『トンマッコルへようこそ』 ~少女ヨイルを忘れない・・・

2006-11-30 01:00:31 | 映画&ドラマ



 『トンマッコルへようこそ』は、その Welcome  な題名から、コメディ・タッチでファンタジー色が強い作品だと勝手に想像していたのですが、実際はかなりシビアな映画でした。
 その日は、最初に『父親達の星条旗』を鑑賞し、上映終了後に隣の映画館に移動し、引き続き『トンマッコル~』を見たのですが、例えば、血みどろの拷問映画『ホステル』を見た後で、ほのぼの泣ける『ALWAYS 三丁目の夕日』を見てバランスを取っておく?みたいに、
「『父親達の星条旗』はかなり重たい映画なので、『トンマッコルへようこそ』で癒されよう・・・」なんて、トシ子は考えていたわけです。
 けれども、この映画は「子供のように純粋な」という意味の〈トンマッコル〉という言葉を題名にしているのに、ことあるごとにファンタジーの領域に逃げ込もうとする私を、「そうはさせじ」と現実へ突き飛ばす非常に厳しい作品だったのです。『父親達の星条旗』と『トンマッコルへようこそ』をひと言でいえば、(手垢のついた言葉ですが)暴力否定の見事な反戦映画といえるでしょう。両者が全く同じ上映時間(132分)だったのは、不思議な偶然ですね・・・

 物語は到ってシンプル。朝鮮戦争の最中、アメリカ海軍のパイロットが偵察飛行中に飛行機が故障し、山中に墜落したところをトンマッコル村の住民に助けられる。同じ頃、訳あって行動を共にする韓国軍兵士2名と、部隊が全滅して敗走中の人民軍兵士3名が、それぞれ山中を彷徨いながらトンマッコル村にたどり着く。鉢合わせした兵士達は、村人達を挟んで銃や手榴弾を構えるが、一度も争いごとを起こしたことがない村人達には、彼らが憎み合う気持ちがさっぱりわからない。彼らの憎悪を正当化している正義や理念は村人達にとっては不要の念仏でしかなく、銃や手榴弾を見たこともなく怖さも知らないので、「手を挙げろ」と言われればそれに従うけれど、脅しが効いているわけじゃない。兵士達は、一人二人と家に帰っていく村人(眠いしね)を尻目に、一触即発のにらみ合いを一晩中続けるのだった。そして、神経をすり減らして意識朦朧としてきた両軍兵士の隙をついて、少女ヨイルが手榴弾の安全ピンを抜いてしまい・・・(だって指輪だと思ったんだモン)
 そのあとは、劇場(終わってしまったかも・・・)やDVD(まだですが・・・)などで、ご覧下さい。

 この作品では、トシ子があまり好きではないCGが実に効果的に使われています。一つは、最もファンタジックな「ポップコーンの雪」が降るシーン。それから大猪と挌闘するシーン(『未来少年コナン』(宮崎駿監督の原点ですよね)をご存知かと思いますが、ハイハーバーの荒地でジムシーとコナンが巨大猪ブタを捕らえる場面を思い出した)。そして、クライマックスで無数の蝶が飛翔するシーン。CGの使い方は日本映画よりもずっと上手。

 戦後60年間戦争をしていない日本人の自分には、トンマッコルのようなユートピアで争うことの無意味は理解できても、敵対していた南北両軍兵士が村を守るために一緒に戦うことに対して、韓国の人々ほど深い共感を覚えることはできないと思いました。北朝鮮が今現在どんな国であろうと、元々は同じ祖国だったこと、村を守るために一致団結して戦う相手が巨大な連合軍(米国)であること、冷戦によって故国を分断されてしまった人々の悔しさが滲み出ているような気がします。この作品は普遍的な反戦映画であると同時に、韓国人の心の琴線に触れるファンタジー映画なのでしょう。

 『トンマッコルへようこそ』を観たら、国連が定めた非戦闘区域で敵対する兵士が鉢合わせになる映画『ノー・マンズ・ランド』(02)を、是非ご覧になって欲しいと思います。ボスニアの内戦を題材に、戦争の馬鹿らしさ&残酷さ、国連&マスメディアの愚劣さを、ブラックユーモアに乗せてかつてないほど辛辣に描いた、怖くて悲しい映画です。

〈トンマッコル〉という言葉を全身で表していた少女ヨイルを演じたカン・ヘジョンは、『オールド・ボーイ』(03)のヒロイン、ミドを演じて注目を浴びましたが、今回も素晴らしかった~~。そんな彼女を見ていて、大好きな大好きな映画『まぼろしの市街戦』(67)で、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドがバレリーナみたいな黄色い衣装を着て、綱渡りをするシーンを思い浮かべました。あの映画の彼女、本当に可憐でした。そしてビジョルド嬢、私が一番好きな女優さんです。その彼女と同じくらいキュートだったんだから・・・


『芋たこなんきん』第8週 ~おおきに

2006-11-29 00:43:34 | 連続テレビ小説


 

 週末、肉体的にハードだったせいか、珍しく?21時ごろ寝てしまいました。23時半に一度目が覚めたけれど、そのまま布団の国で朝まで過ごしました。
 その日は、掃除洗濯以外はだらだら過ごして体力回復に努めたのですが(努力してないのに〈努〉の字?)、サー・ノリントン指揮/ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ演奏のベートーヴェン『第七』と、カルロス・クライバー指揮/バイエルン国立管弦楽団演奏の『第七』を聴き比べながら、(半分以上居眠り。あの爆音の中でよく眠れるものだと、我ながら感心)、「寝だめ」と「食いだめ」ができると、もう少し時間を自由に使えて便利なのになあ・・・なんてことを考えていました。
 その後、リアルタイムで見られなかった『芋たこなんきん 第8週~おおきに』を、まとめて見終わったところで、「寝だめ」や「食いだめ」ができればいいなんて、「飽食の時代」だから言えることなんだと、大いに反省させられました。

 寝ることや食べることを「楽しめる」のは人間だけです。野生動物にとって、眠ることは(肉体上必要でも)「命」を危険にさらすことだから、子供のときを除けば、ぐっすり眠ることはまずないでしょう。彼らは多少の「食いだめ」はできますが、それは次の食事がいつになるかわからないので、食べられるときに十分食べておく必要があるからです。食べることは生きることで、楽しむことではない・・・それが自然の掟です。 人間だけが睡眠と食事を楽しめるようになったのですが、世界にはそれがままならない人々が大勢いて、つい最近まで日本も、食べることは「楽しむ」ことではなく「生きる」ことだったことに思い当たりました。

 今週から2週にわたって、〈町子~15歳編〉が放送されています。先週第8週の「おおきに」は、〈現代編〉のプチまとめだったのですが、大げさに言えば、現在を象徴する「病い」の数々が、もはや戦後ではないといわれた高度成長時代を経た昭和40年代に萌芽していたことがよくわかるエピソードでした。確かに生活は豊かになり、健次郎が言うように「ものごとには良いことも悪いこともある」のだけれど、私には悪いことの方が多いと思えて仕方ありません。人気作家の町子が雑誌に紹介したことで、(長続きはしないかな?)閑古鳥が鳴いていた映画館が満員になり、〈たこ芳〉に若い女性が押しかける・・・カタログ文化、情報化社会の始まりですよね。「ただで薬がもらえる」と、健次郎さんの病院へ押しかけたホームレスの人々・・・ニート&ワーキング・プアーの問題が見え隠れしています。懸賞葉書欲しさに何冊も雑誌を買う子供&買い与える親・・・古くはプロ野球カードや仮面ライダー・カード、「大人買い」に代表される「食玩」ブーム、(食玩は過去の反省を踏まえていますが)ものを大事にしない傾向は強まるばかり。というか、捨てては買わせて捨てては買わせて、今日まで来たわけです。

 物語を楽しみつつも、「どこかで間違ってしまったんだなあ」という思いが消せない『芋たこなんきん』第8週でした。筋が通らないことや、正しいことがなされないことを何とも思わなくなってしまった今だからこそ、町子さん達のように、筋を通して生きたいものです。隆君、偉かったね!


 朝ドラヒロイン二態 

「あふあふあふ」

「さっさと脱ぐ~!」


 理想のお父さんを演じた城島茂さんのインタビューは、 →こちらをクリック


オーボエ協奏曲ハ長調 K.314 ~『のだめカンタービレ』第7話

2006-11-28 02:29:39 | 音楽の森


ときめきの アルバム抜けて 現れし
   オーボエ王子の 晩秋に映え


 〈あきざくら〉さんの和歌と共にオーボエ王子様の登場です。一人静かに日本酒の杯を傾け、入念にリードを削る姿はストイックな求道者を彷彿とさせますが、のだめに恋した途端、色気のある「ピンクのモーツァルト」を吹くようになり、千秋を驚かします。残念ながら、ドラマの中では一部省略されてしまいましたが、コミックだと黒木君は、「オーボエがいかに繊細な楽器なのか」を、愛しの〈すずらんの君〉に説明します。


「オーボエはリードが良くないといい音が出ないけど、天候なんかでも左右されるから、湿度によって変形しちゃうんだ、凄く手がかかるし、いつも冷や冷やだよ。完璧なリードなんてない、なんてよく言われるけど、その意味じゃ不完全な楽器なんだ」
「不完全・・・」
「あ、でも、それを含めて好きなんだよ。リード作るの大好きだし、手のかかる子ほどかわいいというか・・・」
「のだめ、オーボエの音、大好きデスよ」

 すずらんの花言葉は、〈純潔〉〈清らかな愛〉。
「君は、すずらんの花に似たり」というのは完全な誤解だけれど、先ほどの「どうしてオーボエに魅せられるのか」という彼自身の説明を聞けば、彼が〈変態〉のだめを好きになったのも、至極当たり前のような気がします。千秋にとっても(ハリセンにとっても)、のだめは手のかかる、でも自由自在によく歌う、オーボエみたいな女の子なんでしょうね。



「ボクのオーボエを聴いてほしい。いや、君のために吹く」


 モーツァルトは、「フルートが好きではなかった」そうですが、『フルートとハープのための協奏曲』、4曲の『フルート四重奏曲』、『フルート協奏曲第1番K.313』などを作っています。千秋たちR☆Sオーケストラが演奏することになる『オーボエ協奏曲ハ長調K.314』は、フルートでも演奏されることがあり、その場合は『フルート協奏曲第2番ニ長調K.314』と呼ばれます。また『フルート協奏曲第1番』をオーボエで演奏した場合、『オーボエ協奏曲へ長調K.313』と呼んで区別しています。「K.313 はオリジナルがフルート」、「 K.314 はオリジナルがオーボエ」と、覚えておくといいかもしれません。
 以上、ホリガーさん演奏による『オーボエ協奏曲』CDの解説で勉強しましたが、私は第二楽章が特に好きです。福士さん演じる黒木君を見たら、この曲、いよいよピンクに染まってしまいました。来週は、いよいよブラームスの『交響曲第1番』を千秋が指揮するのでしょう。楽しみですね!

 

最後は千秋様で・・・

  kiki さんがおっしゃるように、『おなら体操』じゃなくて、ここは是非とも愛らしい『もじゃもじゃ組曲』(谷岡先生と1~11番まで、ハリセンと感動の12番を作る)を聴いてみたかったです。


ベートーヴェン交響曲第7番 ~『のだめカンタービレ』メインテーマ 

2006-11-27 01:27:30 | 音楽の森


楽しい音楽の時間デス・・・


 東京新聞の日曜版に、ドラマ『のだめカンタービレ』で主人公の千秋真一を熱演している玉木宏さんのインタビューが掲載されていました。「クラシックに夢中」と題字された記事を読んでみると・・・

 玉木さんは、このドラマに出演するまではクラシックとは縁遠い生活でしたが、撮影に入ってからはすっかり夢中になってしまい、今ではポップスを全く聴かなくなるほどクラシックに愛情を感じるようになったそうです。玉木さんの中にいた千秋が目を覚ましたのか、千秋を演じている間に音楽心が触発されたのか・・・
 楽器の経験が全くなかったので、プロの演奏家の下で猛練習を重ねました。「たとえ演奏できなくても、手の位置、弾き方などは、しっかりやっておきたかった」という言葉から、福士さんと同じ役者魂を感じました。ピアノへの憧れが強いので、今回の役が終わったら、どこかで基本から「穴埋め」したい、ときっぱり言う玉木さん、どうやら半分ぐらい千秋の血が入ってしまったようですね。ちなみに、①幸せを感じるときは→「焼肉を食べているとき」 ②俳優になっていなかったら→「今となっては考えられない」 ③無人島にひとつだけ持っていくなら→「女性。子孫は残していかなければ」

 ベートヴェンの『交響曲第7番イ長調作品92』は、千秋がシュトレーゼマンの代役で始めてタクトを振った思い出深い曲です。原作だと、その後Sオケの指揮者として演奏したナンバーは同じベートーヴェンでも『交響曲第3番〈英雄〉』に変更されましたが、留学前のR☆Sオケの公演で『7番』を演奏しているので、やはりこの曲が彼の「運命」の曲だと思います。トシ子は、オケの生演奏で(社会科実習&音楽学習)確か3、5、6番の第一楽章を聴いたことがありますが、『第九』以外のベートーヴェンの交響曲を持っておらず、『第七番』は、第二楽章しか知りませんでした。でも、改めて聴いてみると、第一楽章から非常に素晴らしく、この先、お気に入りの一曲になること間違いなしです!

 お師匠さんに『第七番』のお勧めCDを教えてもらったのですが、銀座山野楽器に(のだめの着ぐるみが写真撮影禁止!の貼り紙付けて、ガラスケースに展示されていました。せこ~い)なかったので、何を買おうか考えました。『のだめオーケストラ LIVE!』CDの隣に置かれていたライブCDが、SACD/CDのマルチディスクなのに1550円と激安だったので、これを買うことにしました。それから、もう一つオマケに、ベートヴェンと同じ古楽器を使い、彼の指示通りに演奏されたCD(これも1300円と安い)を買いました。指揮者はノリントンという人でした。



(左)は、斬新なノリントン指揮/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ(古楽器)
(右)は、クライバーの幻のライブ盤。こちらも走る走る回る回る情熱の嵐!

 今日の『N響アワー』では、N響ファゴット主席演奏者の岡崎耕治さんをスタジオに迎え、実際にファゴットを演奏してもらったり、モーツァルトの『ファゴット協奏曲』などを聴いて、弦楽器だとチェロ&コントラバスに相当する楽器を魅力的に紹介していました。その後の芸術劇場では、何と、指揮者の金聖響さんが出演して、(トシ子はさっぱりわからなかったのですが)最近の傾向である「ピリオド奏法」についてレクチャーしてくれました。そして、「ピリオド奏法」の第一人者であるアーノンクールの指揮によるモーツァルトの『交響曲第39番、40番、41番』が、0時30分まで演奏されました。

 動いたり、喋っている金聖響さんを見たのは初めてでした。
(これこれ、動物じゃないんだから、何という言い草するの!)
 ひと目惚れです。格好いい人って、やはりいるんですね。千秋が少し丸顔になったら、こんな感じになるんじゃないかと、妄想しました(初登場で王子様ランキング1位?)。顔だけでなく、バリトンの声も魅力的で、「これは絶対に生演奏を聴きにいこう」と、心に誓いました。

 金聖響さんも言ってましたが、ノリントンは「ピリオド奏法」側の人のようです。ヴィブラートをしないのが「ピリオド奏法」の特徴らしいのです。付け焼刃にもならない知識なので、間違っているかもしれませんが、当時の楽器を使って作曲者のスコアどおりに演奏することは、音の原理主義といってもいいでしょう。でも「ピリオド奏法」は、「当時と同じ音楽を再現すること」を目的としているわけではありません。なぜなら聴かせる相手は18世紀の人々ではなくて、現代の観客なのだから。金聖響さんは、「20世紀には20世紀のスタイルが、21世紀には21世紀のスタイルがあると思う」と言っていました。私は彼の言葉を聞いて、千秋がここにもいると思いました。金聖響さんの『7番』、聴いてみたいです。

のだめオケの『第7番』。1&4楽章だけでなく、通しで聴きたい!!
(ドラマ最終回エキストラ応募しました・・・)


『金とく~純情きらり』全国放送のお知らせ!

2006-11-26 20:56:00 | 連続テレビ小説


Q:達彦さんがこのとき弾いていた曲は?

 
 東海地方?限定で収録&オンエア(11月24日)された『金とく~純情きらり 感動をもう一度』(ゲスト=福士誠治さん)が、皆様のリクエストのおかげでしょう、12月9日(土)午後3時5分より、総合テレビで放映されることになりました。今朝ほど、Marcoさんがお知らせ&コメントくださいました。何でも名古屋の妹さんに録画してもらったそうですが、気になる内容に関しては「必見」とのことです。想像すると、「スタパ」と同じ感じじゃないでしょうか? 見たい~~~~~


 ここで、12月の『純情きらり』関係の放送をおさらいしておきましょう。

1.『金とく~純情きらり 感動をもう一度』
   放送日 12月9日(土)  15:05~ 総合テレビ

2.『純情きらりスペシャル』
   放送日 12月16日(土) 21:00~23:00 総合テレビ
   再放送 12月29日(金)  8:00~10:00 総合テレビ

3.『純情きらり 総集編』
   放送日 12月25日(月)~28日(木) 8:30~9:15 BS2


松井達彦独演會(ピアノソナタ『熱情』)

 福士誠治関係では、

1.『水戸黄門』(ゲスト出演)
   放送日 12月4日(月) 20:00~ TBSテレビ

2.『のだめカンタービレ』(レギュラー出演)
   放送日 毎週月曜日 21:00~ フジテレビ
  


 放送が終わって2ヶ月・・・耐えてきた皆さん、12月は、お茶の間で福士さんに逢えますよ~

オマケ(ドイツ語猛勉中・・・)


東京都庭園美術館 ~暖かい秋の日の昼下り

2006-11-24 23:18:41 | 日常&時間の旅


朝香宮邸からトシ子へ、舞踏会のご招待?


 今日はとても寒い一日だったので ? 小春日和な話題を一つ・・・
 11月初旬のとある日、11時から午後2時までポッカリ時間が空いたので、内緒で目黒の庭園美術館に行ってきました(携帯の電源も切って)。


庭園美術館の展覧会は、アール・デコ様式の建物自体が美術品。


 今回の展覧会は、宝飾デザイナーのシャルル・ジャコーという方の185点のデザイン画を中心に、宝飾・装身具35点と、同時代のファッション誌『ガゼット・デュ・ボン・トン』等に掲載されたポショワール(ステンシル版画)58点などが展示されています。ジュエリー展ということで、ピンクパンサーか、アルセーヌ・ルパンか、怪人二十面相か、怪盗ジバコ(お兄様の斉藤茂太さんのご冥福をお祈りします)たちがお持ち帰りしたい宝石&指輪&ティアラ&耳飾り&ブローチの数々を期待すると、ちょっと拍子抜けしてしまいますが、ポスターや小説の挿絵も数多く手がけ、『ガゼット・デュ・ボン・トン』『ヴォーグ』といったファッション雑誌の人気イラストレーターだったジョルジュ・バルビエの版画を何点も見られたのは、何よりの収穫でした。バルビエの魅力は、荒俣宏大先生や鹿島茂さんの著作から教えてもらいました。適当な絵がないのですが、冒頭の(ルイズ・ブルックスのような)モダン・ガール達の画が、バルビエの筆によるものです。展覧会は来年1月14日まで開かれていますので、興味のある方はどうぞお越しください。年末年始の庭園美術館も、なかなか乙なものですよ~ 
 東京都庭園美術館のHPは、ここをクリック

 

芝生広場。お弁当にお昼寝・・・
(松の下、中央左の紺&白い点が、お母さんと赤ん坊)


 庭園美術館の中庭では、人々が思い思いにくつろいでいますが、白金という土地柄なのか、若いお母さん方でも、邸内を徘徊している展覧会客のおば様族とは人種が違う感じ。ジーンズから半ケツ見せながら、西洋庭園でボール遊びに興じるママさんグループ! 思わず目玉が飛び出てしまいましたが、赤ちゃんを食べ物であやしながら「はい、こっち見て~」と、携帯で写真を撮ってるお母さん(彼は数秒もじっとしていないのでなかなか撮れない)と、日本庭園で池の鯉を眺めている親子三人が非常に微笑ましかったので、こっそり激写?してしまいました。なかなか良い写真が撮れていたのですが、本人に渡さないのでは意味がありませんね・・・


まぶしい陽光を浴びてキラキラ光る豹




庭園には麒麟や鹿もいます(これはキリン)


 お茶室のある日本庭園も見事ですが、芝生広場には彫刻がところどころに置かれていて、四季の花・木と共に入場者を迎えてくれます(確か、庭園のみの入場料は200円だと思う)。秋の薔薇が色とりどりに咲いていました。西洋庭園の一番日差しのあたる場所で、『不思議の国のアリス』の女王の庭のように、株ごとに並んでいます。今頃は、日本庭園のモミジが色づき始めているでしょうね。西洋庭園は、桜も綺麗ですよ~


私を見て!

紫のバラの人・・・


 それでは、今夜はこのへんで・・・


お知らせメール届く! ~『純情きらり』完全版DVD-BOX

2006-11-23 22:29:34 | 連続テレビ小説


 最近、やたらと(お師匠さんの)sabatora さんと記事が重なってしまうのですが、
(お気に入りの場所も似ているので、どこかでお会いしてるかも?)
 先ほど、「お客様がリクエストされました商品が、Amazon.co.jp でご注文いただけるようになりました」というメールが届きました。

 リクエストした商品は、もちろん『純情きらり』のDVDなのですが、いつ、問い合わせしていたのでしょう? すっかり忘れていました。たはは・・・
Amazonの回し者ではないのですが、DVDの内容は、→こちらをクリック


 詳細をお知らせすると・・・
1.DVD-BOX 1  発売日07年3月7日(第1~8週まで720分+特典映像)
2.DVD-BOX 2  発売日07年4月4日(予定)
3.DVD-BOX 3  発売日07年5月2日(予定)
1~2巻=税込¥15、950円。3巻=税込¥19.950。


 『純情きらり』がソフト化されることは間違いないだろうと思っていたのですが、総集編ではなくて完全版で発売されたことは、財布にとっては大変厳しいことですが、ファンにとっては嬉しい限りのお話です。しかも、16×9 のワイド版スクイーズ仕様で発売されたので、放送の終わりの頃に話題騒然となった、総合テレビとBSのトリミングにより左右がばっさり切られていた画面も、DVDだとちゃんと見ることができます。
(ハイビジョンで見ていた人以外は、私も含めて皆左右が切れてることを知らなかった・・・)
 また、本編で放送されなかった未公開映像やメイキングなどが、特典映像に収められていると思うので、多分、買ってしまうと思います・・・

 話がちょっと脱線しますが、現在放映中の『のだめカンタービレ』も、ハイビジョン録りなので、地上波で見ている人(トシ子)は、左右がトリミングされた不完全な画面を見ていることになります。端っこにいる人の顔が半分になっているとか、何でこんなフレームワークをするのだろうと思った人もいたかもしれませんが、本当はちゃんと写っていたんだね・・・
 それが嫌なら、ハイビジョンを見られる環境を作れってこと? それともDVDを買いなさいってことかしら?


久し振りの、うきうきライブ ~酒井俊 &String Trio

2006-11-22 23:55:10 | 映画&ドラマ


開演前の光景


 久し振りに酒井俊さんのライブに行ってきました。
 ヴォーカリストの俊さんのことを教えてくれたのは、例の陶磁器製手榴弾の存在を教えてくれた友人です。その友人と一緒に、吉祥寺のライブハウス〈サムタイム〉で俊さんのステージを聴きました。以来、吉祥寺や新宿のライブハウスに、多いときは月一のペースで通ったのですが、早いもので、あの日からもう5年が過ぎてしまったのね~

 もしかすると、今年は今日が初めてかもしれません。それくらい久し振りに、俊さんの声を聴きました。
 俊さんは、ジャンルや国籍や時代を問わず、これは!と思った曲を歌ってきたのですが、その中に、『四丁目の犬』という、とても面白い歌があります。

  一丁目の子供 駆け駆け 帰れ
  二丁目の子供 泣き泣き 逃げた
  四丁目の犬は 足長犬だ
  三丁目の角で こっち向いていたぞ

 これだけの歌なのですが、一度聴いたら耳に残って嫌でも忘れられません。それもその筈、この曲を作ったのは、野口雨情(作詞)本居長世(作曲)。『七つの子』『赤い靴』『青い目の人形』『十五夜お月さん』といえば、日本人で知らない人はいませんよね。
(また、野口雨情/中山晋平コンビで、『しゃぼん玉』『雨降りお月さん』『兎のダンス』『証城寺の狸囃子』『黄金むし』『波浮の港』『船頭小唄』が有名)

 『四丁目の犬』は俊さんの十八番になったのですが、ヴァイオリン=太田恵資、ピアノ&アコーディオン=黒田京子、テナー・サックス&フルート=竹内直、チューバ=関島岳朗のメンバーで演奏されるときが格別に楽しく、この編成はいつしか〈四丁目バンド〉と呼ばれるようになりました。

 俊さんといえば、何といっても『満月の夕』でしょうが、それ以外にも『セプテンバー・ソング』『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』『マイ・マン』『アメイジング・グレイス』といったスタンダード・ナンバーから、『ヨイトマケの唄』『昭和歌謡メドレー』『愛燦燦』『きみのために』など日本の歌、そして俊さんが歌詞をつけた『かくれんぼの空』『橇に残された約束』『黄金の花』など、枚挙にいとまがないほど素晴らしいナンバーがあるのだけれど、私と俊さんの出会いともいえる『グレープフルーツ・ムーン』『マーサ』(トム・ウェイツ)の素晴らしさを今でも忘れられないので、個人的にこの二曲も、俊さんの十八番に入れたいと思います。

 去年の秋頃から、俊さんはさらにもう一歩進んで、新たな音楽表現に取り組んでいるようです。一つは、全く新しい編成と編曲で歌うこと(Tiny Adventure with Strings)。そしてもう一つは、徹底的にジャズを歌い込むこと(PLAYS STANDARD)。

 吉祥寺の〈MANDA-LA 2(曼荼羅Ⅱ)〉で行われた今日のライブは、前者の〈Tiny Adventure with Strings〉。酒井俊 & String Trio は、俊さんのヴォーカルに、ヴァイオリン&ヴィオラ(向島ゆり子)、チェロ(坂本弘道)、コントラバス(水谷浩章)という、弦楽器のみの編成で、しかも編曲がかなり冒険してます。弾き方も超絶的ですが、電動ドリルやハンドグラインダー!まで登場するのだから・・・

 今夜のライブは二部構成になっていて、第一部は犬塚彩子さんのヴォーカル&クラシック・ギター。ほぼ全曲がオリジナルのボサノヴァでしたが、ギター1本で奏でるボサノヴァが何とも心地よくて、そのまま眠れたら最高です(寝ませんが)。服を一枚ずつ脱いでいくような軽やかさとでもいうか、心が軽~くなりました。どれも同じ曲に聴こえてしまうのですが、飽きることがありません。一昨年&今年と、気の毒なツキノワグマのために作曲した「ツキノコグマ」など優しい歌の数々、そして「ルパン3世」のエンディングテーマまで、ボサノヴァとちょっぴりマンボ&サンバの一時間、トシ子は「ボサノヴァは、窓を開けると部屋の中に流れ込んでくる気持ちの良い風だ」と思いました。

 犬塚彩子さんのHPは、こちらをクリック


 そして、第二部。久し振りに聴く俊さんだったけれど、これまた久し振りに生のヴィオラを聴いて、そのヴァイオリンともチェロとも違う音色に大いに魅せられました。弦楽四重奏の美しさといったら、たとえようがないくらい素晴らしいのだけれど、ヴォーカルに弦三本という編成もなかなかいいものです。第一部も含めて、今日は弦楽器の夕べ、というわけです。最近ご無沙汰だったせいか、初めて聴く?曲ばかり。馴染みの曲は『セプテンバー・ソング』と『満月の夕』だけでしたが、これもアレンジを変えてきているので、とても新鮮でした。知ってる曲だと、『フニクリフニクラ』がとっても楽しかった~
 ただ、斬新な編曲もいいのだけれど、最近クラシック寄りの自分は、途方もなく美しい三重奏を伴奏に俊さんがしっとり歌う、というバージョンも聴いてみたいと思いました。やっぱり、俊さん、いいよ。来月も行こう~と! それから・・・一年に2回、「四丁目ばんど」を是非!!

 酒井 俊 さんの公式HPは、こちらをクリック

 



 俊さんのアルバム(あれ?「夢の名前」がない・・・)


 「カレイドスコープ」と「香港ブルース」を入手できれば、コレクションが完成するのに・・・


オーボエ王子様! ~『のだめカンタービレ』第6話

2006-11-21 22:14:31 | 音楽の森


のだめ増殖中・・・


 まったく・・・もう・・・黒木君は「千秋」じゃないと、わかっています。あくまでもサブキャラ。なのに、いつ彼が画面に登場するのか、そればかりが気になってしまって・・・
私の「福士病」はこれほど重症だったのかと、改めて思い知りました。千秋を慕う真澄の気持ちがよくわかる? いやはや、なんとも、すでに私が「ピンクのモーツァルト」だったんですね~ こりゃ、ダメだ・・・

 48分間待たされました。もしかしたら今日は登場しないのでは?という思いが一瞬脳裏をよぎったとき、桃ヶ丘音楽大学に三人の道場破り(じゃありません)が現れて・・・
 トシ子は思わず、『純情きらり』第135回の、つむじ風と共に達彦さんが戦地から帰還したときの映像を思い出しました。でも、そこにいるのは痩身の日本兵ではなくて、オーボエ王子様(髪の毛、あれからあんまり伸びていませんね)でした!
「行こうか?」という声と、爽やかな笑顔の何と懐かしいこと・・・
 のだめ風にいえば、「ほんと~に、おしさしぶりで~~~すぅ、先輩!」

 『のだめ~』の記事では、表題に曲名を綴っていこうと思ったのですが、第6回のメインの曲は、先週と同じ『ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番(第1楽章)』。今度は、2台のピアノで演奏されました。
 千秋のラフマニノフに刺激を受けたのだめは、寝食&風呂を忘れてピアノに没頭、「千秋の音がまだ耳に残っていて、千秋のように弾きたい」。千秋はそんなのだめをレッスン室に連れていき、「オケのパートは自分が弾くから、おまえは普通にピアノを弾いてみろ」と言う。とりつかれたように演奏を始めるのだめ。普通に考えれば滅茶苦茶だったが、千秋は(指揮者魂に火が点いて?)「ちゃんと合わせてやるから、オレの音を聴け」と、あの日シュトレーゼマンが振った音楽を再現してみせる。こうして、2台のピアノによる一見変わった、しかしコンチェルトと呼ぶにふさわしいラフマニノフのピアノ協奏曲がレッスン室に響き渡っていった・・・

 ドラマは原作の要所要所を忠実に再現していますが、このシーンもコミックに劣らず「ぐっ」と来る名場面になったのではないでしょうか? 個人的にも、ラフマニノフの2番第1楽章は、人によって演奏時間が9分30秒から13分超と多彩なのですが、私は(のだめのように)第1楽章を速いテンポで演奏する方が好きです。
 ドラマで千秋を演じている玉木さんは、原作の千秋とはルックスも雰囲気も違いますが、なかなか堂々とした千秋ぶりで、私は違和感なく楽しませてもらっています。
(昔から熱心なファンには、私の言葉は説得力に欠けるかもしれませんが・・・)
 キャラクターの中で一番原作に近いのはティンパニーの女王「真澄」ちゃんかなあ?
(真澄役=小出恵介さんのインタビューは、 →ここをクリック
 そうそう、ドラマで爆笑した回転寿司のエピソード(回る回る『白鳥の湖』、ネタだけ食べる食べる『アメリカン・パトロール』)、コミックでも腹を抱えて笑いました。

武士の佇まいは「いぶし銀のモーツァルト」


 オーボエ奏者の黒木君(くろきん)は、原作だと、6巻の最後に登場します。
(熟読コースでは、まだ第3巻に入ったところなので、黒木君の影も形もありません)
ドラマの黒木君は、まだ二言三言しか喋っていません。ク○真面目な男の子ってな感じですが、達彦さんと同じ「純情きらり」な性格なんだよね。オーボエに音楽に、そして恋にも・・・

のだめに染まって「ピンクのモーツァルト」に・・・


 ヴァイオリン=清良小町、炎の龍太郎、おかっぱ頭、チェロ=ミルヒ2号(菊池)、オーボエ=野武士くろきん、ティンパニー=もじゃもじゃ、コントラバス=桜、そして我ら が千秋+(今のところオマケの)のだめ・・・
 新しいオケは、さながら「音楽の梁山泊」といった様相を呈してきましたね。108人まで集める? その中で、福士さん演じる「ピンクのモーツァルト」に、まずは一票です!


最後はオーボエ王子様


『芋たこなんきん』第7週 ~おくりもの!?

2006-11-20 17:16:42 | 連続テレビ小説


親子川柳大会のハプニングで、淳子さんが町子の秘書に・・・
(最近、着ぐるみに興味津々。後ろの兎、かぶりたい!)


 『芋たこなんきん』第7週は、健次郎さんの実兄で放浪癖のある昭一=〈さすらいの男〉が、まるで寅さんみたいに、ふら~と大阪に現れるお話と、淳子さんが町子の秘書になる経緯を、小学生の子供三人の授業参観をクライマックスに、そつなくまとめてきましたね!




きつねうどんのお昼ご飯がフランス料理に・・・狐?もびっくり!

 淳子さんは、実際に〈お聖さん〉の秘書を現在も務めていらっしゃる方をモデルにしていますが、昭一さんも、本当にいらしたのでしょうか? 町子さんは、「【職業=流れ者】の男を映画以外で初めて見た!」と感心していましたが、実在の人物だとしたら、大したもんです。
 それにしても、昭一と健次郎と晴子が兄弟だなんて、面白すぎますね。兄二人と両親の性格は意外と似ているので、晴子さんだけ別の人格に育ったのかしら? でも、晴子さんは昭一兄さんを慕っている様子。
 第7週のトピックスで、晴子を演じた田畑智子さんのインタビュー記事がUPされていました。同じ関西弁でも、京ことばと大阪ことばの微妙な違いとか、晴子について、共演者について、そしてお気に入りの場面について答えてくれています。お気に入りのシーンは、まさかまさかのアソコ。だから、田畑さん好きなんだなあ~
 →インタビューはこちらをクリック


逆上がりの練習を見つめる昭一と由利子


 健次郎に逆上がりを教えてあげた人は、やっぱり昭一さんでした。健次郎のために、ケンムンの格好をして森の中でずっと待っていたこともあったし、もともと優しい人なんですよね。今回は、甥っ子の清志のために逆上がりの猛特訓? その甲斐あって、授業参観日に町子と健次郎の目の前で・・・
 「逆上がり」・・・懐かしい響きです。私は小さくてすばしっこい子供だったので、ドッヂボール、なか当て、ブランコ、缶蹴り、木登り、棒上りといったところは得意種目でした。うんていはぶら下がるより上を歩いていましたが、鉄棒といえば、各種「飛行機飛び」を競い合ったり、逆上がりでぐるぐる回って遊んだものです。でも、誰に逆上がりを教えてもらったんだろう? 逆手はできても順手ができず、できるようになるまでずいぶん苦労したような気が・・・
 確か小学校の校庭で、父親から特訓を受けたような気がするので、そのことを訊ねてみたら、「逆上がりは、練習した覚えがない」と言われました。
「でもさ、校庭で自転車の練習をしたよね。自分はなかなか補助輪が外せなくて、業を煮やした親父が補助輪外しちゃって・・・こんなの絶対できないよって、泣きながら練習させられた」と言ったら、
「あんたとは対照的に、妹は何度転んでも起き上がって、いい加減にやめなさいと言っても、聞かなかった・・・」
 この父とは、定番かもしれませんが、キャッチボールも良くやったもんです。

おくりものは、エメラルドの原石!?


 家族に迷惑かけることもある兄貴の昭一さんから少し距離をおいている健次郎さんですが、お母さんの誕生日に、この心くばりは粋ですね~
 今週も、人肌に暖かい『芋たこなんきん』でした。