井の頭自然文化園のゾウ舎前。時刻は13時30分。そろそろ、はな子のランチタイムです。ここに通うようになって何年が過ぎたでしょう。いつもと同じ光景なのですが、どこか違う・・・そう飼育係が違うのです。
はな子の飼育係は四名いますが、はな子とじかに触れ合えるのは二名のベテラン飼育係だけで、残る二名の飼育係はベテラン飼育係の指導のもと、はな子との関係を徐々に築いているところです。
ところが、今日の飼育係はいつもの二人ではなく、にもかかわらず、とても手慣れれた感じで仕事をしています。はな子にしても、まるで旧知の間柄であるかのようにリラックスしています。もしかして、山川さん・・・?
5年前に、井の頭自然文化園から多摩動物公園へ異動になった山川さんが、井の頭に戻ってきました。山川さんの著書『父が愛したゾウのはな子』は、井の頭を去ることになった山川さんが、はな子に最後の食事をあげる場面から始まります。多摩動物公園でアジアゾウ(アヌーラですね!)、ライオン、ヒグマなどを担当していた山川さんが、井の頭自然文化園へ移ってから8年目の春のことです。その間、山川さんは、かつて山川さんのお父様が世話していたゾウのはな子の担当になりました。
異動で再び多摩動物公園に戻ることになった山川さん、はな子とのお別れの日は、大好物のリンゴとオレンジに自分の気持ちを託して、一つひとつ想いをこめながら、はな子に食べさせたのでしょう。
『父が愛したゾウのはな子』を井の頭文化園の売店で手に取ったのが、2006年の秋のことでした。その後、取材を受けている山川さんの姿を何度か見かけたことがありましたが、こうしてゾウ舎の中で仕事をしている姿を見るのは初めてです。おかえりなさい、山川さん。そして3月まではな子を担当していた飼育係の皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございます。
水浴びするゾウのはな子
涼しくなったところで、へイーキューブ団子を食べる。
(左)今日のデザートは、デラウエア! こんな小さな粒も器用につまめます~。新人飼育係は異動していないようです。
(右)ブドウの後は、大量のドクダミをむしゃむしゃほおばる。
大きなはな子の前を何かがさっと横切っていった。手すりをたどってゆくと・・・こんなに小さいのに、飛ぶように駆けるというか、大人のカマキリよりずっとすばしっこい。