
ダブルアクション・オートの決定版となったワルサーPPK。
映画『ラスト・ターゲット』で、ジョージ・クルーニーがワルサーPPK/Sを使っていたと書いたけれど、もしかしたらPPK/Sではなくて本家本元のPPKだったかもしれません。
機能美に徹したワルサーPPKは非常に格好良く、『007~』のジェームズ・ボンドや『ワイルド7』の草波隊長が使っているせいか、冷静&知的なイメージすら覚えます。実在人物では、アドルフ・ヒットラー(最近ではヒトラーと表記するようですが・・・)が愛用していたことが知られています。警察用拳銃として開発されたワルサーPP(警察用ピストルの頭文字をとってPPとなった)の全長&全高を切りつめ、私服刑事が携行し易くしました。最後のKは「短い」を意味する「クルツ」の頭文字Kです。現代銃でいえば、SIG SAUER P226に対する P228や、グロック17に対する19と同じ間柄。
PPKは、(全てを説明すると長くなるので省略します)撃鉄を倒した状態で引き金を引くと連動して撃鉄が起き、そのまま引き切れば撃鉄が落ちて弾が発射されるダブルアクション・トリガーと、薬室内にカートリッジが入った状態で安全に携行できるセイフティ・メカニズムが好評を博し、戦後も警察用や護身用拳銃として広く使われました(日本でもSPや皇宮警察が採用していたが、現在はSIG SAUER P230に変わった)。22~38口径まで様々な口径が選べますが、ヨーロッパではある程度の威力があって撃ち易い(ボンドも32口径のPPKを使用)32口径モデルが一番人気で、大口径好きのアメリカでは反動はきつくても威力の高い38口径モデルが一番人気だそうです。
PPK/Sは、ケネディ大統領暗殺事件後に米国が輸入拳銃に課した新規格(全長×高さが4インチ以上)に適合させるため、フレームをやや大型のものに交換した特殊バージョンだったのですが、「グリップが長くなった分、銃を保持しやすくなった」とオリジナルPPKより好評を博し、現在も生産されています。ジョージ・クルーニーが使っていたのは、どちらでしょう? 口径は38だと思うのですが・・・。

ワルサーPPK(左)とモーゼルHSC(右)。美しさではHSCに軍配が上がるが・・・
どちらも、今は絶滅した金属製モデルガン。PPKはABSで復活したが、HSCも?
そんなことを考えていたら、ニワトリさんが生まれて初めて手に入れたモデルガンがワルサーPPKだったことを思い出しました。今ではルックス&性能共に素晴らしいと思いますが、当時は一番安い金属製モデルガンだったから飛びついたのでしょう。特にジェームズ・ボンドのファンじゃなかったし・・・。
PPKは色々なメーカーから発売されていましたが、トリガーを引くとスライドが動いてカートリッジの発火と排莢を手伝う「スライドアクション」により、実銃と似たブローバックの動作をするのが魅力的でした。実際は、トリガーにかなり負荷がかかるせいか、肝心のメカニズムがすぐにへたってしまい、引き金を引いただけではスライドを下げ切れなくなり、手でスライドを前後させる「スライドアクション」になってしまいました。トリガーガードのヒンジを下に降ろしてからスライドとフレームを分離させる分解方法は実銃と同じだったので、退屈するとPPKを取り出しては、「スライドアクション」でカートリッジを排夾させ、マガジン内が空になると、床に散らばっているカートリッジを拾ってはマガジンに込め、「スライドアクション」(弾倉はリップ部分がすぐ曲がってしまうのでペンチが欠かせない)を繰り返したり、分解しては組み立てて一人悦に入っていました。アホだね~~♪ 専門誌の月刊『GUN』も毎号擦り切れるほど読んで専門知識を覚えました。

中型オートで最もエレガントなFNブローニング M1910。ベストセラーになった。
戦前の日本でも将校に好まれ、あの峰不二子ちゃんもガーターベルトに挟んでた!

同じブローニングが設計したコルト M1903。1910と比べると無骨で男性的な感じ。
日本のアクション映画のステージ銃としてよく登場したため、「日活コルト」と呼ばれた。

『SP』で有名になったSIG SAUER P230。32口径タイプが日本警察に採用された。
ワルサーPPKとモーゼルHSCを足して二で割ったようなデザインだけれど・・・格好良い!
映画はまだ見ていないが、中型オートで一機種だけ選べと言われたら、P230かなあ~♪

日本仕様の SIG SAUER P230(JP)。32ACP 8+1発。
マニュアル・セイフティとランヤードリングが追加された。
24日朝追記。銃の写真に驚いた方もいたかもしれません。イーストウッドやマックイーンに憧れ、「大人になったら渡米して実銃を撃ちまくるぞ」ぐらいの気持ちだった少年がその後どうなったかというと、一度も実弾射撃をしたことがなく今後もすることはないでしょう。この分野についてはプラモデルとモデルガンが好きだったようです。80年代になるとガスや電気の力でBB弾を発射するエアガンが登場し、モデルガンは急速にすたれてしまいました。M60機関銃のガスガンまで発売され、ニワトリさんも一度だけ好きモノの友達から非常に高価な
FN- FAL自動小銃を借りてゲームに参加したのですが、地面に這いつくばって息を潜めているときに「こうしたことが全然楽しくないこと」に気付き(缶蹴りで隠れているのなら、今でも楽しいけど)、実銃を撃ちたいという気持ちも消えてしまいました。でも、この記事を書くために色々調べていたら、最近発火式モデルガンが復活してたのですね。よりによって、PPK、P230、M1911A1が発売されています。70年代回帰の想いがいよいよ強くなってる今日この頃、新たな援軍(誘惑)の登場に心が揺さぶられる? オーディオ&ビジュアル関係をリニューアルしてシアターを復活させようと細々貯金を始めていたのですが、撃つまでの準備作業と撃った後のクリーニングの時間が殆どを占めていながらも、引き金を引くたびに映画や漫画(主に『ワイルド7』)の主人公に成り切っていた懐かしい思い出が蘇ってしまいました。さてどうなることか・・・。