夏に自己研修で訪れた神戸にある「あさんて訪問看護ステーション」に行ってきました。「あさんて」とは、スワヒリ語で“ありがとう”の意味だそうです。
かつてクリニックだった建物を使い、訪問看護だけでなく、訪問介護、ディサービス、居宅介護支援事業が1つのチームとなって活動しています。
「あさんて」では、年間60名くらいの方の看取りをされているそうですが、所長の松本京子さんは、関連の施設として兵庫県では初めての「ホームホスピス」を2軒も運営しておられます。
その人が人生の最期を自分らしく、豊かに、そして納得のいく生活を送ることを支援する中で、豊かな人と人の輪が生まれ、築かれ、発展していっている様を、今回の研修を通して、あらためて目の当たりにすることができました。
私は、関連するスタッフや地域の訪問看護ステーションの管理者の方々に講義を行い、あさんてのスタッフと個別の事例検討をしました。
「KOMIチャートシステム」を上手に活用すれば、日ごろの看護がみえるようになりますし、実践の裏付けを説明できるようになりますが、それを実感をもって理解していただたように思います。彼女たちは素晴らしいケアをしています。日本の看護の姿が病院看護から在宅看護に変化していこうとしている昨今にあって、「あさんて」の取り組みが、1つのモデルとなり、日本の隅々まで広がっていくことを祈ります。
「あさんて」が訪問している有田さんという利用者さんとその娘さんが書き綴った本が出版されています。『ひだまりの介護日誌(神経難病のははと私の四季)』(木星舎)です。辛く、厳しい現実を受け入れつつ、明るく、ユーモラスに生きる母娘の介護の日常が、温かい眼差しを通して描かれています。是非、ご覧ください。地域ケアのすごさと確かさと有難さがわかる本です。