
それほどまでに、ハンクが突き止めた”真相”は苛酷なものだったのです。

マイクが戦地から
「父さん、助けて。ここから連れ出して。」と電話した時
元軍人でもあったハンクは、受け止めてやることができなかった。
「落ち着くんだ。神経質になってるのじゃないのか」が
彼の答えだった。
息子がああなってしまった今、彼はそのことで一生自分を責めるでしょう…

国旗を逆さに掲げるというのは
「もうどうにもならない。助けて!」という意味の国際的なメッセージなのだそうです。
国家を、軍隊を長らく信じて誇りに思っていたハンクが、ラストシーンでそのように国旗を掲げることで、彼の不信・慙愧・後悔の思いが悲しく重く伝わって来ます。

これは、実際の事件を基にしたフィクションなのだそうです。
よい映画だと思いますが、淡々としていて思ったほどには感動しなかったので…
☆3。

「告発のとき」 
コメント (8)
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