KOMIのブログ

金井一薫の周辺に起こった出来事や、学会、FN看護研究所関連の記事を紹介します。そして私のつぶやきをお聞きください。

ナイチンゲールKOMIケア学会・第3回学術集会成功!

2012-11-27 11:45:40 | インポート

PhotoPhoto_211月17日(土)~18日(日)

ナイチンゲールKOMIケア学会・第3回学術集会が無事に成功裏に終了いたしました。

今年のテーマは「これからのコミュニティケアを発展させるためにー核となる看護職と介護職のこれからを問うー」でした。

平成25年には日本の高齢化率は25%となり、いよいよ4人に一人が高齢者という時代に入ります。病院における入院日数はさらに減少し、地域・在宅で療養する人はますます増加します。家族の絆が薄れている時代でもあり、地域の力を掘り起し、コミュニティケアを担う看護介護職が担うべき課題は山積みしています。

このような背景を踏まえて、本学会では今私たちに何ができるのか、ナイチンゲールKOMIケアの実践者たちに何が期待されているのかを明らかにしました。

土曜日に発表された4疾患からは、改めてKOMIの視点で病気を見つめることで、生活過程を具体的に整える方向性が示されたと思います。

そして今年は「ドイツの職業教育」と「オランダのコミュニティケア」の実態を学ぶという企画が立てられ、木戸裕先生と堀田聰子先生による素晴らしいご講演を拝聴することができました。終了後の参加者は一様に興奮しており、それそれの胸に今後の実践のあり方を描くことができたようでした。そのうちオランダへの視察旅行が企画される可能性もあります。

さて、2日目の企画ですが、午前中は5名の方による「実践報告」でした。一軒家を「在宅ターミナルケアの家」として創り上げた神戸の松本京子さん。重心児ケアをKOMIケア理論を活用することでチーム全体として取り組むことを可能にした札幌の増田多智さん、特養における新人教育の在り方を画期的に創造している福祉楽団・杜の家の上野興治さん、急性期病棟でもしっかりとKOMIケア理論を活用して清潔の看護技術に取り組んでいる砂川市立病院の高野美奈子さん、そして病棟風土をKOMIケアの視点で変革していったという福岡大学病院の太田美津子さん。

それぞれ素晴らしい実践の様子が映像と共に映し出されました。聞いている人々の心に深く染み入ったと思います。正に「看護や介護が見える実践内容」でした。KOMIの宝ですね。

午後は会長講演とシンポジウムです。

私のテーマは「日本の看護と介護のこれからを問う」です。ナイチンゲール思想によって措定された看護実践の定義をもってすれば、それは介護実践の本質と同じであるということを強調した上で、これからのコミュニティケアにとって、介護福祉士の存在を福祉職から医療職へと転換する道も思考すべきであるとの発言をしました。さらに看護界もコミュニティケアを担うべく訪問看護師の教育の在り方を再考すべきであり、特に新卒のナースたちを訪問看護師として育成する道を早急に開発すべきであるとの提言をいたしました。

この発言を受けて、7名のシンポジストの方によるご発言がありました。発言者のお立場は、1.介護福祉士教育者として、2.老年看護学者として、3.オランダのコミュニティケア研究者として、4.ドイツの教育研究者として、5、地域医療を担う医師として、6.コミュニティケアの実践者として、7.看護師学校で学ぶ介護福祉士として、というものでした。

7人目の戸島崇子さんは私の前任校のゼミ生で介護福祉士ですが、目下看護専門学校に通っていて来春に卒業予定の方です。介護福祉士として力をつけるには、もっと医療の知識が必要であると考えて学校に通っているのですが、老年看護学実習を通して看護と介護の実践の本質は同じであると、改めて分かったと発言しておられました。

それぞれのご発言には大きな意味が込められており、全体としてこれからのコミュニティケアを担う人材育成の方向性が見えてきたように思われました。

充実した2日間でした。そしこれからの課題がくっきりと見えてきた学会でもありました。

ご参加くださった方々、ご協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。有難うございました!

来年の学会は6月22日(土)23日(日)に福岡大学で開催します。ご期待ください。