ニワトリさんが住んでいるところは猫不毛地帯で、十年前ぐらいから猫の姿を見かけなくなりました。野良猫がいないわけではなかったのですが、ある事件を境にいつの間にかいなくなってしまったのです。
(いつかお話しする機会があるかもしれません)
ブログを始めた頃から、休日になると必ず外出するようになったのですが、猫を意識して出かけたことは一度もないのに、結果として「猫と遊んで」帰ってきたケースが多々ありました。無意識のうちに「猫ストーカー」になっていたのかもしれません。
(ハルミンさん秘伝の「猫に取り入るテクニック」を自然に習得していたし・・・)
映画『私は猫ストーカー』(09)の主人公は、古本屋でバイトをしているイラストレーターの女性ハル(星野真里)。彼女は猫を探して町中を歩きまわり、つかず離れず適度な距離感を保ちながら後を追いかける「猫ストーカー」なのですが、映画はそんな彼女を淡々と、でも彼女が猫を追いかけているときと同じ目線(つまり猫と同じ目線)で追いかけます。流れている時間はとても緩やかだけれど、同じ旋律を等間隔で追いかけてゆく(キャメラの)「輪唱」の心地良さは何ものにも代え難いほどで、聞えてくる様々な音もまたリズミカルに響き、本当に音楽を聴いているかのようでした。
原作者の浅川ハルミンさんの同名エッセイから印象深いエピソードを拾ってきて、物語をつないでいくので、原作を読んだ人は映画を観ながら何度も「にやっ」としただろうし、自分のように映画を先に観た人も後で原作を読んで、「おお~、この話があのシーンになったんだ」と楽しめました。イラスト&文章がほんわかと面白い、原作の『私は猫ストーカー』『帰ってきた猫ストーカー』も、お勧めです。
作品の舞台になったのは、猫好きだけでなく下町好きから圧倒的に支持されている「谷根千」(谷中・根津・千駄木)。古本と猫というのもお似合いだと思うのですが、古本の聖地である神保町で、自分はまだ猫を見かけたことがありません。映画に出てくる古本屋(徳井優と坂井真紀もいい味出してます)「猫額洞」は、中野新橋にある本物の古本屋だそうです。馴染みのある場所だし、今度行ってみようかな~。
ハルミンさんは猫と同じぐらい古本屋が好きなようですが、自分も高校時代から古本屋に通いつめるようになりました。古本、猫、コーヒーの道順で散歩できるところがあったら素敵なのですが・・・。古本の代わりに、アンティークとか中古レコードでもいいですね~♪
「猫ストーカー七戒」を破って、猫ストーカーならぬ猫誘拐犯になってしまった自分ですが、この不思議な生きものが隣にいつもいることで、どういうわけか世界が深まったような気がします。『私は猫ストーカー』は、猫好きな人はもちろん、そうでない人にもお勧めできる小品でした。
(右)そっと置いてみました。うまい具合に眠ったままです。早くカメラを取りに行かないと・・・。
(右)首尾よく写真も撮れ、1分後に「何よこれ~」。愛読書を蹴っぽられました。
『私は猫ストーカー』公式HPは、 → ここをクリック