KOMIのブログ

金井一薫の周辺に起こった出来事や、学会、FN看護研究所関連の記事を紹介します。そして私のつぶやきをお聞きください。

金井一薫:最終講義(東京有明医療大学・看護学部)

2015-03-15 10:28:59 | 日記




3月12日(木)に東京有明医療大学における私の「最終講義」がありました。
大学設立に向けた準備から携わりましたので、足かけ8年間の在籍期間でした。

当日は卒業式の前日という忙しい中での開催でしたが、中講義室には100名近い方々が参集してくださいました。
当日聴講してくださった学生や教職員の方々に、心からお礼を申し上げます。
また、遠方から駆けつけてきてくださったKOMIの仲間や学生時代の親友の顔に心が温まりました。

テーマは「これからの看護」です。
3つの時代の、3つの国の、そして3人による「これからの看護」を題材にしました。
まずは150年前に、新しい看護を創設したナイチンゲールが次世代のナースたちに託した思いや思想について、私のこれまでの研究を交えてお話ししました。次に70年前にアメリカで語られたエスタ―・ブラウンによる「これからの看護」の内容をまとめました。ブラウンレポートは、1948年に『Nursing for the future』と題して発表されました。世界中に影響を及ぼした本レポートは、日本の看護界にも大きなインパクトを与えました。ブラウンさんは看護師ではなく社会学者ですが、幅広い調査の結果から、これからの看護界が目指す方向性を提示したのでした。
これまでの日本の看護界で、長年しきりに唱えられてきた“患者中心の看護”という理念は、この時ブラウンさんが提示した内容と一致しています。
ナイチンゲールにしても、ブラウンさんにしても、時代を超えて100年、200年先を見通した見解を述べているのがわかります。看護の本質は、時代と国を超えて生き続けるということでしょう。
さて、これからの日本の看護の方向性をどうとればよいのでしょうか?
私は時代が変わっても変わらない「看護の本質」をしっかりと踏まえて、他国をまねすることなく、日本の土壌と風土と文化にマッチしたシステムを作っていくべきだと思います。それができた時、日本の看護は世界に誇る実践を形にしていることでしょう。
後輩たちの実践力と判断力に託したいと心から思っています。

関係者の皆さま、これまでお世話になりました。私の大学教員としての歩みを助けていただいたことに、心よりお礼を申し上げます。
私のナイチンゲール研究の旅は、まだまだ終わりません。
これからもよろしくご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。