夕暮れどき、小川先生を乗せた特急が朱雀門の前を横切った・・・
14時30分には奈良に着く予定だったけれど、線路内に人が立ち入った関係でJR奈良線が極端な徐行運転をしたため、電車は30分遅れてJR奈良駅に到着しました。貴志川線の乗車予定も若干変わったし、ついていないといえばついていないのですが、この日は天気も猫の目のように変わり、晴れていたかと思ったら突然雪や雨が降り出す始末。でも、着いた先は不思議と雨上がりで、一度も傘を差さずに済んだのだから、やっぱりついていたんだねえ~。
歩くこと30数分? ようやくたどり着いた宿。
奈良の駅前も、相当強い雨がたった今止んだ、といった感じに路面が濡れていて、排水溝めがけて幾筋も小さな川が流れていました。雲間から太陽が顔を覗かせ、路面がきらきら光っています。
今回宿泊先に選んだ「ホテル アジール奈良アネックス」は、一泊5500円(朝食バイキング付)の激安価格も魅力ですが、平城宮の朱雀門まで徒歩10分に位置していることが決め手となりました。
ドラマ『鹿男あをによし』でも、何度もお目見えした朱雀門。神無月の儀式がここで行われたし、主人公の勤務する奈良女学館も平城宮の目の前にあるという設定なので、絶対に抑えておきたいポイントなのですが、それ以前に大変思い入れのある場所だったのです。
平城宮から若草山を望む。二人は若草山から市内を見下ろした。
13年前にバブリーな不動産会社(楽しい8年間でした!)を辞めた際、奈良&京都を一週間かけて旅したことを書きましたが、猿沢の池に続いて訪れたのが奈良の都「平城宮跡」でした。朱雀門はまだ復元されていなかったのですが、その次に奈良を訪ねたとき、真新しい朱雀門の下に立ち、夕日に赤く染まった広大な平城宮跡を古の人のように歩き、感慨を新たにしました。今回も「節目」ともいえる旅行なので、朱雀門と平城宮は絶対にはずせない場所だったのです。
遷都1300年の目玉・・・平城宮跡地に大極殿が姿を現わす!
予備の上着を一枚だけ用意しましたが(結局着なかった)、それ以外の荷物は歯ブラシ1本と、下着&靴下2セットに一眼レフカメラ&コンデジ、ガイドブックと単行本1冊だけです。宿泊先で無線LANが使えるというので、一眼レフと同時に購入したノートパソコンを持っていくことにしました。旅先でブログを更新できたし、画像を取り込むなど重宝したのですが、これらの荷物を肩に下げて駅から2km歩くのは結構しんどかったかも。ホテルの送迎バスも出ているのですが、この時間帯は走っていません。
タクシーを使ってもよかったのですが、一直線のわかりやすい道だし、「2kmなんて、約30分でしょ。大したことないさ~」と、一歩を踏み出しました。少し歩くと、「タイ焼き屋」さんの前に差しかかったので、おやつ代わりにさっそく買い食いをする(結局昼抜きになってしまった・・・)など、余裕しゃくしゃくだったのですが、しだいにたすき掛けにかけたショルダーバッグが肩に食いこんできて、息は上がり足取りも重くなりました。大量に汗が噴き出してきたのですが、汗で濡れた体を寒風がなぶってゆくため、暑いのか寒いのか何だかわからない状況になってきました。あちこち工事中で、道路は渋滞しており、排ガスをまともに浴びながら歩くのも愉快ではありません。いい加減腹が立ってきたのと、本当にこの道で間違っていないのか不安を覚えたとき、ホテルの姿が見えてきました。
身軽になって、早速「朱雀門」へ繰り出しました。10分で着くはずだったのに、20分以上かかってしまいました。道を間違えていなかったのに、間違えたと思い込んでホテルまでUターンしてしまったから・・・。やけくそで歩いていたら、唐突に(右上写真)の大路に出ました。この路をまっすぐ行くと、(左上写真)のように朱雀門の前に着きました。自転車に乗った人々と比較してみると、朱雀門の大きさがよくわかりますね。
(望遠レンズで圧縮されているため、ほぼ同じ縮尺になっている)
平城宮の一番南にあった朱雀門。平城宮跡は、調査を終えた通路や広場に砂利が敷かれ、建物のあった場所には芝が張られていて、柱の跡にイヌツゲを植えています。朱雀門付近は、この前訪れたときより整備が進んだ感じ。青空になるほど雲がとれたが、雲を飛ばした強烈な北風のせいで震えが止まらない状態・・・。
夕暮れ迫る水上池。荒れ果てた感じが何ともいえない魅力を醸し出しています。前回は大極殿跡から天上人になれたのですが、復元工事の真っ最中なので立ち入ることができません。そのまま足を延ばして佐保路の古墳群を時間の許す限り訪ねることにしました。まずは平城天皇陵を訪ね、それからコナベ&ウワナベ古墳(共にかなり大きな前方後円墳だけど、埋葬者不明)、磐之姫命陵(仁徳天皇の后)へ向かって歩き始めました。
12年前はバイクだったので、易々と全ての古墳を回れたのですが、徒歩で全部回るのは時間&体力的に無理な相談でした。平城天皇陵の次にコナベ古墳(写真右)に向かったのですが、着いたときにはかなり日が暮れ、お隣のウワナベ古墳まで足を延ばすのは無理だと思い、磐之姫命陵(写真左)に向かいました。この段階で日が完全に暮れてしまったので、より魅力的な佐紀盾列古墳群に向かったところで、真っ暗闇では意味がありません(道に迷いそうだし)。寒さに震えながら休みなしに3時間も歩き回って、体力は限界に近づいていました。でも、夜の朱雀門を見ないで帰るのは癪なので、西大寺方面に歩かずに朱雀門に戻りました。
そのとき撮影した写真の一部をすでにUPしましたが、どうやら自分はカメラを構えたとき右肩上がりになる癖があるらしく、水平が取れていないみっとない写真になってしまいました。それにしても恐ろしく寒く、鼻水と震えが止まりません。『鹿男あをによし』のクライマックスの場面でも、出演者の吐く息が真っ白で、この日と同じくらい寒い夜の撮影だったのだろうと、この日の夜のことを懐かしく思い出しました。
このときは、これ以上無理をしたら本当に遭難してしまうかも?と思い、友達が薦めてくれた西大寺のお好み屋さんに向かうことを断念、近場で食事を済ませてホテルに戻ることにしました。息絶え絶えでホテルにたどり着いた哀れなニワトリでしたが、大浴場で息を吹き返し、ブログを書いたのち、テレビ(NHK特集をやっていた)を見ながら眠ってしまいました。